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約450個もの頭部パーツを制作し、動画やイベントごとにアバターの頭を入れ替えながら活動しているVTuber・プレイボーンさん。フリーゲームサークル「アレジゴクゲームス」の広報担当として動画を投稿しつつ、VRChatではワールド制作にも携わるなど多方面で活躍されています。

プレイボーンさんといえば、チャームポイントは取り外し可能な「頭」。この4年間で制作したスペアヘッドは450個以上にも及び、自作のワールドにはそのすべてが展示されています。

また、VRChatで遊べるボードゲーム「VRCバトペン」の制作者でもあり、ゲームで使うペンはすべて手作り。一時期は毎週新しいペンを追加しており、1年間で400本以上を制作した実績があります。ほかには2Dゲームも制作されていて、2022年1月には「Vtuber合体装置」を公開して話題になりました。

Moguliveでは今回、そんなプレイボーンさんにインタビュー。VTuberとして活動を始めた経緯をはじめ、ゲーム制作やコンテンツにかける思い、なぜVRChatでこのような活動をしているのかなどをお聞きしました。

もしかしたらゾンビだったかも? VTuber「プレイボーン」誕生秘話

――本日はよろしくお願いいたします。まずは読者の方に向けて、自己紹介をお願いいたします。

プレイボーン:
フリーゲームサークル「アレジゴクゲームス」広報担当VTuberのプレイボーンと申します。種族としてはリッチーをやっております。みんなにスケルトンって言われるんですけど、リッチーです。魔法使いが不死身になるために魂を箱に封じ込めて、擬似的な不死を達成した骨のモンスター……というのが、世間的な「リッチー」像でしょうか。私はぜんぜん考えていないので、「リッチーです」って言っているだけなんですけど(笑)。

一応ですね、アレジゴクゲームスにはZZ ZZZ(ズズ ズズズ)という代表がおりまして、私は「ZZZの骨が体からズルンと抜け出している状態」ということになっています。えっと、こっちにいるんですけど……。

プレイボーン:
こちらが代表のZZZでございます。この2人の関係性を表現する際に、私はいつも『寄生獣』を参照しています。あの漫画に「ミギー」というぐにゃぐにゃしたお手々のキャラクターがいますが、私(プレイボーン)のほうが「賢くないミギー」です(笑)。

1つの体に魂が2つある状態で、「ZZZの骨格だけが動いて、VTuberをやっているよ」という状態になります。ですので、質量的にはアレジゴクゲームスは実質「1人」であり、中身のほうが頭蓋骨はデカいという、不思議な構造をしております。

――VTuberとして活動を始めるきっかけはどのようなものだったのでしょうか?

プレイボーン:
「アレジゴクゲームス」というフリーゲームサークルがもともとありまして。ドワンゴさんの「RPGアツマール(現:ゲームアツマール)」というフリーゲームを投稿できるサービスで、2016年頃からゲームを投稿していました。

それで、VTuberがわーっと盛り上がった2018年にですね、「バーチャルキャスト」というサービスが始まることを聞いて、「アレジゴクゲームスも広報担当のVTuberを作ろうか」という話になったんです。当時は3DのVTuberが主流で――特にねこますさんなどが――ご活躍されていたので。

そこから実際にバーチャルキャストを使おうとしたのですが、3Dモデルを制作する際に……あの、色の付け方がわからなかったんですね。ボクセルで3Dモデルは作れたものの、テクスチャの概念を知らなかったので、何をやっても真っ白だったんですよ(笑)。

「それなら白くても違和感のないキャラクターにしよう」と思って生まれたのが、「骨」だったんです。そうしてプレイボーンが生まれたので、もしも一番最初に色の付け方がわかっていたら……多分、ゾンビとか別のキャラクターになっていたと思います。

――最初に「骨」ありきじゃなかったんですね……!

プレイボーン:
そうなんです! 骨になったのは「色の付け方がわからなかったから」なんです(笑)。それが最初ですね。

――初期の動画では「バーチャルゲームプレゼンター」を名乗っていますが、当初はゲーム紹介をメインに活動される予定だったのでしょうか。

プレイボーン:
そうですね(笑)。当時は何かを解説するVTuberさんが多く出てきていたのと、まだ自分のゲームを宣伝するまでは気持ちが追いついていなくて。まずは「自分の好きなゲームをプレゼンしよう!」と。

バーチャルキャストさん自体もプレゼンに適したサービスでしたし、実際にそこでプレゼンをしている方も多かったので。それで自分もゲームの紹介を始めたのですが……ちょっと自分でも「うーん……」と首を傾げる部分があって、3回くらいでやめちゃいましたね。

総数450以上! なぜ「頭」を作り始めたのか?

――その後、現在のような活動スタイルに至るまでの経緯を教えてください。

プレイボーン:
一番大きかったのはやっぱり、VRChatに来たことですね。たしか2018年の6月頃だったと思います。当時のVRChatはねこますさんの存在によって日本人ユーザーが増え始めたタイミングで、ボクセルのアバターを使っているユーザーも多かったんですよ。

犬若丸かなめさんという方がいらっしゃるんですが、ボクセル水着アバター披露会……だったかな? ボクセル水着の集会がVRChatでありまして、その時に「水着を着よう!」という話になったんです。

その頃の私はすでに、コミュニケーションの手段として頭を取ったり、別のものに変えたりということを多少やっていたので、その集会にも新しく頭を準備していこうと思いまして。水着のアバターがですね……えーっと……これですね。

――たしかに水着ですね(笑)。

プレイボーン:
水着ですね。紐のね。これがウケまして(笑)。

この時の体験が、私の「頭」――スペアヘッド作りにブーストがかかったきっかけです。イベントに合わせたりとか、出会った人に合わせたりとか、調子に乗って作り始めました。ほかに時事ネタもガンガン取り入れていたら、もう、どんどん増えちゃって(笑)。

――2018年には、すでにいろいろなスペアヘッドを作っていらっしゃったわけですね。

プレイボーン:
そうですね。で、この「頭」は素体を配布しているんですよ。ボクセルの編集ソフトさえあれば、この頭部の改変ができるので。ボクセルができる人たちに素体を配って、自由に改変してもらいつつ、スペアヘッドの種類が100種類を超えるたびに改変コンテストも開催しています。それでさらにブーストがかかって……という感じで、増えに増えて。

2018年の時点でスペアヘッドを展示するワールドは作っていたのですが、その時は100個に届かないくらいの数だったので、ものすごい速さで増えていっています。現在は450個を超えました(笑)。500個を超えたら、またイベントをやろうと思っています。


(スペアヘッドの展示ワールド「Playbones Heads Museum」。2022年5月現在、その総数はなんと454個。cluster版もあります)


ぽんぽこさんとのコラボの際に制作した、ぽんぽこヘッド&ピーナッツくんヘッド)

――今でこそ、BOOTHに行けばVRChat向けの3Dアバターやファッションアイテムがたくさん並んでいて、誰でも着せ替えられますが、2018年はまだ「着せ替え」のハードルが高かったような印象もあります。そう考えると、「頭を取り替える」というプレイボーンさんのようなことをされている方も、当時はまだ珍しかったのでしょうか。

プレイボーン:
そうですね。当時は自作アバターの入門としてボクセルが流行っていたので、ボクセルアバターはかなり多かったです。ただ、ボクセルは改変が難しい部類でした。

「作ったものをBlenderに上げてから全身を変える」という方法になるので、私のように別パーツを作るとなると、口パクとかを組み込むのが非常に難しい。自作アバターにリップシンクなども実装しようとすると、ある程度は知識が必要になります。

それにボクセルアバターは手が短い場合も多く、コミュニケーションの際の身振り手振りが伝わりにくいという問題もあり、徐々に人気がなくなっていったのかな……という印象があります。

その点、私はスタートから特殊でした。実はVRChatを始めたばかりの頃は、まだ頭が取れるようにはなっていなかったんです。でもある日、日本人ユーザーがメインで集まっていたワールド「ファンタジー集会所」で出会った人の中に、ガイコツの私の姿を見て「首、取れそう!」と、ポロッと言ってくれた方がいて。それを聞いて、「あっ! 取ろっ!」と思いました(笑)。

そこで頭を取れるようにして、別パーツにしたことで、いくらでも改変ができるようになりました。でも変えるのは頭だけなので、Blenderは通していません。Unityで直接いじっています。まばたきもリップシンクも一切ないので……メタ的なことを言いますと、首から下の部分だけで「アバター」としては成立しているんですよね。

首の部分が「頭」なんです。だから、スペアヘッドは骨格の上に乗っかっているだけなんです(笑)。とにかくそうやってネタにしやすいから、この首取り芸を始めた感じですね。

――先ほどの「骨ありきじゃなかった」というお話もですが、その場その場で周囲の声を取り入れていった結果が、今の姿と活動に結びついているんですね。スペアヘッドの種類を増やしつつ、でも基本的な姿は変わっていない、その一貫性も強みであるように感じます。

プレイボーン:
「おもしろいことはやっていきたい」という気持ちが大きかったので、どんどん吸収していって、今の私が作られている気がします。美少女化することもなく、イケメン化することもなく。

――そういえば取材前にTwitterを拝見したのですが、2018年と現在との比較画像を投稿されていましたよね(笑)。

プレイボーン:
そうそう! ずーっと同じ姿なので(笑)。変わった点としては、服をたまに着るようになったとか、頭の数が増えた、とかですかね。

――新しくスペアヘッドを作る際には、イメージをある程度は固めてから作るのか、それとも作りたくなったらすぐに取り掛かってしまうのか、スタイルとしてはどちらが近いですか?

プレイボーン:
それこそ、この「頭」を取るネタを衝動的に始めたように、基本的には衝動で物を作っています。時事ネタとか、ふと見つけたおもしろいものとか、ハッシュタグでポンと出た軽い企画とか。あとはイベントですね。たとえば魚系のアバターの集会だったら、魚のスペアヘッドをパッと作って導入する――という感じで。

このスペアヘッド自体、10分とか1時間とかでできてしまうので。長くても1時間ですね。元になる頭を改変していくだけなので、造形に悩まなければ10分程度で作れてしまうこともあります。

特にテーマがあるイベントは作りやすいので。スペアヘッド制作についてはもうずっとこのスタイルを維持していますし、作るのはめちゃくちゃ楽しいです!

スペアヘッドのバリエーションはすごい数になっていますが、顔は基本的に同じなので、みなさんも「あ、プレイボーンだ!」って声をかけてくれます(笑)。いろいろなワールドにスペアヘッドが置いてあるので、「会ったことはないけど、顔だけは知ってます!」みたいなことを言ってくださる方も結構多いですね。

自分にとってVRChatはゲームを作る場所

――振り返ると、VTuberデビューを経てVRChatに飛び込み、そこでも創作活動をされるようになったという流れになるのでしょうか。

プレイボーン:
そうですね。もともとは2Dゲームの制作がメインだったのですが、VRChatでUnityを触るようになって、「なんて作るのが楽なんだ!」と(笑)。少なくとも「動くプレイヤーが準備されている」のは、ゲーム制作者としては非常に楽でして。

私の持論なんですけど、ゲーム制作は「もしもこうだったら」と「プレイヤーがこうしたら」という2つさえそろってれば、ほぼすべてのゲームを作れると思っていて。VRChatの世界にはその両方がそろっているので、ゲーム制作者としては作らずにはいられないなと。

この「もしもこうだったら」というのはプログラム的な意味の話で、あの……「if文」ってあるじゃないですか。「もし、プレイヤーがここに入ったら、こうなる」という。これさえあれば、すべてのゲームは成立するんです。その仕組みがVRChatには元から実装されているので、こんなに恵まれた環境はないなと。

もはやここはゲーム作るための場所だと思っています。もともとゲームを作っていて、VRChatに来てみたらそのようなゲーム作りに適した環境だったので、「ここでも作り続けよう!」と。

――ちなみに、ゲームワールドはどのくらいの数を作られているのでしょうか。

プレイボーン:
ゲームワールド自体はそんなに数はないのですが……目立った実績としては、「VRCバトペン」でしょうか。「バトルえんぴつ」のパロディで作ったボードゲームなのですが、「2019年から約1年間、ワールドで遊べるバトペンを毎週更新して、400本作り続けていた」という実績があります(笑)。


(バトペンが遊べるワールドのひとつ「BatpenColiseum」に並ぶ、400本以上のバトペン)


(カードゲームのブースターパックのようなポスターに、少年心を刺激されます)

――なんと!? こちらも400以上!?

プレイボーン:
本家のバトルえんぴつは『ポケモン』や『ドラクエ』のモンスターが鉛筆になっていますが、VRCバトペンはVRChatユーザーをペンにしています。

VRChatで遊んでいるみなさんのキャラクターをお借りして、その人に合った技をご本人と相談しながらペンを作る。それを1年間続けていました。毎週更新で、1週間に10本ずつですね。それが多分、VRChatで一番有名なアレジゴクゲームスのゲームなんじゃないかと思います。

新しいペンを作るのは2020年にやめてしまったのですが、ちょうど先日、別のワールド制作者さんが、バトペンを遊べるワールドを作ってくださっておりまして。「バトルえんぴつ自体が懐ゲーなのに、そのパロディであるバトペンのリバイバルが起きている」という、不思議な状態になっています(笑)。第二のバトペンブームがきているのは、私としては嬉しい限りですね。

ゲームではよく「友達は別売りです」なんて言いますが、VRChatはある意味ではフレンドが用意されており、しかも物理演算を使えば、リアルと同じような挙動も実装できる空間です。リアルで会って遊ぶのと同じように、みんなで一緒にテーブルを囲んで、ゲームを楽しめる。「ここでバトルえんぴつを遊べたら楽しいぞ!」と思ったのが、VRCバトペンを作るに至ったきっかけです。

(公式大会も開催されています)

――実際に作ってみたら楽しくて、自然とペンのバリエーションも増えていったわけですね。

プレイボーン:
楽しくなって、400本! 基本的にそんな感じです(笑)。楽しくなると、やり続けちゃう。同じネタをこすり続けるのが多分好きなので、一度やり始めると止まらなくなっちゃうんですよね。

ものづくりといえば、私は「悪役結社ヴァリアール」というバーチャルの悪役の組織にも所属しているのですが、そのメンバーもほとんどがクリエイターです。アバターだけじゃなくて、ギミックやアニメーションも自作だったり。そんな、いつも何かを作っているクリエイターたちが集まる環境にいることもあって、「作る」ことが習慣化している感じです。

義務ではありませんが、周りに人がいると「やるかー!」という気分になりますし、もともと作ることが好きなので。VRChatは創作意欲がブーストされる環境だと思っています。

――プレイボーンさんが「ゲームを作ってみたい!」と思うようになった最初のきっかけは何でしたか?

プレイボーン:
「作りたい」って一番最初に思ったのは、インターネットのいわゆる「FLASH黄金時代」の頃ですね。Flash動画が好きで、学生の頃にAdobe Flashを買ったんですよ。でも自分で買う頃にはYouTubeやニコニコ動画が出てきていたので、もうFlashは斜陽に傾いていて。

ただ、何かを作りたい気持ちはやっぱりあったので、その頃はイラストを描いていました。やがてRPGツクールやUnityといったソフトが普及し、ゲームを作りやすい環境が整ってきたことで、自分のやりたかった「ゲーム制作」に舞い戻ってきたような感じですね。

昔から映像やゲームを楽しんでいた一方で、「作りたい」という気持ちもずっと持ち続けていて、いざそういう環境が整ってきたタイミングで、創作意欲が爆発した。そんな流れです。

最近は素人でもゲームを作れるソフトや技術が普及しているので、そういった「環境」の要因も大きかったように思います。というのも、アレジゴクゲームスはプログラマーのいないゲーム制作サークルなので。私自身、ぜんぜんプログラミングができなくて……。

VRChatにしてもRPGツクールにしても、コンポーネントというか、「こうしたらこうなる」がセットになっているので、その組み合わせでゲームを作っています。今でもそうですね。ずーっとツールのお世話になっている感じです。

――RPGツクールとVRChatでは2Dと3Dの違いなどもあるかと思いますが、ゲーム制作に際して、何かギャップなどを感じることはありますか?

プレイボーン:
いえ、意外と一緒ですね。VRChatには「UdonSharp」というプログラミング言語がありますが、私はそれを一切書けないので、みなさんが作ってくれたギミックを組み合わせたり、もともとVRChatに備わっているコンポーネントを使ったりしています。

たとえば「物を持ち上げる」動作も、そのコンポーネントを入れて、Unityに「これに重力判定をつけてね」と指示をしたら、そのとおりに動いてくれるので。そういうものを組み合わせてゲームを作っています。

バトペンもそうですが、本当だったら「HPを30減らす」際にはそういう処理を入れる必要があるんです。ただ、あれはボードゲームなので、「30ダメージを与える」と書いてあったら、対戦相手と自分が頭の中で「30減らす」と計算するんですね。これがゲームだったら「HPを30減らす」という処理をする必要がありますが、そのプログラムを私が書けないので、ボードゲームを遊ぶプレイヤーたちにお任せしています。

なので私がやったのは、ペンのテクスチャを書くことと、「このペンは転がるよ」という指示を組み込むことだけ。あとは全部みなさんにやっていただく形で、私が実装できない部分はプレイヤーにお任せしています。

――本家のバトルえんぴつも「転がす」という手触りが大切なゲームですね。「ゲームだから自動で計算してくれる」「ボタンを押せばペンが転がる」のではなく、プレイヤー自身に計算してもらうことで、「転がす」動作も含めて、リアルで遊んでいるのに近いゲーム体験につながっているのかなと思いました。

プレイボーン:
遊んでくれた方の声を聞くと、やっぱりそういった楽しさを感じてもらえているみたいで。

本当に「ゲーム」として作るなら、それこそ乱数を使えば、1~6まで出るランダム性を簡単に実装できます。でもそうはせず、「自分で鉛筆を転がして結果を見る」ことで、ある種の手触りを感じられる。 バーチャルなので一切“触って”はいないはずですが、実際にその場に集まってペンを転がしているように感じながら楽しめるのは、やっぱりVRならではの感覚かなと思います。

五足の草鞋を履いて5年目へ

――メタな話になるかもしれませんが、VTuber活動にゲーム制作と多方面で活躍されていますが、活動はお仕事の合間にされているのでしょうか?

プレイボーン:
そうですね。「ゲーム制作者」を名乗っていますが、もちろん社会人でもあるので、仕事もしています。それでVTuberもやっていて……あと、今は大学にも通っています(笑)。

なので、仕事・大学生・VTuber・ゲーム制作者・悪の組織と、五足の草鞋を履いていることになります。その中でちまちまとものづくりを続けている状態ですね。実は、頭よりも履いている草鞋の数のほうが多いという(笑)。

それだけやることが多いと忙しくはありますが、「やりたい」という気持ちでなんとか続けている感じです。「おもしろいものを作って、みんなに遊んでもらいたい」という一心でやっています。

――まさか学業も並行されているとは……! VTuber活動を始めてから活動に何か変化などはありましたか?

プレイボーン:
反応が! VTuberになってからは、反応がもうぜんぜん違います。

もちろん、作ったゲームにコメントをいただくことは以前からありましたが、バーチャルだと直接会って感想をいただけたり、目の前で遊んでいる姿を見られたりするので。クリエイターにとって「反応」は養分なので、得られる養分が2Dのゲームを作っていた時代とはぜんぜん違うな、と感じています。

ゲームもそうですが、「頭」の改変もそうですね。スペアヘッドを作って、変えて、取って……とやったら、すぐその場でみなさんのリアクションを見られるので。反応の速度と多さが昔とは段違いです。それが本当に嬉しくて、みなさんの反応を養分にすることで、なんとか続けられています。

――プレイボーンさんがこれまでに触れてきた作品の中で、印象に残っているゲームや、現在の活動に影響を与えているコンテンツはありますか?

プレイボーン:
そうですねえ……ゲーム作品だと、私がずーっと遊び続けているのは『どうぶつの森』ですね。NINTENDO64の頃から最新シリーズまで、20年間ずっと遊び続けています。本当に子どもの頃からずっと遊んでいて、『どうぶつの森』もある意味ではゲーム内でクリエイティブなことができるので――家具とかですね――もともとそういうものが好きだったのかもしれません。

そういえば、一番最初のNINTENDO64の『どうぶつの森』の主人公って、なぜだかわからないけどツノが生えているんですよ。なので……私にも、ツノが生えているんです(笑)。

――プレイボーンさんのツノって、そこからきているんですか?

プレイボーン:
帽子から出ているツノは、実は『どうぶつの森』からの流れです。「頭の上に何かがないといけない」というデザイン的な脅迫観念も持ちつつですが、このツノは完全にそこから来ています。あまり人に言ったことはないんですけど。

そのくらい好きでずっと遊んでいるので、『どうぶつの森』が私のゲームにおけるクリエイティブの原点なのかもしれません。もう10歳若かったら……多分、『Minecraft』を無限に遊んでいたと思いますが(笑)。

ゲーム以外だと、映像作品とかは音MADから影響を受けていると思います。先ほどFlashの話もありましたが、音MAD自体がFlash動画の文化の流れを汲んでいるような印象もありますし。インモラルな部分もありますが、そういうところも含めて、インターネットの煮こごりのような土壌で育ってきてはいる……と思います。

あとVTuberさんの中だと、フィンダーおじさんは尊敬……というか、「好きだなあ」とずっと思っていますね。

――ちなみに、フィンダーおじさんのどんな動画が好きですか?

プレイボーン:
いや、彼はもう……(笑)。それこそ、一番最初の「許してくれ、許してくれ」をこすり続けていて、あのパターンがいくらでもあるので、あれが一番好きですかね。私も同じ顔を作り続けているので、ちょっと似ている部分があるのかもしれません(笑)。

そういう好みもあって、やっぱりコメディ方面に行きたがるというか。コメディ系の方とか、アイドル系の方とか、VTuberさんもいろいろですが、私はどうしてもコメディ寄りの活動になっているな、という自覚があります。

おもしろおかしさを発信していきたい。オモロで生きていきたい。「歌ってみた」とかぜんぜんやりませんからね(笑)。

――ゲームや映像とはまた別ジャンルのコンテンツですが、水木しげる先生の作品も好きなのだとか……?

プレイボーン:
はい! もともと妖怪が好きで、アンデッドというか――私もアンデッドな姿になってしまいましたけど――そういった未知のものというか、「キャラクタライズされた怪異が好き」というのは昔からありますね。

なので、漫画家さんではもうずっと水木しげる先生が好きです。全部がっつりは読めていませんが、『水木しげる漫画大全集』とかは読んでいましたし……あとはやっぱり、『ゲゲゲの鬼太郎』ですね。

ジャンルとしてのアニメや漫画全般については疎いのですが、その中でも水木しげる作品は大好きです。『ジャンプ』を追っかけるとかはあまりしていなくて、妖怪とか、好きな漫画だけを読んでいた感じです(笑)。

――水木しげる先生の作品や妖怪について、どのような部分に魅力を感じますか?

プレイボーン:
やっぱり「不死」の存在が好きなんだと思います。「死」に対する嫌な感覚がずっと私の中にあって、過去に作った2Dのゲームの中でも、「死」を取り扱うことがたまにありました。

ただ、深刻な雰囲気の、暗いゲームはあまり作れない。どうしてもおふざけが出てしまうので(笑)。基本的にはコミカルなゲームが中心で、「死」が作品のテーマになっているわけではないのですが……「不死」というモチーフは、自分の頭の中にぼんやりとあり続けているのかな、という気はしています。
 
――「死」と聞くとシリアスなイメージがつきまといがちですが、作品の中であればコミカルに描くこともできますね。

プレイボーン:
作品自体が残ることも、ある意味では「不死」だと思うので。水木しげる先生はもう亡くなられましたけど、先生の作品は残っていて、それも不死のあり方だと考えています。

私自身、急にここから消えてしまったとしても、私のスペアヘッドはVRChatのいろいろなワールドにあるので(笑)。そういう意味では、私自身も部分的には不死を達成できているのかもしれません。

今後はVRの外にも作品を残せるよう、ガンガン取り組んでいきたいなと思っています。いろいろなところに残していけば……あ、そういう意味でも、私はリッチーになったのかもしれませんね。リッチーは「魂を封印してどこかに隠しておく」という形で不死を実現しているので。私は「作品」で魂を遺すやり方で、不死を実践しようとしているのかもしれません。

――プレイボーンさんのVTuberとしての姿と、ものづくりのスタンスが、今のお話でつながったように思います。最後に、今後の目標と展望を教えてください。

プレイボーン:
今後については、もちろん私自身――VTuberのプレイボーンを知ってくださることも本当に嬉しいのですが、やっぱり一番嬉しいのは作品を遊んでもらうことです。なので、もっといろいろな人に作品を見てもらいたいし、遊んでもらいたい。このスペアヘッドを使った遊びについては言語がいらないので、海外の人とかにも見てもらいたいですし、ゲームもこれからたくさん作っていきたいなと思っています。

――ちなみに、制作中のゲームやワールドなどはありますか?

プレイボーン:
実は……5月28日の4周年記念配信で言おうと思っていたのですが、「一切怖くないホラーワールド」を今作っています。絶対に怖くさせない、絶対に「おもしろい!」と先に言わせる、ホラーコメディワールドです。うまくいけば4周年のタイミングでお見せできるんじゃないかと思います。

あと、これは多分、夏以降になると思うんですけど、新しい2Dゲームも制作中です。こちらはちょっといろいろあってまだお話できませんが、「2Dのゲームもまだ作りますよ」ということで。

VTuberとしては、司会とかでぜひ呼んでいただければなと! もっといろいろな場所に活動を広げつつ、今までのようにゲーム作りも続けていきたいと思っています。これからもよろしくお願いいたします!

――5年目の活動も応援しております。ありがとうございました!

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