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アルファード、ソルテラ、ポルテ…壮大な意味が込められた車名と「特に意味はない」車名

 2022年5月20日、日産は、軽規格のバッテリーEV「サクラ」を発表した。この「サクラ」というネーミングは、日産社員から募集して決められたものだそうで、その由来はもちろん「桜」。「日本の電気自動車の時代を彩り、中心となるクルマになってほしい」という願いが込められているそうだ。

 クルマの名前には、このサクラのようにメーカーの願いが込められているものもあれば、「見たまま」を名前にしたものなど、さまざま。筆者が面白いと感じたクルマの名前の由来をいくつかご紹介しよう。

文:吉川賢一
写真:NISSAN、TOYOTA、SUBARU、HONDA、TESLA

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「威厳・高貴」を意味するアリア

 日産のクロスオーバーBEVである「アリア」。「アリア(ARIYA)」は、古代ヨーロッパ語で「威厳」「高貴」を意味するという。バッテリーEVならではの力強い加速と滑らかで静かな走りと、日産の新しいデザインランゲージ「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」が表現されたデザインは、まさに「威厳」や「高貴」を感じさせるもの。

 まだようやくデリバリーがはじまった段階ではあるが、日産の願い通り、バッテリーEVの価値を高めてくれる存在となってくれることを期待したい。

ソルテラは「太陽と大地」

 トヨタとの共同開発によって登場した、スバル初のグローバルBEVである「ソルテラ」。この「ソルテラ(SOLTERRA)」は、ラテン語で「太陽」を意味する「SOL(ソル)」と、「大地」を意味する「TERRA(テラ)」を組み合わせた造語とのこと。行く先を選ばない走破力をもつこのクルマで自然を愉しみ、バッテリーEVならではの環境性能で自然との共生を深めたい、という想いがこめられているそうで、AWDが自慢のスバルならではといえる。

 ちなみに、兄弟車であるトヨタの「bZ4X」の由来は、「bZ」が「Beyond Zero」、「4X」が「車格とボディタイプ」を示しているとのこと。「Beyond Zero(ゼロを超える)」は、カーボンニュートラルにとどまらず、過去に排出されたCO2も削減していこう、という経済産業省も推進しているコンセプトだ。例えバッテリーEVだとしても「Beyond Zero」はかなり厳しいような気もするが、そのくらいの覚悟で取り組む、というトヨタの強い意志の表れだろう。

 今後の「bZ」シリーズだが、トヨタは、ダイハツやスズキとの共同開発モデルを予定しており、発表されたコンセプトモデルの名前は、「SMALL CROSSOVER」などの単語の組み合わせで表現されているが、市販モデルではbZ4X同様に、「bZ〇(数字)」もしくは「bZ〇(数字)X」となるのでは、と予想されている。

2022年5月12日に受注開始となったスバルのBEV「ソルテラ」。スバルはソルテラについて「BEVならではの新しい価値と、スバルならではの価値が詰め込まれたモデル」だとしている

アルファードは「α」から、ポルテは「ドア」

 そのほか、トヨタ「アルファード」は、ギリシャ語で「星座の中でもっとも明るい星」を意味する「α(アルファ)」からきている(確かにギラギラしていて明るい)。同じく、トヨタの「RAV4」は「Recreational Active Vehicle 4 wheel drive」の略だそうで個々の車名というよりは、カテゴリー名を略したもの、という印象。

 また現行モデルではないが、助手席側の大型電動スライドドアが特徴的だった「ポルテ」は、その見た目どおりの「扉、ドア」の意のフランス語からつけられたものだという。

 また、日産の商用モデル「AD」は、「前進した、進歩した」を意味する英語「ADVANCED」の略語。「エーディー」と発音することから、個人的に型式がそのまま名前になっているのかと思っていたので、意味があることに驚いた。

 そのほか、ホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」は、英語の「Bezel(宝石の小さな面)」と「Vehicle(クルマ)」から造られた造語。角度によって表情を変える宝石のように「多面的な魅力と価値を持つクルマ」という想いがこめられているそうで、コンパクトながら使い勝手に優れるヴェゼルにぴったりなネーミング。また、かつてホンダのフラグシップミニバンだった「エリシオン」は、ギリシャ神話に登場する楽園の名前からつけられたそう。こちらも、フラグシップミニバンに相応しいネーミングだ。

電動輸送機器メーカーらしい由来の「テスラ」

 車名ではないが、バッテリーEVで知られている米国の企業「テスラ」の社名は、20世紀中期に活躍した発明家で電気技師である「ニコラ・テスラ」に由来しているという。同じ時代に活躍した発明家トーマス・エジソンとの確執でも知られるニコラ・テスラ。「どちらがより偉大か!?」という論争がしばしば繰り広げられるテスラとエジソンだが、テスラ社のCEOイーロン・マスク氏はやはり「テスラ派」なのだろうか!?

一方で「特に意味はない」というクルマも

 トヨタのミドルクラスミニバン「ヴォクシー(VOXY)」の車名の由来は、英語のVOX(言葉・声)をもとに、BOXY(箱型)を連想させるとしてつけられたものらしいが、兄弟車である「ノア(NOAH)」に関しては、なんと「特別な意味はない」という。ミニバンだけに「ノアの箱舟」からつけれたのでは、という憶測もあるが、そうではないとのこと。「bZシリーズ」のように、車名に壮大なテーマを掲げているトヨタ車のなかで、「特に意味はない」というクルマがあるのも、なかなか面白い。

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