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<p>「コーダ あいのうた」俳優 トロイ・コッツァーさんに聞く|NHK</p><p>アカデミー賞で作品賞に選ばれた映画「コーダ あいのうた」 耳が聞こえない両親や兄と暮らす高校生の娘が主人公の作品です。 父親役で聴覚に障害がある俳優として初めてアカデミー助演男優賞を受賞したのが、トロイ・コッツァーさん。作品に込めたメッセージを語りました。</p><p>映画「コーダ あいのうた」に出演し、ろう者の俳優として初めてアカデミー助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーさん。映画に込めた思いを語りました。</p><p>「聴者の俳優と共演するときは、まず脚本を読んで、セリフを言う時のイントネーションがどんな感じか、どう声が揺らぐのかを俳優から聞き出します。そのうえで、その声のトーンと合うような手話をしようと心がけました。そしてニュアンスをシームレスに捉えるために、俳優たちと一緒に演技を作りあげていきました。手話と口語、あるいは話し言葉がシンクロするのは、とても楽しい作業でした。 私は、たまたまろう者でもあるというだけで、どんな役でも演じられる俳優です。自分に限界があるとは思われたくありません。手話というのは本当に豊かな言語です。文字で書かれたものよりも、はるかに多くの情報を伝えることができます。それは、音声言語を超えることだってある。私は何年にもわたって手話で演技をしてきましたが、自分が手話で表現していることを英語に訳すことができないことも多いくらいです」 この映画は大きな1歩 しかし、「コーダ あいのうた」では、ろう者の役を、実際にろう者の俳優が演じました。 主人公の母親役は、ろう者として始めてアカデミー賞の主演女優賞を受賞したマーリー・マトリンさん。 兄の役は、アメリカの手話演劇の劇団「デフ・ウェスト・シアター」でキャリアをスタートしたダニエル・デュラントさんが務めています。 母親役を演じたマーリー・マトリンさん そして、コッツァーさんが演じたのは、漁師として精力的に働き、時には仲間と下品な冗談を言い合い、そして、愛情深く娘と向き合う、そんな父親の姿でした。 コッツァーさんは、ろう者の俳優たちが演じたことが、この映画のポイントの1つだといいます。 「耳が聞こえる俳優がろう者の役を演じているのを見て、説得力がないと感じていました。観客は、手話というのはただ手を動かせばいいと思っているかもしれませんが、もちろん、それは間違っています。私はそこに限界を感じていましたし、その限界をはねのけなければならないと考えていました。この映画のおかげで、私たちはついに大きな1歩を踏み出して、ろう者の文化がどんなものなのかを聴者の方々に見せることが出来るようになりました。人は誰でも、その人の言語と文化を持っています。私たちろう者も人間であり、おなじように言語と文化を持っているのです」 この作品がテーマにした「コーダ(耳が聞こえない親に育てられた耳の聞こえる子ども)」は、幼いときからろう者とともに過ごし、それでいて耳が聞こえる聴者でもあります。コッツァーさんは、ろう者と聴者をつなぐ存在として、「コーダ」の主人公が描かれた意味は大きいと言います。 「コーダは、聴者とろう者の両方の世界、両方の文化を1つに繋げることができます。この作品からコーダという存在がなかったら、昔ながらの『ろう者はかわいそうだ』とか、あるいはろう者を被害者だとして描くことが、この先30年続いていたかもしれません、この作品が、やっとその誤解を打ち壊すことができたと思っています」 音のない世界</p>