世界中で700以上存在するポルシェ・クラブ
70周年を迎えた現在、世界には700を超えるポルシェ・クラブが存在し、86ヵ国で24万人を超える会員が活動している。これだけ多くの人がひとつのブランドの元に集い、定期的に活動を続けているのは、自動車業界全体でも稀有な例であり、ポルシェというスポーツカーメーカーの人気の証明である。そしてその最初のオーナーズクラブ設立から70周年を迎えた2022年は世界中で様々な祝賀イベントが計画されている。
ポルシェAGのセールス&マーケティング担当役員、デトレフ・フォン・プラテンは、70周年を迎えたポルシェ・クラブについて次のようにコメントした。
「ポルシェへの情熱という共通の価値観を持った世界中の人々なくして、ポルシェは存在しえません。ポルシェ・クラブは、私たちのブランドの伝統を守るだけでなく、メンバーは社会活動、スポーツ活動、地域活動にも参加しています。これにより、ポルシェの価値観を世界中でアピールしているのです。クラブには老若男女を問わず、多くの世代が参加しています。皆さんと、特別なアニバーサリーを祝えることを嬉しく思います」
生産モデル販売の2年後にドイツで設立
ポルシェが自動車ブランドとしてドイツでスポーツカーを初納車してからわずか2年後。1952年5月、ポルシェのオーナーたちにより現在の「ポルシェ・クラブ・ウエストファーレン(Porsche Club Westfalen)」が設立された。当時の名称は「ウエストファーリッシャー・ポルシェ・クラブ・ホーエンシュブルク(Westfalischer Porsche Club Hohensyburg)」だった。
ドイツ国外では、1953年にベルギーで最初の国際的なポルシェ・クラブが設立。1955年には現在世界最大規模を誇るポルシェ・クラブ、ポルシェ・クラブ・オブ・アメリカ(Porsche Club of America)も誕生している。
2020年代に入っても、世界中で毎年5つの新しいポルシェ・クラブが生まれている。これらのクラブは、会員によって自主的に組織・運営されているため、それぞれのクラブが独自のプログラムやサービスを提供。モータースポーツ観戦イベントやドライビングイベント、懇親会、電気自動車や新システムに関する技術講演会、コンクール・デレガンス、パレードランなど、その規模や内容は様々だ。
メンバーの車両は、貴重なヒストリックカーから現行モデルまで多岐にわたる。世界中のポルシェ・クラブの多くが、ヒストリックカーの保存・メンテナンスに力を注いでおり、貴重な情報共有の場として機能。近年では伝統のボクサーエンジン搭載モデルだけでなく、フル電動車両の「タイカン」などの存在感も大きくなってきた。
設立以来続くポルシェによる様々なサポート
ポルシェを立ち上げたフェリー・ポルシェと、当時レーシングディレクターを務めていたフリッツ“フシュケ”フォン・ハンシュタインは、最初のポルシェ・クラブの設立に協力している。1956年にフェリー・ポルシェとハンシュタインは、ヨーロッパとアメリカの全カスタマーに声をかけてラリーイベントを開催。これこそがイタリア・メラーノで開催された、最初のポルシェ・ミーティングだった。
その後の数年間、メラーノには毎年約600台ものポルシェが集まり、華やかなミーティングイベントを開催。フェリー・ポルシェは、晩年までアメリカで開催されていたポルシェのラリーイベントに参加を続けていた。これは、現在でもポルシェ・ファミリーに引き継がれる伝統となっている。
現在でも世界中のポルシェ・クラブに対して、ポルシェのコミュニケーションチームや地元インポーター、ディーラーが、様々なレベルでサポートを展開。2022年はポルシェ・クラブ設立70周年を記念し、「Enduring Passion(永遠に続く情熱)」をテーマに掲げ、ポルシェは世界規模のキャンペーンやイベントを計画している。
5月には、オランダで開催される「356ミーティング」やアメリカの「ポルシェ・パレードUSA」などへの支援を行うほか、SNSを介したコンテンツの共有も行われるという。次の70年に向けてポルシェオーナー達の結束はますます高まることになるだろう。