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クラウドファンディングで複合現実ヘッドセット「Lynx R-1」を発表したことで知られるフランスのXRハードウェア・スタートアップ、Lynxは本日、ソーシャルVRプラットフォームSomnium Spaceが主導するシリーズAラウンドで400万ドルを確保したことを発表した。

Somnium Spaceの他にも、今回の資金調達ラウンドの参加者には、Lynxの初期サポーターや、“元MetaやGoogleのエンジニアなど、AR/VR分野に携わる他の投資家”も含まれているとのことだ。

これにより、2021年後半に行われたR-1ヘッドセットの80万ドルのKickstarterキャンペーンと2019年初めの200万ドルのシードラウンドと合わせると、同社の外部資金調達額は合計680万ドルに達している。 この取引の一環として、Somnium Spaceの創業者&CEOであるArtur Sychovが同社の取締役に就任するとのことだ。

QualcommのSnapdragon XR2チップセットを搭載したLynx R-1は、高品質のカメラと仮想現実ディスプレイを組み合わせたヘッドセットとなり、通常のVRに加え、カラーパススルーARを実現しており、同じくカラーパススルーを搭載すると見られる「Project Cambria」に先んじて、このカテゴリーのパイオニアとなっている。また、このヘッドセットは、標準的なフレネルレンズではなく、「四重カタディオプトリック自由曲面プリズム(four-fold catadioptric freeform prism)」と呼ばれる新しい光学系を採用し、フレネルレンズで実現できる以上の事が、よりスリムな筐体で実現できるという。

「Somnium Spaceでは、ユーザーに力を与えるオープンで分散化されたメタバースの未来を本当に信じています。これには、ソフトウェアだけでなく、非常に重要なハードウェアも含まれます。スタン率いるリンクスチームは、オープン性を念頭に置いた素晴らしいAR/VRデバイス(Lynx-r)を生み出し、この市場カテゴリーに対する私たち全員の考え方や関わり方を変え、革命を起こすでしょう。私はこの会社をサポートできることをとても嬉しく思っていますし、共にVR/AR業界の限界と可能性を押し上げることができると信じています。」とSomnium Spaceの創設者兼CEOであるArtur Sychovは語っている。

2019年に設立されたLynxは、R-1ヘッドセットをクラウドファンディングで資金調達し開発したが、こちらは大成功の後に終了し、現在はコンシューマ版を600ドルで自社サイトから販売している。Metaの噂のProject Cambriaや、コードネームAppleの噂のヘッドセットが、恐らく1,000ドル以上(場合によっては3,000ドル近くにも)になることを考えると、価格の面で大きなメリットがあるだろう。このR-1ヘッドセットによって、同社はこのカテゴリを切り開こうと考えているようだ。

Lynx R-1の設計を終えてから、同社はパリのオフィスを拡張し、現在では200平方メートルを超える研究開発施設となっている。また、最近では台湾にも新しいオフィスを設立するなど、大きな成長を遂げている。

Lynxの創設者兼CEOであるStan Larroqueは、次のように述べている「私たちは、大手ハイテク企業の製品やその閉じたエコシステムに代わるものを求めているユーザーや開発者の活気あるコミュニティによって支えられ、Lynxの活動によって複合現実感の欧州チャンピオンを作り出す機会を得ました。もし、私たちがアクセスするための基本的なプラットフォームが、有害なビジネスモデルを持つ同じ大企業の手の中にあるのなら、ヨーロッパのメタバースを作ることに何の意味があるのでしょうか?」