第89回G1東京優駿(芝2400m)が29日に行われる。「セイウン」「ニシノ」の冠でおなじみの西山茂行氏のセイウンハーデス(牡3、栗東・橋口慎介厩舎)は1枠2番からの発走となる。金曜日発売で15番人気と前評判は低いが、運を味方に好走が期待される。
■皐月賞組に圧倒的な支持
今年のダービー戦線は混戦模様。金曜日発売のオッズを見ると、1番人気が皐月賞3着のドウデュース、2番人気が同4着のダノンベルーガ、3番人気が同2着のイクイノックス、4番人気に皐月賞馬のジオグリフが入る。
5番人気にようやく別路線・G2青葉賞優勝のプラダリアが顔を出す。もちろん、レース当日までに変動する可能性はあるが、皐月賞組が圧倒的な支持を集めている。
その皐月賞を見ると、大外枠から好位につけ、向正面からジワジワと上昇して直線で抜け出したところを差し込まれたイクイノックスと、最後方付近まで下げて直線勝負に賭けたドウデュースが内容的に強さを感じさせ、この2頭が1、3番人気となったのは納得できる。
ドウデュースはメンバー最速の上がり3f33秒8の末脚を使っているため、今回も控えて3角過ぎから上昇、4角では前を交わせる位置につけて抜け出しを狙うと思われる。イクイノックスは皐月賞に続く大外枠。前半は脚を使わないように、皐月賞よりは後ろの位置どりになるのではないか。
■波乱は前で競馬をするタイプの馬か
ドウデュースとイクイノックスが後方からの競馬となれば、波乱を起こすのは前で競馬をする馬と思われる。そうなると、金曜日売り15番人気のセイウンハーデスにもチャンスはあるかもしれない。
セイウンハーデスの走りを見ていると、左回りの方がいいのは明らか。直線で2、3度手前を替える、特徴のある走りをしており、過去のレースを見る限り左手前で走るのが好きなのは間違いない。
右回りのこぶし賞では4角手前を逆手前の左手前で回り、4角を回り切る時に右手前に替え、さらに直線に入ると左手前に戻すというチグハグな走りをしている。同じ右回りのG3毎日杯でも逆手前の左手前で4角を回っているように見える。直線を向いても左手前のままで、ゴール前で右手前に替えてから伸びて4着を確保した。
左手前が好きな馬は左回りの方が合っている。なぜなら、コーナーを逆手前で走ることがないからである。実際に前走のプリンシパルSでは4角を左手前でスムーズに回っていた。直線を向いて右手前にスイッチしたが、残り400m標識で再び左手前にして、そこから右手前、左手前と替えて抜け出している。
こうしてヒョコヒョコという感じで手前を替える馬は一定数存在する。スイッチする際に多少のロスは生じるが、手前を替えないで走ると疲れてくるため伸びが鈍ることはよくある。そう考えると、全く手前を替えない馬よりはいいかもしれない。
■ダービーに必要な運
1枠2番という絶好枠を引き当て、アスクビクターモアやピースオブエイト、ビーアストニッシド、あるいはデシエルトの出方次第では逃げる可能性もあると思う。こぶし賞では逃げて、後のG1優駿牝馬2着のスタニングローズの頭差の2着と粘った実績がある。
プリンシパルSは好位から抜け出す競馬で東京優駿の切符を掴んでおり、鞍上は逃げても好位に控えてもいいので、競馬をしやすい。スイスイと行けば、2019年のロジャーバローズの再来となるかもしれない。
西山オーナーも日刊スポーツのインタビューに応え「…前で競馬をすると思います。先行することが、この馬の一番の能力を発揮することだと思う。一瞬の切れ勝負ではなくて、前めにつけて直線抜け出す。それで後ろから差されたらしょうがない」(日刊スポーツ電子版・【ダービー】西山茂行オーナー11度目の夢舞台、セイウンハーデスに西山家56年の悲願託す)と話している。
東京優駿のようなレースになると、運もどこまで味方してくれるかが大きな要素となる。プリンシパルSで18番目と言っていい最終切符を掴んだ運、1枠2番という絶好枠を引き当てた運、有力馬が後方待機になり、展開面で恵まれそうな運、こうした運が大一番でモノを言うかもしれない。
■発走は午後3時40分
西山オーナーはに競馬担当時代には大変、お世話になった。大学の先輩でもあり、僕のような出来の悪い後輩にも目をかけてくださった。
そういったことから応援させていただくが、そうしたこととは関係なく、展開面や左回りが得意なことを考えるとチャンスがあるように思える。
発走は5月29日15時40分。セイウンハーデスに幸多かれと祈ることとしよう。