新潟県知事選の投開票が29日行われ、現職の花角英世氏が「原発再稼働反対」などを訴えた住宅メーカー副社長の片桐奈保美氏を破り、再選を果たした。事前の世論調査や出口調査などから花角氏の勝利は予想されていたものの、注目されたのは、その圧勝ぶりだ。花角氏の得票数は全体の約77%にあたる70万票あまり。一方、片桐氏は約20万票にとどまった。
昨日の新潟県知事選挙では、大変多くの皆さまから2期目としての思いを託していただきました。
引き続き皆さまとの対話を大切にしながら「住んでよし、訪れてよし!の新潟県」を目指してまいります。
皆さま本当にありがとうございました。
これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。 pic.twitter.com/SvKz2p43ih— 花角英世(はなずみひでよ) (@hideyohanazumi) May 30, 2022
前回知事選は4万票差の大激戦
花角氏が初当選を果たした2018年の新潟県知事選は、終盤までもつれにもつれ、花角氏の得票数は約54万票(得票率49.6%)だった。対抗の池田千賀子氏は、50万票あまり(得票率46.2%)を獲得し、報道各社は深夜まで当確が打てないほどの大激戦だった。
とはいえ、前回の知事選とはあまりに条件が違ったことも事実だ。2018年6月に行われた前回の新潟県知事選は、花角氏が自民党と公明党の支持を得た一方、対抗候補だった池田氏は元新潟県議で、もともと新潟県内の知名度は今回の片桐氏よりは高かった。さらに、池田氏は立憲民主党、国民民主党、共産党、自由党(当時)、社民党が推薦した、いわゆる「野党共闘候補」だった。
一方、今回、花角氏は前回の自民党、公明党に加えて、国政では野党の国民民主党の新潟県連が支持した。さらに、立憲民主党と国民民主党の支持母体「連合新潟」も花角氏の支援に回った。片桐氏は、共産党、れいわ新選組、社民党が推薦したものの、前回野党候補を推薦した立憲民主党は自主投票を決めていた。
投票日当日に、新潟県内の有権者(30代女性)に話を聞いたところ、「片桐さんっていう女性が出ることは知っているけれど、誰?何をしていた人なの?という感じですね」と話すなど、県民に浸透しているとは言い難い状態だった。
森氏支持者に衝撃のNHK出口調査
今回の知事選の結果が夏の参院選に直結するとは考えにくい。しかし、影響がまったくないとも言い切れない。新潟県知事選にあたってNHKが29日に行った出口調査によると、新潟県内の政党支持率は、自民が51%で立民が10%だったのだ。
今夏の参議院選挙で、新潟選挙区(改選定数1)は4選を目指す立憲民主党現職の森ゆうこ氏と、自民党新人の小林一大新潟県議との一騎打ちと予想されている。森氏が3選を果たした前回の2016年と2019年と2回連続で野党候補が競り勝っている。
特に森氏の選挙戦は壮絶を極め、自民党候補と森氏との得票数の差はわずか0.2ポイント、票差にして2279票の大激戦だった。そうした記憶も残る中、この政党支持率は森氏にとって衝撃的ではないか。
森氏を町議(旧・横越町)時代から支持していたという70代女性は、「新潟県知事選の結果はある程度予想されていたものでしたが、ここまで離されるとは思ってもみませんでした。それに、知事選の結果より衝撃を受けたのは政党支持率です。10%に50%なんて…。今から参議院選がとても心配です」と話す。同じく支持者の60代男性も「厳しいね…。森さんにはなんとか勝ってもらいたいが。相手の小林さんは大票田の新潟市での知名度が高いし、とにかく、前回以上に厳しい戦いになるだろうね」と顔を曇らせる。
今回の知事選で、立憲民主党は自主投票としていたが、森氏は選対本部長かのように片桐氏の応援に奔走。選挙期間中、森氏は幾度も片桐氏の応援に入っていた。支持者の中では、「連合新潟」との関係悪化を心配する声も聞かれるが、森氏は今何を思う。