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日本高校野球連盟(日本高野連)は27日、今夏に行われる「第104回全国高校野球選手権大会」(8月6日開幕)の運営委員会を開き、全席種での入場料の値上げを決めた。しかし、このニュースにネット上では反発の声が巻き起こった。

NEEPON / PhotoAC

高野連と、夏の大会を一緒に主催する朝日新聞によれば、バックネット裏の中央指定席は現行2800円が4200円に、一・三塁指定席は現行2000円を3700円に、現行800円のアルプス席は1400円に、外野指定席は大人1000円(現行500円)、子ども500円(同100円)にそれぞれ値上げされる。

日本高野連は値上げの理由を、「暑さ対策や感染症対策の費用が増加したため」としている。自由席は廃止され、全席指定で応援団以外の来場者入れ替えがなくなる。そのため、総入場者数が大きく減少することも予想される中での値上げに、日本高野連は「やむを得ず入場料を値上げすることにした」としている。

批判が多数派も一部で理解

このニュースにネット上では、次のような反対の声が寄せられている。

わざわざあんな真夏にやらなきゃいいじゃん

教育の一環じゃないの?なんで商売してんの

高野連って収益を上げるのが目的の団体なのか?

また、子ども料金を値上げすることに疑問を呈する声も出ている。

野球する子ども…減らないと良いなぁ…

子どもたちにとって日常的だった甲子園がどんどん遠くなっていく…。

その一方で、理解を示すユーザーも一定数いる。特に、全席指定席になることで、自由席の入場者が開門とともにダッシュして良い席を奪い合ういわゆる「開門ダッシュ」がなくなることへの賛同意見は少なくなかった。

「便乗値上げでは?」の声

このところ、原油高や原料費の値上げを理由に、生活必需品や食料品を中心に値上げラッシュが続いている。ネット上では、この機会に値上げを発表すれば目立たないことを狙った「便乗値上げなのでは?」といった意見も散見された。

夏の高校野球を主催する朝日新聞は、さまざまな場面で便乗値上げを批判する記事を出している。2019年10月からの「幼保無償化(幼児教育・保育の無償化措置)」の折には、「幼保無償化で便乗値上げ? 園長に直撃、漏らした本音」などの見出しの記事を出し、連日、政府の方針を厳しく批判していた。

東京・築地の朝日新聞東京本社(mizoula /iStock)

朝日新聞は、今回の値上げについて、主催者側を代表するコメントを発表するにとどめている。

指定席化により学校応援団以外のお客様の入れ替えがなくなるため、総入場者数は大きく減る見通しです。一方で暑さ対策や感染症対策の費用は増えており、やむを得ず入場料を値上げすることにしました。ご理解いただきますよう、お願い申し上げます。

朝日新聞と言えば、日本のクオリティペーパーを自称してきた一流新聞だ。ぜひ、その力を発揮して、今回の値上げが本当に必要なことだったのかを明らかにしていただきたい。できれば、子ども料金を値上げすることによって、子どもの野球離れが加速するのかどうかも調査していただきたい。

ちなみに、2020年の決算報告書によると、コロナ禍で減少してはいるものの、日本高野連は約13億円もの純資産を抱えている。日本高野連は、「高校野球は教育の一環で、商売ではない」としばしば強調する。そうであるなら、子ども料金までを値上げする前に、「身を切る改革」が足りないのではないかと個人的には思う。