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 絶好調のセールスを記録中の新型アウトランダーPHEV。国産他銘柄、そして輸入車からの乗り換えなど、多くの層から支持されている注目の一台である。

 先代モデルまではガソリンモデルもラインアップしていたが、国内市場において新型はPHEV一本で勝負! 北米や豪州には引き続きガソリンモデルを販売しているが、日本市場の戦法は本当に正解なのだろうか!?

文:山本晋也/写真:三菱・ベストカーWEB編集部

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絶好調のセールスを記録中!! アウトランダーPHEVは電動車の魅力満点

2021年10月にフルモデルチェンジしたアウトランダーはPHEV1本に絞った。それでも月に1400台前後のペースで売れ、好調な販売と言える

 三菱アウトランダーPHEVといえば、本邦におけるプラグインハイブリッド車のイメージリーダーともいえるモデルだ。実際、世界を見渡してもプラグインハイブリッドSUVでフルモデルチェンジを果たしたことがあるのは、アウトランダーくらいだろう。

 そして2021年10月のフルモデルチェンジにおいてPHEV一本に絞ったアウトランダーは月販1400台前後のペースで順調に売れている。

 2.4Lエンジンと前後の駆動モーターによる走りはアウトランダーPHEVだけの、まさに唯一無二の世界を実現していることが、好調な販売につながっているはずだ。またバッテリー総電力量についても先代より増やした20kWhとしたことで日常的にはエンジンを使わずにゼロエミッションで走行できるシーンを増やしたことも、カーボンニュートラル時代に求められる電動車としての魅力を高めているといえる。

国内はガソリンモデル廃止……この判断は大正解だった

 しかしながら、フルモデルチェンジ前には廉価版としてガソリンエンジン車も用意され、「アウトランダーのスタイルやパッケージは好きだけれどPHEVを狙うのは予算的に厳しい」というユーザーの受け皿となっていた。

 さらにいえば現行アウトランダーにおいても海外仕様ではガソリンエンジン車も用意されている。はたして、日本向けにもガソリンエンジン車を設定すれば、もっと売れる可能性はあるのだろうか。

 結論でいえば、ガソリンエンジン車を用意してもさほど販売台数は増えないだろう。その理由は販売実績を見れば明らかだ。

 新車効果のある新型モデルの売上と、先代のモデル末期のデータを比較するのはアンフェアかもしれないが、じつはガソリンエンジン車を用意していた先代アウトランダーでも月販平均は1300台程度の規模でしかなかった。フルモデルチェンジしてPHEVだけとしたアウトランダーの販売台数はほとんど変わっていないのだった。

 販売台数が同じ程度であるならば、まだまだ付加価値商品であるPHEVに絞ったほうが利益的にも有利であるし、プラグインハイブリッドといえばアウトランダーというイメージの強化にもつながる。ブランディング的にも正しい判断といえよう。

先代アウトランダーPHEVは5人乗り仕様のみであった。3列仕様が欲しいとなればガソリンモデルしか選べなかったのだ

 また、先代アウトランダーではプラグインハイブリッド用バッテリーの関係で、ガソリンエンジン車は3列シート、PHEVは2列シートとなっていたためにガソリンエンジン車を設定する意味もあった。だが、プラットフォームから一新した新型アウトランダーはPHEVにも3列シートを用意することが可能になり、そうしたネガを解決した。この部分もPHEVだけの設定とする判断を後押ししたことだろう。

 もともと、ミドル級SUVの3列シートだけに、日常的に3列目を大人が利用するというのは厳しいパッケージで、エマージェンシー的なスペースではあるが、それを求める声があるのも事実。逆にいえば、3列シート仕様を用意したことでアウトランダーPHEVの人気はより高まったといえるだろう。

 というわけで、ここまで見てきたようにアウトランダー単体を商品企画として見たときにPHEV一本の設定とすることは理解できるし、実際の販売実績を見てもガソリンエンジン車を廃止したことの大きなネガは感じられない。正しい判断をしたといえる。

ガソリンモデル廃止はエクストレイルが要因!? 差別化でブランディング

 しかし、日本向けのアウトランダーにガソリンエンジン車が設定されないのはそれだけが理由ではない可能性がある。

 新型アウトランダーはプラットフォームを一新したと書いたが、それはルノー日産三菱アライアンスの共通のモノであり、日産主導で開発されている。当然、同プラットフォームを使う日産車の存在しており、すでに北米ではローグとして販売されている。

 北米のローグといえば、日本ではエクストレイルとして販売されてきたSUVモデルである。半導体不足などの影響による販売計画の調整により、日本仕様の発売は遅れているようだが、いずれにしてもアウトランダーと共通プラットフォームのエクストレイルが日産から登場することは既定路線だ。

 日本向けのエクストレイルがe-POWER(シリーズハイブリッド)だけになるのか、ガソリンエンジン車も用意するのか、現時点でははっきりしたことはいえないが、わざわざアライアンスにおいて商品性や価格帯をかぶらせる必要はない。むしろ、しっかりと差別化してマーケットの共喰いをしないで済むようにすることがアライアンスの存在意義であり、意味といえる。

 その意味では、アウトランダーはPHEVに絞って、プラグイン(外部充電)で走るSUVというキャラクターを際立たせることがアライアンス全体においてはプラスになると考えたとしても理解できる。

ブランドイメージ復活のカギはアウトランダーにアリ!?

補助金を含めれば400万円ほどで手に入る。現在のインフラを考えるとPHEVはユーザーにとってちょうどいい選択肢と言えるのだ

 なお、アウトランダーPHEVの価格帯は462万1100円~532万700円。全グレードでCEV補助金は55万円が期待できるため最廉価グレードでは車両価格が400万円ちょっとになる。これは下手なEV(電気自動車)よりも安価な価格設定となっている。

 ましてプラグインハイブリッドは、EVと異なりバッテリーが電欠したときにはガソリンを給油すれば、何百kmでもノンストップで走ることができる(アウトランダーPHEVの燃料タンクは56L)。そう考えると、現時点でのインフラと環境対応としてはプラグインハイブリッドを選ぶのは最適解といえる。ゼロエミッションやカーボンニュートラルを“気にしている”ユーザーにとって、ちょうどいい選択肢となるのだ。

 アウトランダーPHEVの好調な販売は、このような社会ニーズに合致した部分も無視できないだろう。改めていうが、ガソリンエンジン車をなくしてプラグインハイブリッドに絞ったことでわかりやすくなったことがアウトランダーのブランド価値を高めている。

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