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BMW & MINI Racing

開幕戦の舞台となったのはスポーツランドSUGO

新たにBMW M2とMINI JCWを用いたジェントルマンレースがスタート。3カテゴリーが混走するエキサイティングなシリーズ戦をレポートする。

BMWの入門用カスタマーレーシングカー「M2 CS Racing」を使ったワンメイクレース「M2 CS Racing Series」と、これまで5年間のシリーズ開催実績のある「MINI CHALLENGE JAPAN」がジョイント。その名も「BMW & MINI Racing」として、今年から年間5ラウンドでシリーズがスタートした。

この「BMW & MINI Racing」が面白いのは、各クラスのタイトルをワンメイクで争いながらも、ひとつのレースでM2 CS RacingとMINI JCW、そしてMINI CPS(Nゼロ車両)が混走する、ユニークなパッケージとなっていることだ。

ちなみにシリーズは各ラウンドごとに2戦行われ、第1戦のスターティンググリッドは予選で決定。そして第2戦のグリッドは、第1戦の結果を反映したリバースグリッドを採用するなど、ジェントルマンレースとしての工夫も随所に凝らされている。

BMW & MINI Racing公式ウェブサイト

FIA格式のGTレースに通じるM2 CS Racing Series

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♯25 TECH-M M2 CS Racing 水元寛規選手。記念すべき開幕戦をポール・トゥ・ウィンで飾った。

「BMW & MINI Racing」シリーズを観戦してまず感じたのは、3カテゴリー合同によるレースの奥深さだ。

それぞれのマシンが持つレーシングカーとしてのキャラクターが鮮明であり、自分が参加する視点で見ると、どれもきっちりと役割分担ができていて面白い。

M2 CS RacingはBMWモータースポーツがカスタマーレーシングカーとして提案するエントリーモデルで、これをステップとして、その上に位置する「M4 GT4」や、「M4 GT3」といったFIA格式のGTカーレースへと門戸を開いている。

ただし入門カテゴリーとはいえ、そのクオリティとポテンシャルは非常に高い。何より感心させられるのは造り込みの素晴らしさで、操作系の美しさや機能性は上級カテゴリーにも通じる出来映え。

さらにロールケージを張り巡らせたボディは車体剛性を大幅に引き上げるだけでなく、ドライバーの安全確保に大きく貢献している。

走らせる喜びを体現するレーシングカー

第1戦予選3番手から2位に追い上げた石井一輝選手(♯55 M2 CS Racing ダイワグループ)。

さらにこのシリーズでは、各国のカテゴリーに合わせて調整可能なエンジン出力も、最もハイパフィーマンスな450psバージョンを使用。3.0リッター直列6気筒ツインターボ「S55」ユニットのパワーを最大限に引き出して、後輪でこれをコントロールする楽しさがある。

こうしたBMWならではの走りをアマチュアドライバーでも十二分に享受できるのは、前述した車体剛性の高さに加えて、M2 CS RacingがABSやMDM(Mダイナミックモード)といった電子制御デバイスを備えているからである。かつその車高やジオメトリーを調整することで、レーシングセッティングを学んでいくことができる。

その先にスーパー耐久参戦や、国際格式のレースを夢見るジェントルマンドライバーにとって、「M2 CS Racing Series」はベストな選択のひとつである。

ストイックな本格レースが楽しめるMINI CHALLENGE JAPAN

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MINI JCWクラス第1戦でポールポジションを獲得した平田雅士選手(#9 IDI 平田空調 RH坂井 F56JCW)。

対してMINI JCW チャレンジカーは、F56型ジョン・クーパー・ワークスをベースに仕立て上げた生粋のレーシングカーだ。M2 CS Racingが次世代のレーシングカーとして電子制御デバイスを備えるのに対し、こちらはABSすらなく全ての操作をドライバーが行う。

車両重量はM2 CS Racingの約1500kgに対し1070kgと遙かに軽量で、コーナリングパフォーマンスだけで言えば低中速コーナーはJCW チャレンジカーの方が速いかもしれない。

ただしその運転はかなりシビアなようで、レーシングタイヤが作動する温度領域に入っていなければタイヤは簡単にロックするし、リヤも滑り出す。しかしだからこそ、ドライバーの技術は磨かれる。

昨年までヤリス・カップに参戦していた木村選手がこのカテゴリーを選んだのも、その先のステップアップカテゴリーとしてJCW チャレンジを選んだからだという。いわばJCW チャレンジは、今はなきシビックやインテグラ ワンメイクレースに相当する、ストイックなステップアップカテゴリーだと言える。

見所が盛りだくさんの3カテゴリー混走

BMW & MINI Racingでは速さと魅力が異なる3つのクラスが混走する。

クーパーSクラスは、上位2カテゴリーに比べてコストパフォーマンスに優れる、とてもユーザーフレンドリーなクラスである。そのベースとなるのはナンバー付きのクーパーSであり、オーガナイザーの定める「レース出場専用パーツ」を装着することで出場が可能。つまりNゼロ格式となる。同じダンロップながらタイヤはスポーツラジアルである「ZIII」が指定となり、レースではその使用も4本(1セット)までとコスト管理が考えられている。

パフォーマンスという点ではM2 CS RacingやJCWに遠く及ばず、レース中もラップされてしまうほどだったが、だからこそアマチュアでもそのを存分に引き出せるのだろう。レースではこのCPSクラスが一番白熱したバトルを展開しており、1コーナーまでに3ワイド!という状況も観ることができた。

ドライビングテクニックを磨くにも、レースの雰囲気を知るにも、いま入門用カテゴリーとして最も魅力的なのは、このCPSクラスかもしれない。

現状ではM2 CS Racingクラスが5台、JCWクラスが4台、CPSクラスが5台と、少しばかりさみしい状況になってはいるが、だからこそ今は狙い目だとも言える。ホスピタリティが充実しているのはBMWならではであり、参加者同士の雰囲気も非常にいい。これで参加台数が増えたら「BMW & MINI Racing」は、素晴らしいカテゴリーになるはずである。

レースレポート:記念すべき第1戦を制したのは・・・

「M2 CS Racing Series」の予選では♯8 LOVE CARS! BMWを駆る河口まなぶ選手と、♯25 TECH-M M2 CS Racing 水元寛規選手が抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り返し、最後は水元選手が1分32秒260のタイムでポール・ポジションを獲得。対して河口選手は最終アタックでセクターベストを更新しながらも、SPアウトコーナーでスピンを喫し、痛恨のクラッシュ。車体に致命的なダメージはなかったものの、ステアリングギヤボックスが破損したことが理由で、惜しくも決勝レースはリタイアとなった。とはいえSUGO屈指のハイスピードコーナーで、ドライバーが無事だったのは不幸中の幸いだったと言えるだろう。

迎えた第1戦決勝は9時54分から「20分+1周」というルールでスタンディングからのスタートを切った。「初レース、初ポール、初優勝をどうしても獲りたかった」という水元選手は、この第1戦に温存したニュータイヤを投入。「水元選手のタイヤが暖まる前に、なんとしてもトップに出たかった」という予選3番手の石井一輝選手(♯55 M2 CS Racing ダイワグループ)を振り切って、見事に開幕戦を制した。また3番手には奥村浩一選手(♯18 BRP★Toto BMW M2 CS Racing)、4番手には高橋裕史選手(♯101 BMWリーガルトップ レーシング)が予選順位をひとつ上げる形でゴールした。 

MINI JCWクラス第1戦でポールポジションを獲得したのは平田雅士選手(#9 IDI 平田空調 RH坂井 F56JCW)。決勝は昨年までヤリス・カップに出場(シリーズ3位)していた木村建登選手(#19 BRP★木村金属 F56 JCW EVO)が、予選3番手からバトルを制してトップチェッカー。なおCPSクラスは予選を制した川副健太選手(♯32 IDI アウティスタ★MINI F56CPS)が、見事にポール・トゥ・ウインを決めた。
M2 CS Racingクラス
Pos No. Driver Team Lap Time
1 25 水元寛規 TECH-M M2 CS Racing 14 22’01.482
2 55 石井一輝 M2 CS Racing ダイワグループ 14 22’05.872
3 18 奥村浩一 BRP★Toto BMW M2 CS Racing 14 22’18.940
JCWクラス
Pos No. Driver Team Lap Time
1 19 木村建登 BRP★木村金属 F56 JCW EVO 14 22’41.487
2 9 平田雅士 IDI 平田空調 RH坂井 F56JCW 14 22’43.168
3 500 中島功 5ZIGEN SHINSEI K.K. MINI 14 22’46.990
CSPクラス
Pos No. Driver Team Lap Time
1 32 川副健太 IDI アウティスタ★F56CPS 13 22’59.027
2 52 森岡史雄 MINI Kofu BIG LOVE. F56CPS 13 23’19.235
3 5 面野一 M.A.R.T. F56CPS 13 23’25.170

レースレポート:第2ヒートはリバースグリッドでさらに白熱

BMW & MINI Racing
BMW & MINI Racingの魅力は3クラスの混走。中速コーナーでは軽量なMINI JCWチャレンジカーの方が速い場合も。
前述した通りこの「BMW & MINI Racing」が面白いのは、第2ヒートがリバースグリッドでスタートすることだ。今回は参加台数の関係からM2クラスとJCWクラスが1位と2位の入れ替わりとなったが、CPSクラスは第1戦3位の面野 一選手(♯5 M.A.R.T. F56CPS)が1番グリッド、同2位の森岡史雄選手(♯52 MINI Kofu BIG LOVE.F56CPS)が2番グリッド、第1戦ウィナーの川副健太選手が3番グリッドから出走した。
 
レースはフォーメーションラップの最終コーナーで、JCWクラス11号車がストップ。レースは予定通りスタンディングスタートとなったものの、2周目からトラブル車両を回収するためにすぐさまセーフティカーが入るなど、慌ただしい展開となった。

スタートではM2 CS Racingクラストップの石井選手が危なげなくスタートを決める一方で、2番手の水元選手が失速。これを見逃さなかった奥村選手が2番手に立って序盤のバトルを展開した。その後5周目に水元選手が2番手へと浮上し、さらにトップを猛追したが、最終ラップでその差を2秒半まで追い詰めながら一歩及ばず。石井選手が2戦目にして、嬉しい初優勝を獲得した。石井選手は金曜日、雨の練習走行でクラッシュを喫し、これをチームが全力で復旧させての勝利だっただけに、その喜びもひとしおだっただろう。

JCWクラスでは、予選2番手からスタートした木村選手が、6周目にトップを走る平田選手(♯9 IDI 平田空調 RH坂井 F56JCW)をパスしてレースをコントロールし、今季2勝目を上げた。CPSクラスはリバースグリッド2番手からスタートした森岡選手が序盤トップに立つと、そのまま順位を守り切ってチェッカー。後方では激しいバトルが展開し、2位に面野選手、3位に田中瑞起選手(♯36 CIZ・TECH-M/TEAM ABE MOTORS F56CPS)が入賞した。 
M2 CS Racingクラス
Pos No. Driver Team Lap Time
1 55 石井一輝 M2 CS Racing ダイワグループ 12 21’58.981
2 25 水元寛規 TECH-M M2 CS Racing 12 22’01.525
3 18 奥村浩一 BRP★Toto BMW M2 CS Racing 12 22’13.318
JCWクラス
Pos No. Driver Team Lap Time
1 19 木村建登 BRP★木村金属 F56 JCW EVO 12 22’26.685
2 9 平田雅士 IDI 平田空調 RH坂井 F56JCW 12 22’26.966
3 57 天田亮 TEAM ABE MOTORS F56 JCW 12 22’50.439
CSPクラス
Pos No. Driver Team Lap Time
1 52 森岡史雄 MINI Kofu BIG LOVE. F56CPS 11 22’59.027
2 5 面野一 M.A.R.T. F56CPS 11 23’19.235
3 36 田中瑞起 CIZ・TECH-M ABE MOTORS F56CPS 11 23’25.170
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BMW & MINI Racingの第2戦3クラスのウィナーとそれを盛り立てるアンバサダーガール。左から長沢美穂さん、仲川エナさん、M2 CS Racingクラスの石井一輝選手(♯55 M2 CS Racing ダイワグループ)、MINI JCWクラスの木村建登選手(#19 BRP★木村金属 F56 JCW EVO)、森岡史雄選手(♯52 MINI Kofu BIG LOVE.F56CPS)、岡田夏芽さん、新木みおさん。

REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)
PHOTO/BMR委員会

BMW & MINI Racing 2022年スケジュール
日本各地の名だたる5サーキットで全10戦を開催

Rd.1 第1戦/2戦 スポーツランドSUGO(宮城県) 予選:4月16日(土)/決勝:4月17日(日)
Rd.2 第3戦/4戦 富士スピードウェイ(静岡県) 予選/決勝:5月15日(日)
Rd.3 第5戦/6戦 モビリティリゾートもてぎ(栃木県) 予選:7月2日(土)/決勝:7月3日(日)
Rd.4 第7戦/8戦 岡山国際サーキット(岡山県) 予選:9月24日(土)/決勝:9月25日(日)
Rd.5 第9戦/10戦 鈴鹿サーキット(三重県) 予選/決勝:12月11日(日)

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