もっと詳しく
発表から6年、生産が遅れに遅れたTVRグリフィス。ついにガソリンエンジン搭載が難しくなりEVとして発売との報道も

| EVとなったグリフィスは本来の魅力であった「軽量、アナログ」なマッスルカーとしての性質を失うことに |

不幸が続いたこともあるが、やはり見通しが甘かったと考えざるを得ない

さて、2016年に発表され、2018年から納車が開始されると言われていた「新型」TVRグリフィス。

TVRそのものは1947年に創業された名門で、軽量しかしハイパワーなクルマを送り出すことで人気を博し、一時は「イギリス最大の独立系自動車メーカー」として名を馳せることに。

その後1981年にはピーター・ウィラー、2004年にはロシアのニコライ・スモレンスキーへと経営権が渡り、2013年には再びイギリスのレス・エドガーへと経営権が移っています。

新生TVRグリフィス発表。「これが正真正銘のTVR、そしてブリティッシュマッスルカーだ」

| はたして本当に生産できるのかどうかが問題だ | TVRがブランド70周年の折、ついにその新モデル「グリフィス(Griffith)」を公開。すでに「グリフィス」の名を商標登録していたことは伝えられて …

続きを見る

新生TVRは「オールブリティッシュスポーツ」として華々しくデビューするはずだったが

そしてレス・エドガーのもとで発表されたのが新しいTVR「グリフィス」で、シャシーはゴードン・マレー設計によるiStreamを採用し、これはスチールのフレームをカーボンファイバーで挟み込んだ構造を採用することで「軽量、高剛性」、そして製造コストがフルカーボン製モノコックに比べて飛躍的に安価になるという特徴を持っています。

加えてボディのアウタースキンもカーボンファイバー製となり、全長4314ミリ、全幅1850ミリ、高さ1239ミリという比較的コンパクトな車体と相まって車体重量は1250kgと非常に軽量(に収まる予定だった)。

搭載されるエンジンはフォード製5リッターV8をコスワースがチューンしたもので、最高出力は500馬力を発生し、重量配分は前後50:50、0-100キロ加速は4秒以下というスペックを掲げます。

発表直後は大きな話題を集め、そして上述の通り2018年の納車を目指してプロジェクトが進められ、かのユーチューバー、Shmee150氏もこの手付金を支払っていますが、現在に至るまで1台たりとも納車されておらず、よって手付金の返還を求める顧客も多数発生している、とも報じられていますね。

なぜTVRグリフィスの生産が遅れたのか

そこで「なぜ」グリフィスの生産が遅れたのかについて、明確な理由は示されておらず、しかし(よくある)開発の遅れ、そして資金難が主な理由かと思われます。

その後はイギリスのEU離脱、コロナウイルスなど不運が続き、TVRはコロナウイルス関連のビジネスローンを200万ポンド分受け取るものの、しかし「2500万ポンドが必要」と言われる準備金には到底届かず、そしてこのままの状態だと生産のための工場の設備を整えたり、生産を行うこと自体ができない状況にあるという報道も。

参考までに、2019年にはウェールズ政府(イギリス)がTVRの株式3%を買い取り、さらに約2億8000万円を出資したという報道があり、2021年夏にはエンソーシア・メタルズ・コーポレーションなるリチウム採掘会社との提携が発表されていますが、これによって様々な計画の変化が生じたもよう。

2

なお、発売が遅れることにより、厳しくなる環境規制に対応できなくなる可能性が生じていることも報じられ、もともと予定していた「ガソリンエンジンオンリー」での発売がすでに難しくなっており、よって「これから発売するには何らかの電動化を行わなくてはならないだろう」という話も囁かれていたわけですが、今回新たに出てきた報道が「2024年にピュアエレクトリックカーとして発売される」というもの。

そしてこの報道を裏付けるべく、TVRは4月30日に開催されるモナコ、7月30~31日に開催されるロンドンのE-Prixのスポンサーになるという公式発表がなされており、こういった報道を見るに、TVRグリフィスはEVとして発売されることになるのかもしれません。

1

そして「EV」となると、もともとのグリフィスの魅力であった「コスワース製大排気量エンジン搭載、ドライバー・アシストなし、マニュアル・トランスミッション搭載あのアナログなマッスルカー」という特徴がななくなり、ほかメーカーのEVとまったく区別ができなくなるという懸念も。

ただ、TVRのCEO、レス・エドガー氏は今年はじめに「ガソリンエンジンを積んだグリフィスの生産は2023年の第4四半期にはじまる」ともコメントしており、新型TVRは「ガソリンとEVとの2本立て」となる可能性もありそうですね(そしてもちろん、まったく発売されないという可能性もある)。

あわせて読みたい、TVR関連投稿

TVRはグリフィスの発売が遅れるために「2030年にガソリン車が発売できなくなる」可能性を考慮。リチウムイオンバッテリー関連企業との提携が報じられる
TVRはグリフィスの発売が遅れるために「2030年にガソリン車が発売できなくなる」可能性を考慮。リチウムイオンバッテリー関連企業との提携が報じられる

| あの「反電動化」の象徴のようなTVRグリフィスがエレクトリックカーになるとはなんとも皮肉 | 自動車メーカーはその規模の大小にかかわらず環境規制に翻弄される さて、2016年に発表されたものの未だ …

続きを見る

発表からもう4年。TVRグリフィスは未だ生産が開始されず、このまま消滅もしくは規制に対応するためにEVもしくはPHEVになるんじゃないかというウワサ
発表からもう4年。TVRグリフィスは未だ生産が開始されず、このまま消滅もしくは規制に対応するためにEVもしくはPHEVになるんじゃないかというウワサ

| TVRはすでに予約金を受け取り受注を開始しているが、このままだとその返還要求を迫られそう | このまま生産できなかれば「今までの投資と苦労」が水の泡になるため、TVRとしてはなんとか生産を行いたい …

続きを見る

新型TVRグリフィスの生産がさらに遅れ、具体的な時期が不明に。いったいなぜこんなことに

| 自動車メーカーを立ち上げるのは本当に難しい | TVRは2017年に新型グリフィスを発表し、2018年には生産を行う予定だったもの、それがずっと遅れており、さらに今回「また遅れる」と発表。今回の生 …

続きを見る

参照:AutocarEvo, Shmee150

Copyright © 2022 Life in the FAST LANE. All Rights Reserved.