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<p>被害女優座談会「性要求が当たり前の芸能界」 | 週刊文春 電子版</p><p>小誌が報じてきた芸能界の性加害。すべての発端は被害女優らの覚悟の告発だった。その声は業界の悪しき慣習を炙り出し、映画監督や原作者らを動かすに至った。3人の被害女優が集まり、激動の2カ月と胸中を語り合う。</p><p>小誌が報じてきた芸能界の性加害。すべての発端は被害女優らの覚悟の告発だった。その声は業界の悪しき慣習を炙り出し、映画監督や原作者らを動かすに至った。3人の被害女優が集まり、激動の2カ月と胸中を語り…</p><p>私はよくワークショップに参加するのですが、女優としての勉強がしたくて行っているのに、終わった後に飲みに誘ってくる監督などは今も多いです。こちらとしても、作品に起用してもらえるかもしれないと思うと、邪険にもできない。でもあまりにしつこく誘ってくるので、女優と飲みたい、あわよくば関係を持ちたいというのがワークショップの主たる目的なのかなと思ってしまう。この業界には監督が女優に手を出すのは当たり前と考えている人が本当に多い。 B子 私は、監督やプロデューサーから「脱げるの? 脱げないと、女優としての覚悟が見えない」などとよく言われました。その作品に脱ぐ必要性があるなら脱ぎますけど、と言い返すと、「女優が偉そうなことを言うな!」と明らかに見下した感じで言われたり。また、芝居が上手くできないと、「お前、ちゃんとセックスしてんのか?」と言われたりしました。 A子 木下氏も、食事の席で性的な話題を持ち出して「俺はなんだってしてきた」などと言っていた。俳優はここまでさらけ出さないといけないんだ! という調子で語っていました。 A子さん 大勢の前で芝居をするというのは、確かにある意味では自分をさらけ出す特殊な行為です。でもだからといって、なぜそこに性を絡めてくるのか。実際、「解放」などといって付け込んでくる監督やプロデューサーの話はよくあります。 B子 殴るなどの暴力や、性暴力も含めて、俳優をとことん追い詰めて何かを引き出そうとする人が未だにいる。演出家や監督が勉強していないのが一番の問題です。追い詰められると素の部分が出るので一見面白くはありますが、監督の引き出す力のなさの裏返しです。論理的な芝居の直し方が勉強不足ゆえに分からないから、殴ったり、物を投げたり、「セックスしてこい」などと平気で言えてしまう。 今、是枝裕和氏や西川美和氏ら有名映画監督も「映画監督のあらゆる暴力に反対する」旨の声明を発表するなど共感の輪が広がっている。だが一方で、声をあげた女優たちを苦しめるものがある。被害者側に落ち度があったと責め立てたり、「どうせ枕営業したんだろ」と侮蔑する「セカンドレイプ」だ。 A子 ネットなどでも「枕営業じゃん」と書かれますが、ほとんどは、優越的な立場にある人から、やらざるを得ない状況に追い詰められて、という性暴力や性的搾取です。自分から進んで「関係を持つから映画に出してください」なんて営業している女優はいません。 石川 ワイドショーでも、酷いコメンテーターの方がいますよね。まるで女優側に落ち度があるような。 A子 文春の報道後、「バイキングMORE」(フジテレビ系)から木下氏の件でコメントが欲しいと連絡があったんです。ところがその直前、番組でブラックマヨネーズの吉田敬さんが「一回キスされそうになって、断って、また誘われて、部屋まで行ってしまうのもどうなのかな」と女性に問題があるかのような発言をしたり、司会の坂上忍さんも、「言いづらいけど、そう感じている人はある程度いると思います」と言っていて。ディレクターの方には「セカンドレイプに当たるし、こう言われると、同じ被害に遭った人が声をあげられなくなる」と抗議のメールを送りました。 石川 そもそも「性被害」「性暴力」は、当事者が望まない行為だったか否かが重要なので、当事者抜きで第三者が被害の有無を決めつけるのはおかしな話です。芸能人の方がその場で思い付きの持論を述べるのではなく、性被害の専門家の方なども交えて丁寧に議論してほしいなと思います。 B子 自分の周りに被害者がいたら、と想像してみてほしいですよね。私も映画関係者が先日「あの女性たちは、売名で声をあげているんでしょ」と言っているのを偶然聞いてしまって驚きました。そもそも匿名の告発では売名になんてならないのに。しかも文春の記者さんからは、相手に質問状を送る際は、いつ頃、どこで、誰に対して行った行為なのかを明示しないと相手方も答えようがないので、質問状に実名を記していいかどうかを相談され、了承した上で質問状を送ってもらっています。私個人も提訴されるかもしれないリスクを抱えているわけで、プラスになることなんてない。今後も同じような被害が続いてほしくないという一心で告発しています。 B子さん</p>