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わくわくゲートは廃止して本当によかった!? 新型ステップワゴンの使い勝手は上がった!?

 ノア/ヴォクシー、そしてセレナに負け、かなりキツイ結果となってしまった先代ステップワゴン。まもなく新型が発売となるが、先代モデルのウリはなんといってもわくわくゲートなるあの不思議なドアであった。

 狭い駐車場での荷物の出し入れ、そして乗り降りと使ってみればかなり便利だったが、新型ではあえなく廃止に……。この判断は本当に正しかった!?

文/青山尚暉、写真/ホンダ

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■初代回帰した新型ステップワゴン!! 先代のネガを払しょくして堂々デビュー

2022年5月26日に正式デビューしたホンダ新型ステップワゴン(左:AIR/右:SPADA)

 1996年にホンダ・クリエイティブムーバーの第三弾として初代がデビューしたステップワゴン。日本の多人数乗用車、ファミリーカー、Mクラスボックス型ミニバンを代表する1台である。

 2022年5月26日に正式デビューした新型ステップワゴンは、標準車となる、新型のコンセプトを具現化した「エアー」、おなじみの「スパーダ」、そして今はなきオデッセイの受け皿となる「プレミアムライン」という車種構成。

 パワーユニットは制御を刷新したであろう1.5L・VTECターボエンジン、2Lエンジン+モーターのe:HEVを搭載。

 初代回帰のエクステリアデザイン、最新の先進運転支援機能のホンダセンシングの採用、先代のウィークポイントのひとつだった2列目キャプテンシートの左右スライド(前後スライドは865mm!!)機構を新設定するなど、その進化幅はハンパではない。

■狭い場所で大活躍したわくわくゲート!! 大発明並の実力も販売振るわず

 だが、先代にあった、特徴的なわくわくゲート(とサブドア)は廃止されている。

 ここで、わくわくゲートについて改めて説明すると、ボックス型ミニバンの場合、車体後方にスペースのない場所で、巨大なバックドアが開けられない!! というウィークポイントがあった。それを解決すべく、バックドアを縦6:4に分割。

 全体に大きく開くことはもちろんだが、サブドアと呼ばれる、玄関ドアのような横開きドアを設定。

 バックドアを縦に全開にしたときに車体後方に約990mmものスペースが必要なのに対して、3か所のストッパーを持つサブドアなら、車体後方に実測400/640/760mmのスペースで開けることができ、荷物を出し入れすることができたのだ。

 さらに、3列目席左側をすっきりと床下格納すれば、サブドアを利用し、外側からでも内側からでも、人やペットが乗降できる便利さも兼ね備えていた(ドアオープナーとアシストグリップを内側に完備)。

 他車でもバックドアを開けて、乗り込むことはできても、車内側から降りることはできないのだから、第五のドアとして、楽しくも素晴らしく便利であったわけだ。

 しかし運転席から真後ろを見た時に、リヤウインドーに縦線が入る、車体を真後ろから見ると、バックドアが左右非対称に見える、バックドアが縦に長く、リヤバンパーレスのため、後突したときの修理代が心配……といった声もあったそうだ。

 走ればクラストップレベルだった(筆者のライバル試乗の印象)ものの、人気は低迷。ノア&ヴォクシーやセレナに販売面でリードされてしまったのが、先代、5代目ステップワゴンだったのである。

■当初は新型も採用するハズだった!? 新機能で狭い場所での使用も可能に

2015年に登場した先代ステップワゴン。左右6:4で分割したわくわくゲートが特徴だった。ナンバープレートの右側ギリギリをかすめるように縦にパーティングラインが入る

 実は、新型ステップワゴンの開発責任者は、わくわくゲートを残したいと思っていたそうだ(筆者も同感)。しかし大人の事情!? で廃止が決定。フツーのバックドアに変更されている。

 その代わりというわけではないが、2列目キャプテンシートのオットマンといった上級装備の延長として、スパーダとプレミアムラインにステップワゴン初のパワーバックドアを設定。リモコンキーによって、任意の位置で止められ、メモリーもできるように配慮してくれたのだ。

 結果、車体後方にスペースのない場所でも、バックドアを開けやすくなったのは事実。

 バックドアは当然、短く、軽量化されているはずだが(リヤバンパーは独立してある)、それでも展示車の、パワーバックドアが付かない(現時点)エアーのバックドアを開閉してみると、「男なら軽くはないが、開閉できる」という重さはある。

■Mクラスミニバンで一番利便性がイイのは新型ノア/ヴォクシー

わくわくゲートにはこんな使い方も。「愛犬のためにも新型ステップワゴンにわくわくゲートを付けてほしかった」と筆者

 ところで、そうしたMクラスボックス型ミニバンの、「バックドアがデカすぎて、車体後方にスペースのない場所でバックドアが開けられない問題」にチャレンジしたのが、先代ステップワゴンのわくわくゲート。

 日産セレナのガラスハッチだけ開く「デュアルバックドア」、そして新型ノア&ヴォクシーの、途中停止できるパワーバックドア(任意の位置で止めて、ちょっと押して固定する)。あるいは非パワーバックドア用の、”からくり”を使った世界初と謳われるケーブル式のフリーストップバックドアである。

 つまり、ノア&ヴォクシーの場合、非パワーバックドア装着車でも、任意の位置でバックドアを途中停止でき、少し開けただけでも、意外に人が横からスッと入り込め、荷物を出し入れすることが可能となっている。

 さらにパワーバックドアの開閉スイッチを車体横後部に設置することで、バックドアをパワーで開けた際、バックドアがいきなり体に接触し、ゴツンとなったり、服を汚すこともないメリットも生まれている。

 セレナのデュアルバックのガラスハッチは、確かに車体後方にスペースのない場所でも荷物を出し入れすることは可能だが、開ける際、ボディが汚れていると服を汚すことがないとは言えなかったりする……。

 よって、パワーバックドアがないタイプでも、車体後方にスペースのない場所でバックドアが開けやすく便利で、パワーバックドア装着車に関しても、よりスマートにバックドアを開けやすいのは、新型ノア&ヴォクシーということになりそうだ。

 筆者としては、わくわくゲートのサブドアからの乗降の楽しさ、便利さ、そして人だけでなく愛犬をサブドアから乗降させ、3列目席左側フロアに寛がせられる使い勝手にも着目していたから、新型ステップワゴンにわくわくゲートを付けてほしかったという想いが残る。

 縦線が嫌、左右非対称が気に入らない……という声があったのなら、縦線が目立たず、左右対称の5:5分割のサブドアにすればいいじゃん、なんて思うのだが。

 とすると、さらに構造が複雑になり、重量もかさみ、ホンダがこだわる走りの良さや静粛性に不利に働く可能性があり、素人考えの要望など、叶うはずもないということだろう。

 わくわくゲートを廃止した代わりに、どんな走りを含めた進化が見られ、ユーザーを納得させてくれるのか? 公道試乗の機会を前に、今はそこが楽しみでならない。

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