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シュトゥットガルトのレトロクラシック2022で見かけた最も美しい車たち。シュトゥットガルトのレトロクラシックは、ドイツのクラシックカーシーンにおける中心的なミーティングポイントの一つだ。2022年、BMW M3からボルボ850T-5Rまで、最も美しいクラシックカーやヤングタイマーたちが展示されていた。レポート。

シュトゥットガルトで開催されるクラシックカーフェア「レトロクラシック」は、特に南ドイツや近隣諸国のクラシックカーシーンにとって重要なカーイベントとなっている。ヨーロッパの自動車メーカーやクラシックカーディーラーたちが、シュトゥットガルトでコレクションや販売用のヒストリックカーを紹介するのが恒例となっている。また、ハーレーダビッドソンなどのバイクメーカーが、シュヴァーベン地方の大都市で歴史的なマシンを展示している。

コレクションの解体: VWの名車を派手な色で、しかも最高のコンディションで! このカラフルな車たちはまるごと売りに出された。

2022年、レトロクラシックは再び、4月21日から24日までシュトゥットガルトで開催された。今年は、パンデミック前に比べて規模がじゃっかん縮小される一方、スローフードやニューモビリティのフェアが追加開催されて人々を楽しませた。

主催者は、この見本市の将来をこう考えている

ボルボ850T-5Rとアルファロメオ155 V6、どちらもなまめかしいほどパワフルな春の彩りのご挨拶だ。

レトロメッセンの社長であるカール ウルリッヒ ハーマンは、自信をもって未来を見つめている。2023年の見通しは以下の通り。「フェアの規模は需要次第。また、需要が回復し、全ホールを使用できるようになることを期待しています。来年は海外からの出展も期待したい。私たちの焦点は常に量より質です。何でもいいものをホールでお客様に見せたいとは思いません。」

クラシックカーシーン全体にとって重要な課題

世界ヴィンテージカー協会(FIVA)会長のティド ブレスタース氏は、「クラシックカーは、私のような年寄りを若返らせてくれる」と、フェア(そしておそらくはシーン)にとっての挑戦を見据えている。「クラシックカーを存続させるためには、若い人たちに古さを感じさせずにクラシックカーに乗ってもらわなければなりません。」

AUTO BILD KLASSIKはツアーに参加し、フェアと会場に並ぶクラシックの数々を楽しんだ。

レトロクラシック・シュトゥットガルト2022のハイライト

手前は1992年にHライセンスを取得したばかりの「フィアット ティーポ」で、走行距離はわずか21,000km。わずか5,900ユーロ(約80万円)という魅了的な価格でニューオーナーを待っている。後ろのラゲッジラックとフォールディングルーフを備えたかわいい「フィアット500」は40年前のもので、7,900ユーロ(約108万円)するそうだ。それでも日本での価格を考えればはるかに安い。隣に並んでいる「ルノー4 GTL」も同じ値段、つまり108万円だという。1971年製で、これまたすでにHライセンスを得ている。
未来は過去に憑く・・・。SFコメディ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で有名になった、翼の広がった、つまりガルウィングドアの「デロリアンDMC-12」。9,000台ほどしか作られなかったが、V6エンジンをリアに搭載したこの車は、現在でも非常に人気がある。しかも、「レトロクラシック」では、電気駆動に改造して提供されているほどだ。
1983年に発売されたコンバーチブル仕様の「ルノー5(サンク)」。ベルギーのEBS社が1986年から1991年にかけて行ったコンバージョンで、わずか1,400台しか製造されなかった。すでにHライセンス承認済みで、8,500ユーロ(約115万円)。「ルノー5」の珍しいコンバーチブル。個人的には普通のほうが好き。
わずか1,506台のうちの1台: E30シリーズ(1982-94)の「M3」が、ポーランドのディーラーから一見して無傷の状態で展示販売されていた。走行距離79,000km、大規模な「メカニカルサービス」を受けており、エンジンもオーバーホール? しかし、それ以外はほぼオリジナルの状態であるという。素晴らしい車、そしてやはり素晴らしい価格: 83,333ユーロ(約1,150万円)。
春のカラー: クリームイエローは1995年製241馬力の「ボルボ850T-5R」、明るい赤は1996年製166馬力の「アルファロメオ155 V6」。 どちらもマニュアルトランスミッションだ。「850」はスペインから来たもので、「850」などのボルボの場合、錆の心配はあまりない。走行距離149,000km、2.3リッター直列5気筒ターボ搭載で、価格は33,850ユーロ(約465万円)だ。日本(!!)から輸入した2.5リッターV6搭載のアルファは、走行距離111,000km、価格は30,155ユーロ(約415万円)となっている。どちらも高価な価格ではあるが、程度を考えれば納得いくだろう。
小金持ちのための小さな車: 「ルノー4(キャトル)」は1961年、当初26馬力で発売された。多くは生き残れなかった。ただ、安くて燃費のいい車であることは確かだ。1966年製の極めて保存状態の良いこの個体は、すでにHライセンスを取得している。価格は12,900ユーロ(約176万円)とのこと。年式を考えれば妥当な値段だし、程度もよさそうだ。
もちろん、フェアにはクラシックカーシーンの代表的なレジェンドは欠かすことはできない。メルセデスの「300SL」は、ガルウィングやロードスターとして、価格計算の指標になる。5年前、「コンディション2」のクローズド版は100万ユーロ(1億3千8百万円)を優に超える値がついた。素晴らしい直列6気筒を搭載したこの伝説のスポーツカーは、現在でも7桁の価値があるのだ。十分納得行く価格といえよう。
これはアートなのか? この錆びた鼻は、オリジナルの「ポルシェ356」に由来するもので、ポルシェの広告ポスター、切り絵、特大の紋章なども含まれた彫刻の一部だ。例えば、ガレージの壁に掛けることもできる。芸術については議論の余地はないが、狩猟のトロフィーを展示することは、私たちにとって少し不敬な行為に思える。この356をモチーフにしたアートは7,950ユーロ(約110万円)という価格だった。正直ちょっとビミョー。芸術は難しい・・・。
完全に乾いた状態だ。民間で唯一連続生産されたフローティングカー「アンフィカー」(水陸両用車)。1961年から68年にかけて4台が製造されたこのクルマは、ドライブだけでなくスイミングにも適している。後部の2つのスクリューは2段目のギアボックスを介して駆動でき、前輪は陸上と同じようにステアリングに使用される。価格: 運転も水泳もできるアンフィカーは最低でも3万ユーロ(約415万円)はする。水に入るときにはくれぐれも整備を入念に。
美しい背中が魅力的な「メルセデス190 2.3 16V」。走行距離は63,000kmで、30年経過した割にはほとんど走っていない。195馬力で触媒コンバーターがないため、フルパワーを発揮可能だ。これまた日本(!!)からの輸入車で、売主は58,344ユーロ(約805万円)を希望している。程度もなかなかよさそうだ。
ブルーな喜び: この「アルピナB6」は、6気筒エンジンを搭載した「BMW M3 E30」で、1989年製だ。残念ながら非売品で、「レトロクラシック シュトゥットガルト2022」の来場者の目を楽しませる展示品だ。当時、261馬力の6気筒と5速MTの新車価格は9万5千ユーロ(約1,300万円)だった。そして今日は? 最低でも6万ユーロ(約828万円)。なんとも魅了的なアルピナブルーの一台。
素晴らしいコレクションから、1台でも欠けることは常に残念なことだが、それがこれほど完璧な作品のコレクションであればなおさらだ。ここでは、65年式「カルマンギア」(最前列)が46,900ユーロ(約647万円)、77年式「ウェストファリア-T2(オートマチック)」が89,900ユーロ(約1,240万円)、75年式「シロッコ1」が37,900ユーロ(約523万円)、「ゴルフ1(76年式グラスグリーン)」が25,900ユーロ(約357万円)など、最高の状態のVWモデルが売りに出されていた。一台一台が実に美しい! そして今回はそれが、ばら売りされているのだ!!

Text: Roland Wildberg, Lars Hänsch-Petersen and Henning Hinze
Photo: autobild.de