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 西日本鉄道(西鉄)は7月1日から「福岡〜長門湯本温泉線」を開設する。1日1往復だが西鉄にしてはちょっと珍しい単独運行高速バスの誕生だ。

文:古川智規(バスマガジン編集部)


1日1往復の単独運行

 福岡県から長門市への路線バスは数十年ぶりだろうか。かつては北九州市の黒崎駅前から高速道路を利用せず長門市の仙崎まで走っていた路線バスがあった。サンデン交通単独の路線で北九州市内はクローズドドアだった。

 今回開設される路線は博多駅・天神から高速道路を経由し、北九州市内には停車せずに長門湯本温泉に直行する西鉄単独のいわゆる都市間高速バスだ。

 一方、長門市に路線を持つバス事業者は防長交通が近鉄バスと共同運行で神戸・大阪・京都へ夜行高速バス路線を持つ。新幹線が停車する新山口駅への直行バスは地元のタクシー会社がワンボックス車で2往復している。

 市内線はサンデン交通や防長交通が路線を持っている他、オンデマンドバスをタクシー会社等が運行している。

 西鉄が福岡との直行高速バスを運行する経緯は言及されていないが、日帰りでも3時間程度の滞在時間が確保されているので需要次第といったところだろうか。

ダイヤは1日1往復で日帰り可!

 ダイヤは博多バスターミナルが始発地で0901発、西鉄天神高速バスターミナルが0920発で長門市に直行する。長門湯本温泉には1206着、長門市役所前に1217着、センザキッチンに1224が終着だ。

 福岡行きはセンザキッチンが1530発、長門市役所前1539発、長門湯本温泉1548発で、西鉄天神高速バスターミナルに1833着、博多バスターミナルに1849着だ。

 運賃は片道4000円で、WEB購入に限り往復7000円。天神から長門湯本温泉まで約2時間45分の運行だ。予約開始は6月1日から、運行開始は7月1日からの予定。

ハーモニーで運行か?

 西鉄では「福岡〜長門湯本温泉線」の愛称を5月10日まで募集している。西鉄の専用フォームから応募でき採用者の中から抽選でペア宿泊券がプレゼントされる。

西鉄のハーモニー塗色(資料画像)

 車両は新高速バスカラーのいわゆる「ハーモニー塗色」になると思われる。素敵な愛称を提案してみてはいかがだろうか。

福岡発着なら勝算ありか?

 先日、北九州~大分線の運休が発表されたばかりだが、福岡発着であれば勝算があるだろうか。西鉄は福岡発着として開設した本州線で乗車が芳しくなければ後で北九州に追加停車する手法をとった路線が多い。はかた号はその代表例だ。

 距離があり時間がかかる夜行高速バスならさほどの時間的損失にならないが、近距離昼行だとそういうわけにもいかず、福岡発着で勝負したいところだ。

日帰りや1泊のお気軽ミニ旅にピッタリ!

 山陰線経由の特急列車や急行列車が存在しない今となっては、対抗は山陽新幹線しかない。しかし近隣には萩・津和野・秋芳洞等の観光地があるので、わざわざ新幹線に乗って長門市に行こうとする観光客が多いとは思えない。

 その点では西鉄の宣伝文句を借りるが「気のあう仲間とバスに揺られ、近況報告に夢中になっていたらあっという間にたどり着いた先は、長門湯本温泉街。 ~中略~ 暮らしの先の停留所。思い立ったらバスに乗るだけの、小さな旅。」というのはまさにこの路線の需要をたたき出す旅心の喚起と言えるのかもしれない。

 日本海側だが暖流のおかげで冬でもそれほど寒くはなく、海が臨める海岸が美しいことから風景写真やポスターの撮影地としても有名で、温泉ついでに映える写真を撮りに行くのもおススメの地だ。

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