コロナ禍の影響や半導体不足、部品の供給遅れなどで新車の納期が大幅に伸びている昨今。即納可能な中古車が注目を集めている。需要が高まれば価格も上昇するということで、今年の2月には中古車の平均取引価格が初めて100万円を超えた。購入を検討しているユーザーにとって不利な状況だ。
とはいえ、上昇しているのはあくまで平均価格。広い視野で中古車を探せば、上質かつ、手ごろな価格の車両を見つけることができる。特にあのメーカーの車種は……。
文/小鮒康一、写真/スズキ
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意外!? スズキの普通車が狙い目だ
そこで筆者がオススメしたいのが、スズキが販売している(していた)普通車たちだ。スズキというと軽自動車のイメージが強く、普通車のイメージは薄いかもしれない。
また、過去にはワゴンRワイドやエブリイ+(プラス)のように、軽自動車をベースとした普通車をリリースしていたこともあり、いまだにスズキの普通車は軽自動車の延長線上にあるというイメージを持っている人もいるかもしれない。
しかし、2004年にデビューした世界戦略車の2代目スイフトからは普通車専用の新規プラットフォームを立ち上げ、その基本性能を底上げしている。そのため、近年のスズキの普通車は他メーカーの車両に勝るとも劣らない実力を持ち合わせた車両となっているのである。
欧州コンパクトにも匹敵する実力の持ち主、スプラッシュ
最初にオススメしたいのは、コンパクトカーのスプラッシュだ。スズキのコンパクトカーと言えば前述したスイフトが代表格であるが、そのスイフト(2代目)をベースに欧州市場向けにリリースされたのがスプラッシュである。
全高以外はスイフトよりもさらにコンパクトなボディとなっているが、その走り味は完全に欧州車のソレとなっており、欧州ではオペル(ボクスホール)ブランドからも販売されていたと言えば納得できるだろう。そのため、コンパクトでありながら骨太な乗り味を楽しめる1台となっているのだ。
そんなスプラッシュは現在、安価なものは10万円を切る価格から、高額なものでも50万円台の価格となっており、ひと味違うコンパクトカーに乗りたい人にはかなりのオススメとなっている。
海外ではトヨタブランドでも販売されるバレーノ
続いてご紹介したいのが3ナンバーサイズのボディを持った5ドアハッチバック車であるバレーノだ。こちらも世界戦略車の1台となっているが、メインのターゲットはインドとなっており、実際に2021年11月にはインドでの累計販売台数が100万台を超えたれっきとした人気車である。
インドではプレミアムブランドから販売されるバレーノであるが、さすがに群雄割拠の日本ではプレミアムカーとして乗ると物足りなさを感じるかもしれない。
しかし、クルマ全体のしっかり感は非常に高く、1Lターボエンジンを搭載するグレードでは6速ATが採用(1.2L NAエンジンはCVT)されていることでキビキビとした走りを楽しむことができるし、アダプティブクルーズコントロールも標準装備。上級グレードでは本革シート仕様も用意されるなど、装備の充実ぶりは他の追随を許さないほど。
また、インドやアフリカ市場ではトヨタブランドから販売されていることからも、そのクオリティの高さを伺い知ることができる。
そんなバレーノは最終型に近い高年式車では100万円超のものもあるが、初期型(といっても古くても2016年式だが)に近いものであれば60万円台から見つけることができる。
現在のクロスオーバーSUVの元祖、エスクード
最後にオススメするのが、現代のクロスオーバーSUVの前身、ライトクロカンの元祖とも言えるエスクードの3代目モデル。
現在は4代目が販売中のエスクードであるが、先代モデルはビルトインラダーフレームを採用しており、全車がフルタイム4WDであるなど、本格的なSUVとしての実力も兼ね備えていた。この辺りはジムニーで培ったノウハウもかなり生かされていると言える。
また搭載エンジンも直列4気筒のほか、スズキとしては異質とも言えるV6エンジンもラインナップしており、車格に合った心臓部も用意されていた点も注目点だ。
そんな3代目エスクードは2005年から2017年と息の長い販売期間を誇っているが、100万円以内で狙うことができる車両の中には、2008年のマイナーチェンジでエンジンラインナップが一新された中期型以降の車両も多く見つけることができ、本格的なSUVを手ごろな価格で探したい人には打ってつけなのだ。
このように実はスズキの普通車はリーズナブルでありながら魅力的な車種が多くラインナップされている。これらの車種に共通する点は、どれも「世界戦略車」であるということだ。日本のみならず、グローバルで愛されるクルマ作りをしているからこそ、お値打ち価格でよいクルマが存在していると言えるのではないだろうか。
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