沖縄県の玉城デニー知事の発言が話題となっている。毎日新聞などによると、玉城知事は25日、在日米軍の基地問題に関する有識者会議の冒頭、「ゼレンスキーです。よろしくお願いします」と挨拶したという。報道各社の速報が流れた直後からSNSでは瞬く間に炎上し始めた。
ロシア政府系通信社が速報
この発言は国内で問題視されていることはもとより、早速、ロシアにも利用されている。ロシア政府系の通信社、スプートニク日本版は発言があった直後の25日夜、すぐさま『日本 沖縄県知事「ゼレンスキーです」と挨拶』という記事を配信した。
日本 沖縄県知事「ゼレンスキーです」と挨拶 https://t.co/I8inw5EE8p
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) May 25, 2022
この記事を拡散したスプートニク日本版の公式ツイートには、ツイッターユーザーから次のような意見が寄せられていた。
スプートニクが食いつきましたね。
デニーもネオナチ認定だな
あんた(編集部注・玉城知事)はロシア(=中国)に帰属を選んで総スカン喰らって亡命した元大統領のポジション
ロシアに利用されてるよ。
沖縄の愚かな知事の発言がロシアのメディアに利用されるという始末。どうすんのよ…これ?
玉城知事はすぐに、「他意はなく、不用意な発言だった。心からおわびしたい。ウクライナの現状を軽んじる気持ちは毛頭ない」と陳謝したうえで、発言の意図を弁明したが、この発言の問題性の本質が分かっているのだろうか。
玉城知事の認識では、単なる軽口で冗談だったのだろう。しかし、自身をウクライナのゼレンスキー大統領に例えるのであれば、侵略しているロシアにあたるのは誰だという認識なのか。中国か、まさか日本政府なのだろうか。そして、ロシアのプーチン大統領を誰に見立てているのか。
それでも「玉城支持率」60%超
もちろん、「玉城知事にはそんなに深い考えはなく、ただのウケ狙いの失言。騒ぎすぎ」という意見もあるだろう。しかし、まったく冗談でも世迷言でもなくなってしまった台湾有事の際に、まさに今のウクライナのように中国から攻め込まれるかもしれない可能性が最も高いのは地理的に沖縄だ。これは、沖縄に在日米軍基地があろうがなかろうが関係ない事実だ。
こうした危機感や緊張感があれば、「ゼレンスキーです。よろしくお願いします」といったような軽口は出ないと思うのだが…。
今年9月には、沖縄県知事選が行われる。今のところ、2期目を目指す玉城知事と自民党が擁立する候補者との一騎打ちとみられているが、対抗するはずの自民党も上手くいっているとは言い難いようだ。SAKISIRUでけさ掲載した篠原章氏の論考によると、自民党県連や県経済界などで組織する選考委員会が推薦候補の顔触れを発表した直後、有力候補だった琉球放送(RBC)社員で、アナウンサーを務めた比嘉俊次氏が会社を通じて、立候補を否定。
この件を報じた沖縄タイムスによると、候補者選考委員会の委員長を務めた松本哲治浦添市長は絶句し、自民党沖縄県連の島袋大幹事長は「まさかでしょ」と発言。篠原氏は「はっきりいって無茶苦茶」と厳しく指摘するほどの混迷を極めている。
朝日新聞、沖縄タイムス、琉球朝日放送の合同調査によると、玉城知事の支持率は60%を超えているという。「敵失」を活かせない自民党の混迷ぶりもあり、何事もなければ玉城知事の再選は固いとの見方も強まりつつある。頼りない現職に、本気で勝つ気があるのか微妙な挑戦者では、沖縄県民の選択肢としては、悩ましい展開になりそうだ。
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