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<p>【Mr.Children特集】ロッキング・オン・ジャパン編集長が、ミスチルの凄さを知った瞬間|Pen Online</p><p>【新着】【Mr.Children特集】ロッキング・オン・ジャパン編集長が、ミスチルの凄さを知った瞬間</p><p>ロッキング・オン・ジャパン1995年2月号(上)、1993年9月号(下)初めてミスター・チルドレンを取材したのが、1995年2月号の桜井和寿20000字インタビュー。「撮影は桜井くんがテロリスト役の設…</p><p>ロッキング・オン・ジャパン1995年2月号(上)、1993年9月号(下)初めてミスター・チルドレンを取材したのが、1995年2月号の桜井和寿20000字インタビュー。「撮影は桜井くんがテロリスト役の設定で、都庁の地下にダイナマイトを仕掛けるふりをしたり。いままでにない写真を掲載するため、気合が入りまくっていました」 『ロッキング・オン・ジャパン』という国内屈指の音楽誌を通して、邦楽の「いま」をつぶさに見つめ続けてきた山崎洋一郎さん。ミスター・チルドレンがメジャーデビューを果たしたのは、山崎さんが二代目編集長に就任してまもない頃だった。当時のミスチルについて訊くと「実はあまりピンときてなくて」と山崎さんは苦笑い。 「いわゆるアンダーグラウンドで活動しているバンドのひとつ、という認識でした。もちろん音源は聴いていた。でも、ポップすぎて手応えがないな、という印象だったのを覚えています」 1990年代の初めは、渋谷系バンドが台頭し始めていた。 「僕はそっちをプッシュしていて。だからインタビューなどの取材は副編集長に任せていました。誌面でも、渋谷系のオリジナル・ラブは大きな扱いで、ミスチルはモノクロの小さな記事に。このことは桜井くんがよく覚えていて、ついこの間まで、事あるごとに引き合いに出されましたね(笑)」 『Atomic Heart』(1994)トリプルミリオンという圧倒的なヒットに山崎さんが「ミスチルというバンドのすごさを認めざるを得なかった」という1枚。「当時、自分の雑誌では硬派なバンドを取り上げることが多かった。でも、このアルバムでポップミュージックの凄まじさを改めて感じさせられました」 そんな山崎さんも、徐々にミスター・チルドレンへの見方を変えていく。いや、最初は変えざるを得なかった、というほうが正しい。それは「CROSS ROAD」、そして「innocent world」というメガヒットシングルを収録したアルバム『Atomic Heart』を発売した頃。デビューして2年、ミスター・チルドレンは邦楽シーンのトップへ上りつめようとしていた。 「あっという間に国内で最も売れるバンドのひとつになっていました。その頃、CMタイアップのときはストップウォッチ片手に曲づくりをしているという話を聞いて。15秒間という限られた時間で、いかに人の心を惹きつけるメロディを生み出せるか、真摯に向き合っていた。これは自分がプッシュしていたロックバンドにはないアティテュード。もう、すごいと認めざるを得ませんでしたね」 —fadeinPager— 『深海』(1996)深い海の底に一脚の椅子が置かれたジャケットが印象的。「1曲目からそれまでとはまったく違うサウンドが衝撃的でしたけれど、このジャケットのイメージにぴったりだと感じたのが『ゆりかごのある丘から』の歌詞。サウンド的には『シーラカンス』にも強く惹かれました」 とはいえ「すごいけれど、心が引き込まれるところまでは行ってなかった」という山崎さん。本当の意味でミスター・チルドレンのすごみを知るのは、次のアルバム 『深海』を聴いた時だった。 「前作とは真逆で、シリアスかつダークなトーン。言葉も悲しみや苦悩に満ちている。そんな印象を決定づけたのは『ゆりかごのある丘から』でした。戦争と恋人をめぐる身も蓋もない絶望感が描かれた歌なのだけれど、歌詞をある種、虚無的な、でも美しいメロディーにのせて歌っている。年を経て絶望を垣間見た大人ならまだしも、 まだ20 代の超売れっ子スーパースターがこのような世界観を見事に描けることに衝撃を受けました」 ポップなだけでなく、ロックバンドよりもある種の毒や鋭い棘を秘めている。そんな彼らの一面を知り、これまでとは見方ががらりと変わったという。 『Atomic Heart』で不動の人気を獲得して以降、同誌ではミスター・チルドレンの特集を積極的に組んできた。二十数年におよぶ取材をいま振り返ると、それは常にスリリングな時間だった。 「桜井くんが苦悩を抱えていたり、活動休止期間があったり、新事務所を設立したり。取材する立場からすると、安定したスターバンドという感じはまったくない。 いつも急カーブを曲がっているようで、聞きたいことが満載でした」 それは、彼らの音楽性にも通底するものがあるという。 「変わり続けるんですよね、激しく。アルバムによって、音楽性を変えてくる。もちろん、そういうバンドは他にもあります。ミスチルが違うのは、人々を巻き込む力があること。普通、あるスタイルが気に入られたら、違うことをやると去っていく人々がいる。でも、ミスチルはみんな巻き込んで、雪だるまのようにファンが増えていく。それは本当に力のあるバンド にしかできません。ビートルズがそうであったようにね」 変わり続けることで、バンドとして成長を遂げてきた。山崎さんの目には、そう映る。 「なにか尖っていても、別の尖った部分が増えれば面も増えていく。それがどんどん積み重なって、 いまのミスチルは球に近い。マイナス面が見つからないんです。本当に偉大な才能だと思います」 いま彼らにメッセージを贈るとしたら、どんな言葉なのだろう。 「 30 周年だというのに、前しか見ていない。ポジティブなバイブスしか感じません。このまま突っ走ってほしい。次になにを見せてくれるのか、楽しみです」 —fadeinPager—</p>