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 まもなく日本発売される見込みの日産 新型フェアレディZ。歴代モデルのエッセンスを随所に投入するなどファン垂涎の仕上がりとなっている。注目すべきはダッシュボードに設置される3連メーターで、Zといえば! というほどおなじみの装備を踏襲しているのだった。考えてみればZ以外にもパジェロやハイラックスサーフなどにもあったが、なぜほとんどのモデルで廃止されてしまったのか!?

文:小鮒康一/写真:日産、トヨタ、三菱、ベストカーWEB編集部

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■歴代モデルにあった3連メーターを新型Zでも採用

 まもなく登場が予定されている新型フェアレディZには、歴代Zの意匠が散りばめられていることはご存じの通り。とくに初代S30型のエッセンスが多分に含まれており、240Z-Gが持っていたアクリルのライトカバーに反射するライトの光をイメージしたヘッドライトや、Z32に似ていると言われるテールランプでさえも、初代の横基調のテールランプが元祖なのである。

 そして車内では、最近のクルマとしては珍しくなった3連メーターがセンターコンソールの上部に陣取っているが、これもS30Zから受け継いでいる意匠のひとつとなっている。

新型フェアレディZがS30Zから受け継いだ3連メーターを採用。エクステリアだけでなく車内にも歴代モデルのエッセンスを注入しているのだ

 新型ではブースト圧、ターボ回転計、電圧計となっているが、S30Zのものは、メーター形状こそ3連となっているが、表示される内容は、一番左が時計、中央が電圧と燃料残量計、一番右が水温と油圧となっており、スポーツカーらしく多くの情報を読み取ることができるようになっていた。

■高性能車の証だった!! スポーツカーだけでなくRV車も必須のアイテム

 この3連メーターは高性能車の証ともなっており、日産ではR32型スカイラインGT-RやS14型シルビアのターボモデル、最終型のステージアのターボモデルなどにも標準装備となっており、まさに高性能車の証となっていたのである。

 他メーカーではどちらもラリーウェポンとして知られる三菱ランサーエボリューションやスバル インプレッサにも3連メーターがオプション設定されていたことも記憶に残るところだろう。

 またスポーツモデル以外ではパジェロやハイラックスサーフ、スプリンターカリブといった当時でいうところのRV車にも3連メーターが装着されることが多かった。

計4世代生産された三菱 パジェロだが、3連メーターが採用されたのは2代目モデルまで。最終モデルはデジタル化が図られた

 ただしこちらはエンジンの状態を表すものではなく、車両の前後と左右の傾斜角と高度や気圧、方角を示すものとなっており、RV車らしい情報を見ることができるものとなっていた点が大きな違いと言える。

 ただ、スポーツ系の車種にしろRV車にしろ、このメーター類の情報が必要なユーザーがどのくらいいたのか。そもそも精度が甘いと言われる純正メーターで事足りたのか? は疑問が残るところではあるが、当時はたくさんメーターが付いていた方がカッコいいという風潮があったのは間違いないところ。

■GT-R登場から3連メーターはディスプレイ表示へ!! 

 では最近のモデルではこういった3連メーターを含む追加メーター的な加飾が備わる車種がめっきり減ってしまったのはどういう理由があるのだろうか?

 そもそも最近のクルマでは水温計すら備わらず、冷却水が冷えているか、それでも高温になりすぎている状態で警告灯が点灯するようなシステムになっているものが多い。これは水温計の針の上下動を神経質に捉えすぎるユーザーが少なからずいるため、大まかな表示に切り替えたという説もある。

 もともと純正のメーターは少々の上下動では動かないようにダルな設定になっていると言われているが、それでも気にする人は気にするということのようだ。

 そしてもうひとつの理由としては、液晶メーターの一般化も挙げられるだろう。例えばR34型スカイラインのターボモデルにはコンソール上部に3連メーターが備わっていたが(OPのナビを装着すると備わらない)、GT-Rになるとマルチファンクションディスプレイに置き換えられ、さまざまな情報をディスプレイ上に表示する方式に代わっていた。

■フル液晶メーター普及でますます下火に!! そんな今採用した新型Zは感涙モノ

 現在ではナビのモニターだけでなく、ステアリングコラム前のメーターですらフル液晶というモデルも少なくないため、わざわざ部品点数が増える物理メーターを装着するよりも低コストかつ高精細に表示できるようになったというのも理由のひとつではないだろうか。

 また最近では安全性にまつわる部分でも厳しくなっていることもあり、視線移動が増える可能性がある3連メーターなどはメーカー純正で装着しにくくなってきたということもあるかもしれない。

 とはいえクルマ好きからしてみれば、メーターがズラリと並んだインストルメントパネルは心がときめくものであり、そういったモデルが2022年に新型車として登場するということは素直に歓迎したいところ。

 また、どうしても愛車にもメーターをたくさんつけたいという人は、アフターパーツメーカーからさまざまな追加メーター類がリリースされているので、そういったものをチョイスして自分だけのオリジナルインストルメントパネルを作り上げるというのもまた一興ではないだろうか。

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