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 駐車違反の取り締まりを受けたという人はかなり居ると思いますが、配送業者など違反を取られがちな職業の人には死活問題となる、意外に知らない罰則がある。

 それが、「納付命令の原因となる違反が行われた日前(放置車両確認標章取付日)を起算日として6ヶ月以内に同一車両について3回以上納付命令を受けている場合に、公安委員会は、その車両について3月以内の期間を定めて運転禁止を命ずる」というものだ。

 使用制限命令を受けている時は、警察官が自宅までやってきて、所有者に使用制限命令を告げられるので逃げることはできない……。

 今回はこの使用制限命令と、ほかにもあるやってしまいがちな駐車違反例について詳しく解説していきたい。。 

文/高根英幸
写真/Adobe stock(トップ:Caito@Adobe stock)

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■最近話題になっている駐車場問題

 最近、芸能人や有名人が都内のコイン駐車場の高騰ぶりをSNSでネタにしたことは記憶に新しい。クルマ関係では駐車場問題は、さまざまな角度から話題になることが多いものだ。

 クルマで出掛けると、どこかに停めなくては休憩もできない。食事したり用事を済ますためには、ドライブスルーでも利用しなければ、駐車する必要があるのだ。

最近、都内のコイン駐車場の料金が高騰している(akiyoko@Adobe stock)

 しかし、クルマの駐車に対して軽く考えているドライバーは少なくない。近年は駐車監視員が導入されて、駐車違反の摘発が厳しくなったこともあって、路上駐車をするドライバーはかなり減少した。一時は幹線道路がスッキリして左車線も走りやすくなった感があったものだ。

 ここで過去形の表現を用いたのは、文字どおり過去の話で最近はやや路上駐車が見られるようになってきたからだ。

 シートベルトやチャイルドシートの装着率、スマホ操作のながら運転と同様、厳格化された当初は気を引き締めてルールを守ろうとするものの、やがて時間の経過により緊張感や注意力が低下して、「少しくらい……」という気持ちから、遵守意識が薄れてしまうようだ。

 しかし駐車違反に限って言えば、「駐車違反は取り締まりが厳しすぎるから仕方ない」と思っていると後悔することになりかねない。というのも駐車違反を短期間に繰り返すと悪質と見なされ、公安委員会から使用制限命令を受けることがあるからだ。

駐車違反を短期間に繰り返すと、公安委員会から使用制限命令を受けることがある(Ichiro@Adobe stock)

 使用制限は、クルマを仕事に使っている事業者にとっては、死活問題につながりかねない罰則だ。なにしろクルマが使えなくなるという状態は、その日の売り上げが望めないことになる。通勤にクルマを使っている人にとっても、不便極まりない処分だろう。

 この使用制限、運転免許の免停制度と同じように前歴によっても発令されるまでの納付命令の回数が異なる。

 例えば過去1年間に使用制限命令を受けていなければ、6カ月以内に納付命令を3回受けてしまうと使用制限命令処分となるが、こうして1回使用制限命令を受けてしまうと、6カ月以内に2回納付命令を受けただけで使用制限命令が下されてしまうのだ。

 さらに同じ1年以内にもう一度納付命令を受けてしまうと、前歴2回ではたった1回の納付命令で使用制限命令が下されてしまう。

 ちなみに使用制限期間は、普通車であれば2カ月間、大型トラックやバスについては、3カ月も車両を使用できなくなる。実際には運転免許の停止処分などと同様、該当するドライバーには警察署等から聴聞を受けることになり、クルマの使用状況によっては情状酌量の余地があると認められ使用制限期間の短縮をしてもらえる場合もあるようだ。

 クルマを使う人ほど、駐車違反を犯す確率は高くなるのだろうが、面倒がらずにコインパーキングを探して停めるなど、自衛手段は色々あるのだから、避けられる交通違反と言えるハズだ。

■駐車違反の取り締まりも変化してきている!?

 駐車と停車の違いについても、最近は解釈が変わってきている。以前はドライバーが乗車していれば「いつでもクルマを移動できる状態」として停車であると判断されてきたが、観光バスのツアー客待ちや、5分を超える荷物の積み下ろしなどは駐車と判断されて、ドライバーがいても駐車違反となるのだ。

 繁華街や高級住宅街などでは、地域住民からの苦情にも対応しなくてはいけないのだろうが、ドライバーが乗っていても駐車違反の取り締まりを受けると警告する立て看板が掲示されているところもある。

 それと忘れてはならないのは、道路交通法では駐車や停車が禁止されているエリアが定められていることだ。駐車禁止、駐停車禁止の標識や表示があるエリアは当然のこと、たとえ標識がなくても駐車禁止となっているエリアは意外と多いのだが、覚えているだろうか。

標識がなくても駐車禁止となっているエリアは意外と多い(yosuke14@Adobe stock)

 交差点から5m以内の場所は駐停車禁止だということは、ほとんどのドライバーが記憶しているハズだ。しかし交差点ではなく曲がり角でも前後5mは駐停車禁止である。

 坂の頂上付近や勾配の急な坂の途中、トンネル内も駐停車禁止だ。また横断歩道や自転車横断帯とその前後5m以内も駐停車禁止だし、踏み切りとその前後10m以内も駐停車禁止だ。地域は限定されるが路面電車の軌道敷内は当然、駐停車禁止であるし、安全地帯の左側とその前後10m以内も駐停車禁止だ。

 バス停(路面電車も含む)から10m以内の場所は運行時間中は駐停車禁止だが、実際にはバス停さえ避けていればいいと思っているドライバーも見かける。これらは停車も禁じられているので、駅前で乗員の乗り降り(送迎など)のためにバス停に停車する行為も違反なのだ。

 消防署の出入り口から5m以内は駐車禁止であるし、信号待ちや渋滞でも停車しないよう路上にペイントで規制されているが、気付かずに前走車に続いて進み、停めてしまっている車両を見かけることも珍しくない。

 消火栓の標識付近や消防用防火水槽の取り入れ口から5m以内も原則として駐車禁止だ。その場所だけ避けていればいいのではなく、前後にクルマ1台分の余裕を設けることが必要なのである。

 個人の住宅など車庫や駐車場の出入り口から3m以内の場所も駐車禁止だが、守られていないケースもある。

 また、いつもは駐車していても大丈夫な場所でも、その日は駐車違反になる場合もある。例えば道路工事はその端から5m以内は駐車禁止だ。つまり自分が停めた後でもそこで道路工事が始まれば、駐車違反で検挙される可能性がある。

 なかには駐車禁止ではない道路もあるが、それでも長時間の駐車は保管場所違反として検挙される可能性がある。これは夜間は8時間、昼間なら12時間同じ場所に車両を停めっぱなしにしてしまうもので、道路を保管場所として使用していると見なされてしまうのだ。

 さらにクルマを停めたことで右側に3.5m以上の道路幅が確保できていないと、無余地駐車となり駐車違反となる。標識によっては、さらに大きな道路幅を確保することが義務付けられている道路もある。

 駐車禁止ではない場所はたくさんのドライバーがクルマを停めるシーンもあるが、道路の両側に停めることで無余地駐車になってしまう可能性もあるのだ。この駐車時間や無余地駐車に関して注意を払っている人は、どれだけいるだろう。

道路の両側に停めることで無余地駐車になってしまう可能性もある(Satoshi@Adobe stock)

 駐車違反などの軽微な違反でも、犯してしまうと最低1年間は違反点数が記録され、免停処分などを受けやすい状況に陥ってしまう。また5年間無事故無違反を続けられれば、次の免許更新時にはゴールド免許を取得できる。

 免許がゴールドになると、自動車保険の割引率が高くなる、つまり保険料は安くなるなど恩恵がある。そのためにも防げる交通違反はしないようにするべきなのだ。駐車違反は、その代表的なモノと言える。

 ともあれ駐車違反を軽く考えていると、トンでもない処分を受けることになることもある、ということだ。

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