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<p>漫画「ゴールデンカムイ」連載終了 世界にアイヌ文化広めた8年 | 毎日新聞</p><p>漫画「ゴールデンカムイ」連載終了 世界にアイヌ文化広めた8年</p><p>単行本29巻で累計発行部数1900万部を突破した野田サトルさん原作の人気漫画「ゴールデンカムイ」(集英社)が、28日発売の週刊ヤングジャンプ22・23合併号で約8年間にわたる連載に終止符を打つ。魅力的なキャラクターによる冒険活劇が先住民アイヌへの関心を高めた功績は、各方面で評価されている。</p><p>連載は2014年8月に始まり、明治末期の北海道や樺太(サハリン)が舞台。日露戦争の帰還兵である「不死身の杉元」こと杉元佐一とアイヌの少女「アシㇼパ」が、敵対勢力と戦いながら金塊を探し求めるストーリーだ。書店員など漫画ファンの投票で決まる16年の「マンガ大賞2016」で1位に輝いて一層人気が高まり、アニメ化にとどまらず、実写映画化も発表された。 高い画力で描かれた個性的な登場人物が織りなす、息もつかせぬスリルとアクション。躍動感ある展開はファンを増やし、アイヌが主題ではないにもかかわらず、コメディー要素を織り交ぜながらアイヌの風習やグルメ、言葉などを随所にちりばめたことで、振興が課題となっているアイヌ文化への関心を飛躍的に高めた。作品に登場する土地などを巡るスタンプラリーが実施されたこともあり、アイヌや作品ゆかりの地を巡る「聖地巡礼」が読者の間で広まった。 ふらり訪れた男性、「野田サトル」のサイン アイヌ文化を受け継ぎ、文化施設などが点在する北海道平取町二風谷(にぶたに)も聖地の一つ。伝統的な技法や文様を取り入れて斬新な作品を生む木彫家、貝澤徹さん(63)の「北の工房つとむ」にも全国からファンが訪れる。貝澤さんは「漫画の影響で若い人や家族連れのお客さんが多くなった。ゴールデンカムイに携われてうれしかった」と話し、作品との縁に思い出を巡らせた。 「ゴールデンカムイ」のファンを工房で迎えている木彫家の貝澤徹さん=北海道平取町で2022年4月24日午後0時37分、谷口拓未撮影 15年6月、野球帽にリュックを背負った男性が、タクシーでふらりと工房を訪れた。聞くとアイヌが登場する漫画を描いていると言い、彼らの暮らしに欠かせない細かな文様の入った木彫のマキリ(小刀)を「作ってください」と依頼された。「サインを送ってくれたらね」と気さくに返すと、注文書に「野田サトル」のサインを書いて、立ち去った。 後日、改めてサインを添えたイラストがすぐに届いた。貝澤さんがお返しに彫ったマキリは、ゴールデンカムイの登場人物の所持品として作中で描かれ、単行本の表紙にもなった。野田さんからは礼状が届き、その後は「同じ物を」と注文するファンが続いた。反響は大きかった。 4月28日に始まる「ゴールデンカムイ」展覧会の来場者特典で配られる杉元佐一(後方)とアシㇼパのミニ色紙Ⓒ野田サトル/集英社</p>