趣味目的で自分だけのオリジナルアイテム制作を考えている方も多いだろう。現在では昔とは違いオンラインでデータを流せば少ロットで作ってくれるところは多い。それでもあえて自分のこだわりで、店舗に出向いてプロのアドバイスを受けながら作ってみたので、バス趣味に限らず「自己満足」の参考にしていただきたい。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
考えるまでが楽しい!
バスマガジンなので、バス趣味限定のような形で書くが、オリジナルアイテムにプリントする写真なりテキストなりのデータは何でもよい。猫でも航空機でも鉄道でも風景でも人物でもだ。
こだわりの趣味アイテム制作は考えるまでが一番楽しい時ではないだろうか。自分なりにしても失敗は許されないし、イメージと違うものであれば大問題だ。
そこで全部オンラインで済ませるのではなく、店舗でプロのアドバイスをもらいながら自分のデータを配置していくことで満足できるアイテム制作をしてみた。
そこで渋谷センター街付近にあるプラスワンインターナショナルが運営する「プリントーン」を取材した。同社ではオンラインで完結できる製品も1個から注文可能だが、店舗ではその場で作ってくれるのがウリのひとつだ。
店舗で作れるのはTシャツやバッグやマグカップ等あるが、最も注文が多いのはやはりTシャツのようだ。棚に置いてある多くのTシャツからサイズや色を選択する。この段階でプリントするデータを示して相談すればいいだろう。
記者は普段着用するTシャツにバスの写真をデカデカとプリントするのではなく、胸の部分に国鉄バスの車両称号(車番や局番に相当する国鉄バスの車両番号)を入れることにした。
これならば数少ないバスヲタにしか分からず、自己満足に浸れるからだ。ここは個人の好みの問題なので好きなようにデザインすればよい。こだわりとわがままを聞いて相談に乗ってくれるプロスタッフは心強い。
こだわりはフォント!
国鉄バスの車両称号を入れるにしても店舗のコンピューターに入っているフォントを使えばTシャツ代金と文字入れ料金で済むが、そこはフォントまでこだわりたい。
残念ながら国鉄フォントは現在のところ商業ライセンスを提供していないので、よく似た国鉄フォントと称するフリーフォントを自分のPCにインストールして「画像」として出力して用意しておいた。
入れる称号は「744-9901」にした。この画像をスタッフに渡してPC上で位置や大きさを決める。デザイン上のアドバイスはしてもらえるので参考にしながら決める。
同時に自分で撮影したバスの写真をバッグとマグカップにプリントすることにした。これもTシャツと同様に画像データをスタッフに渡して画面上でイメージを見ながら決定していく。
なお、画像データはスマホからワイヤレスで渡してもよいし、USBメモリーに入れておいてその場で渡してもよい。
ここから先は非公開!
注文が完了すれば出来上がりのおおよその時間を知らせてくれるので、渋谷でブラブラと通り過ぎる京王バスや東急バス、ちいバスでも見ておけばよい。その後スタッフは出来上がりのデータを持って工房に入る。
ここから先は非公開だが、記者は取材のために特に許可を得て撮影した。同時に3つの注文をこなすために、まずは専用のプリンターでマグカップ用のデータを出力する。なんだか野暮ったい色で50年前の写真のようで不安になる。
これを切ってマグカップに貼りつける。実は出力された専用の特殊フィルムのインクをマグカップに熱転写するのだそうだ。フィルムを貼り付けたマグカップを専用の熱転写装置(アイロンのようなもの)に入れて加熱する。
その間にTシャツのプリントにかかる。これまた大型のプリンターにTシャツをセットしてプリントをする。その後にプレス機にかけてインクを定着させる。続いてプリンターのアタッチメントを交換してバッグにもプリントをしていく。
色がすすけていたマグカップは?
フィルムにプリントされたのを見た段階ではすすけた色だったのだが、よく見ると左右が反転していた。マグカップに転写するので当たり前だが、見たフィルムは裏側からだったのだ。熱転写を終えたマグカップはファンで冷却され、いよいよフィルムがはがされる。出てきたのは見事な光沢を放つバスの写真だった。
こうして出来上がった製品は梱包され、取りに来たお客さんに引き渡される。スタッフによると、やはりマグカップのような光沢のある製品の出来には誰もが圧倒されるそうだ。
趣味目的で画像データを持ち込むお客さんはこだわりを持って作りこんだデータを制作している人が多く、ふらっと寄って作る人はスマホに入っているお気に入りの写真データをその場でプリントして満足して帰っていくようだ。
著作物には注意
自分で撮影した写真データならば問題はないが、例えばお気に入りのレコードジャケットなどの著作物のスキャンデータは権利の関係上、プリントの引き受けはできないそうなので、趣味目的であっても著作物の場合は注意が必要だ。
バスだけではなく、鉄道や航空機、犬や猫、こどもが描いた絵画のデータをTシャツにプリントするのは楽しいし最高の自己満足だ。
時間をかけて作りこんだ版下で作られたアイテムをその場で持ち帰ることができる感動は趣味人であれば是非とも味わっていただきたい。趣味の自己満足は精神衛生上とても良い行為ではないだろうか。
投稿 自己満足の何が悪い!? 自分だけのバスへの愛をグッズに注ぎ込め!! は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。