北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU 1(カズワン)」が遭難し、11人が死亡、15人が行方不明となった事故。掃除用具のレンタルや経営コンサルを行なっている株式会社武蔵野の小山昇社長はかつて、事故を起こした運行会社「知床遊覧船」の桂田精一社長に黒字化に向けたアドバイスを行っていた。
そのアドバイスの内容は小山社長自身がダイヤモンド・オンラインで記事にしていたが、なぜか記事は現在、削除されていることがネットで話題になっている。
ネット上に残された記事アーカイブによると、小山社長は2017年夏、コンサルタントの顧客であった桂田精一社長の運営する宿泊施設「しれとこ村」に宿泊。桂田社長について、こう記述している。
いい宿ですが、桂田精一社長は有名百貨店で個展を行うほどの元陶芸家で、突然ホテル経営を任され、右も左もわからないド素人。運よく何もわからないから、小山にアドバイスされたことは「はい」「YES」「喜んで」ですぐ実行した。
観光船を是非とも購入するよう、後押しをしたという。
知床観光船が売り出されたとき、私は、
「値切ってはダメ! 言い値で買いなさい」
と指導した。
小山社長のコンサルタントによって、桂田社長は利益を生み出すことに成功した。
すると、赤字の会社があっというまに黒字に変わった。
一方、今回の事故は利益至上主義が招いた“人災”とも言われている。事故当日は波浪注意報が出ており、他の観光船や漁船は出航を取り止めていた。
小山社長は桂田社長に対して、どのような経営コンサルを行なっていたのか。また、記事が削除された理由は何なのか。株式会社武蔵野に問い合わせると、
小山は不在にしており、戻りません。この件について、一切お答えできかねます。メディアからの取材には応じておりません。
との回答だった。
記事削除の経緯についてダイヤモンド・オンラインに問い合わせたが、担当者不在のため、メールで質問を送付した。
小山社長のアドバイスは、
知床の冬は寒すぎて客数が減りますが、それなら寒さを逆手に取って、外にテントでも張ってマイナス20度の世界を体験できるプランを販売すればいい。
など、確かにアイデアとして面白いが、安全性を度外視しているようにも見える。2017年に桂田社長はどんな助言を受けていたのか、気になるところである。