Aston Martin Bulldog
1979年にたった1台のみを製造
ブルドッグはアストンマーティンが1979年に発表したミッドシップクーペ。当初、限定ながらも生産が計画されていたが、1台のみの製造で終わっている。英国シュロップシャー州ブリッジノースを拠点とするクラシック・モーターカーズは、のべ6000時間以上を費やしてこの貴重な1台をレストアした。
今回、美しく仕上げられたブルドッグは、コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステにおいて、2つの最高賞のうちのひとつ「コッパ・ドーロ賞(Coppa d’Oro)」を受賞。この賞は参加者による投票により、最も美しい1台が選出される。
1970年代に最先端だった未来的なウエッジシェイプデザインに5.3リッターV型8気筒ツインターボエンジンを搭載したブルドッグは、開発当時に最高速度192mph(約308km/h)を記録。しかしアストンマーティンが計画していた200mph(約320km)には届かなかった。
その後アストンマーティンは経営不振に陥り、1981年にたった1台しか存在しないブルドッグは中東のバイヤーに売却されてしまう。以来しばらくの間、このクルマは表舞台から姿を消すことになった。
叶わなかった200mphへのチャレンジも計画
2年前、自動車コレクターのフィリップ・サロフィム(Philip Sarofim)によって行方不明だったブルドッグは再発見され、所有権も獲得した。サロフィムは当時のアストンマーティンで会長を務めていたビクター・ガントレットの息子、リチャード・ガントレットにレストアへの協力を依頼する。
ガントレットのサポートのもと、クラシック・モーターカーズにおいて2年にわたるレストアが完了。完成後、初の参加となったコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステにおいて、コッパ・ドーロ賞を獲得したことを受けて、サロフィムは次のように喜びを語った。
「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステでの受賞は、私やチームにとって特別な瞬間になりました。このような名誉ある歴史的な賞を、レストア後初参加でありながら受賞できたのは、クラシック・モーターカーズの素晴らしい仕事、そしてかつてのアストンマーティンの野心と技術力があったからこそです」
次の目標はかつて叶えられなかった最高速度記録、200mphへの挑戦だと語り、2022年後半、近日中にある場所で最高速チャレンジを計画しているという。