瑞江駅と小岩駅を結ぶ京成バス路線は3本ある。そのうち「小72」は最も遠回りをするにもかかわらず、一番多くの便が用意されているのだ。この路線が人気の理由はルートにあるという。じつは、瑞江駅を出発すると目的地の小岩駅とは逆方面に進むのだ。今回は「小72」路線が人気を博すワケと、つい出かけたくなる路線沿いのおすすめスポットを紹介する。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
瑞江駅から反対方向に走り出す!
今回は都営新宿線の瑞江駅から乗車した。小さな駅前ターミナルからバスは発車するがロータリーに3つののりばと降車専用停留所がある。
瑞江駅は東京都江戸川区に位置し、区内の都営新宿線の地下3駅(一之江・瑞江・篠崎)にはすべて駅ビルがあり、バスが入れるロータリーが設置されている。よって地下鉄を利用する際はその辺にある出入口ではなく、主に普通の鉄道と同様に駅ビルに入り地下にある改札口を通る。
瑞江駅を発車した小72系統はいきなり小岩駅とは反対方向に走り出す。これは沿線人口が比較的多く、学校や工場がある篠崎街道を経由するためだ。篠崎街道沿線から瑞江駅までは徒歩では遠く、多くの通勤通学者は自転車を利用する。しかし雨天時や高齢者はバス利用が多い。
では小72系統の瑞江駅から小岩駅までの全線タイムラプス動画を1分20秒程度でご覧いただこう。埋め込み動画がご覧になれない場合はバスマガジンWEBかベストカーWEBから視聴できる。
入出庫も営業運転して利便性を確保
篠崎街道の途中に江戸川スポーツランドがある。ここには京成バス江戸川営業所があり、瑞江駅への入出庫便を系統番号なしで営業運行する。実際に瑞江駅から江戸川スーツランドまでの区間利用は多く、日常の買い物や通院の足として利便性を確保している。
小72系統は江戸川スポーツランドへは行かないが、スポ-ツランド入口バス停を通過して江戸川の土手沿いを走る。ポニーランド停留所には、江戸川区立ポニーランドがある。
その名の通り、ポニーを飼育していてバス路線沿いに厩舎があり、時間を決めてバス路線とは反対側の江戸川河川敷まで馬を連れて放牧させる。子供たちに人気の施設で乗馬体験もできる。もちろん無料だ。
そのまま土手沿いを走れば小岩駅までそう時間はかからないのだが、途中で篠崎駅に向かう。同じく都営新宿線の駅で、小72系統は瑞江駅と篠崎駅の間の住宅地と鉄道連絡の役割も担う。
篠崎駅を出ると再び江戸川の土手沿いを走る。この区間は直線であまり信号はなく快走できる区間だ。途中に江戸川病院があり、通院のためのほぼ唯一の足でもあることから、瑞江・篠崎駅からも、小岩駅からも乗降の多い停留所だ。
土手沿いを離れるとまた狭い道になり篠崎街道を離れる。鋭角三叉路を小岩駅方向に向けてラストスパートのサンロードに入る。
行き違いが難しい商店街
小岩警察・区民館バス停を出ると、サンロードは商店街になり道がさらに狭くなる。走りながらのバス離合は難しく、運転士は常に対向車線をにらみながらハンドルをさばく。
バスやトラックが向こうから来ると、とっさに最寄りの電柱の手前に寄せて停車し、対向車を先に行かせるということを繰り返しながら小岩駅のロータリーに入る。
3兄弟のうち他の2路線は反対側のフラワーロードから到着するので、サンロードからの路線は小72系統のみだ。
小岩駅に到着したバスは休憩する場所もないので、すぐに折り返し便として乗車扱いをする。なお小72は毎時2本程度、瑞江駅には行かずに一之江駅に行く系統もある。
沿線人口と目的地のため便数が多い
小72系統は他の2系統と比較して明らかに遠回りであり時間もかかる。にもかかわらず便数は最も多く乗車率も高い。いずれの系統も鉄道空白地帯を走るが、瑞江駅または一之江駅と篠崎駅、そして小岩駅と多くの鉄道駅を結ぶ路線なので、駅や病院への区間利用が多く系統としては大幹線になっている。
沿線住民でなければあまり利用する機会はないだろうが、前述したポニーランドでは乗馬は小学6年生以下であれば体験できるし、間近で草をはむ馬を撮影できるので、家族で出かける価値はある。
コロナの影響で開園や体験時間が変則的になっているので、ホームページ等で確認の上でお出かけいただきたい。
都営新宿線一之江駅(便数少)、瑞江駅、篠崎駅とJR小岩駅から小72系統で、JR新小岩駅からは新小71系統でアクセス可能だ。江戸川の土手を散歩するのも気持ちが良いので手軽なお出かけ手段として小72系統はいかがだろうか。
投稿 京成バス「小72」が超人気!! ヒミツは目的地とは逆に進むルートにあった? は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。