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EV時代も「雪道上等」!! ソルテラでも変わらぬ「スバルAWDの矜持」を雪の群馬で実感する!!

 トヨタとスバルの共同開発で誕生したbZ4X/ソルテラ。スバルのAWD技術=X-MODEが選ばれ搭載されている。

 自動車評論家 国沢光宏氏が、その実力を雪の群馬サイクルスポーツセンターで試した。

●スバル ソルテラとは?…トヨタと共同開発したBEVのSUVで、SOLTERRA(ソルテラ)の車名は、ラテン語のSOL(太陽)とTERRA(大地)からなる造語。e-スバルグローバルプラットフォームを採用したスバルのBEV第1弾で、BEVでもスバルらしさを失わない、トヨタのリバッチではないことをアピール。

※本稿は2022年3月のものです
文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部、撮影/平野学
初出:『ベストカー』2022年4月10日号

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■雪の群馬でソルテラを試す

雪の群馬サイクルスポーツセンターにて試乗したスバル ソルテラ。現役(だと思いたい)ラリードライバーの国沢氏が走る!

 bZ4Xの兄弟車となるソルテラの試乗会は何と雪道だという。

 考えてみたら雪道が初試乗になるクルマって新しい4WDシステムを採用したトヨタRAV4以来です。スバルも開発に深く関わったソルテラ、自信あるということなんだと思う。

 ちなみに電気自動車の駆動方式は駆動軸にモーター付くため、FFやFR、4WDより、FWD、RWD、AWDみたいに表記すべきなんだと思う。

 でも面倒なので当面はFFとRR、AWDにしておきたい。ということで雪道試乗の試乗車はAWDになる。

 コースはアップダウン多く&対向車とすれ違えないほど狭い大雪の群馬サイクルスポーツセンターだ。

 当然の如くまだ現役だと思いたいラリードライバーからすれば、全開しないとダメなコースです。というか滑らせるくらいで走らないとAWD性能など解らない。

 とりあえず「アクセル床!」。少し気になったのがレスポンス。どうやらギアのバックラッシュ音を出さないようするためらしく、ペダル踏んでからパワー出るまで少しタイムラグある。

 アクセルを頻繁にオンオフさせる雪道だと若干気になる感じ。とはいえ雪道でそんな運転するのってラリードライバーくらい。反省し、普通より少し元気なくらいのアクセルワークにしたら問題ないレベルになった。

 標準的に走っている限りパワーの出方は素直。滑りやすい道を歩く際、そっと足を降ろし、強く蹴らない。

 同様に普通のアクセルワークでソルテラに乗ると、モーター駆動らしくジンワリ雪面に駆動力を伝えてくれるため、エンジン車よりトラクションがかかっている。

 コーナーも同じ。2トン近い車重ながら、ハンドル切ると素直に曲がってくれる。雪道で一番怖いのはアンダーステア出まくるクルマ。

 ソルテラの場合、前後の重量配分がよくて低重心。クルマとしての基本バランスいいんだと思う。加えてブレーキの制御が緻密で上手! このあたりはスバルのノウハウか。

 コーナー立ち上がりでアクセル踏むと、後輪もしっかり駆動力をかけているらしく、テールスライド気味で加速していく。もう少し広い道ならテールアウト姿勢で走れそう。

車重は2トン近いが、前後重量配分に優れ、おまけに低重心だから、コーナーではハンドルを切れば素直に曲がる

 サスペンションはよ〜く動く。雪道って砂利道くらいデコボコしているが、しっかり追従している。bZ4Xと同じくソルテラの乗り心地、上々だと思う。電気自動車や普通のエンジン車に関係なく、サスペンションは滑らかに動かないとダメだ。

 素晴らしいことに最低地上高210mmと本格的なクロカン並み。最近SUVのカッコしてても最低地上高が低いモデル多くなったなか、どんな路面状況に出くわしたってお腹を擦ることなく走れそう。

 トラクションの奥行きを存分に感じたのはモーグル路。クロカンのようなホイールストロークがないため、派手に車輪が宙に浮く。なのにオートモードを選ぶと、グリップコントロールによりアクセルとブレーキ操作しないのに前に出て行く!

 エンジン車だと滑らかに駆動力かけるのは難しいけれど、モーターなら絶妙なコントロールができるのだろう。絶対的な駆動性能は、圧倒的に電気自動車優勢になっていくと感じさせられた。

 エンジン車よりも極悪路や、マッド路面でも強いそうな。電気自動車の時代になっても雪道上等です。

クルマとしての素性のよさがハンドリングに出ている

■ソルテラ vs ライバル輸入車対決!

ヒョンデ アイオニック5。個性的かつ未来的なデザインが目を引く。全長4535×全幅1890×全高1645mmで、72.6kWhのバッテリーを搭載

 欧州市場ではEVをめぐる激しい戦いが始まっており、bZ4Xとソルテラも売れ筋サイズのど真ん中でガチバトルを強いられる。ソルテラの開発チームに聞くと「開発段階でのライバルをVWのID.4にしました。何とか勝てていると思っています」。確かにID.4よりいいクルマに仕上がっている。

 メルセデスのEQAやプジョーe-2008あたりと比べてもソルテラの勝ち。しかし突如ヒョンデからアイオニック5という圧倒的な強さを持つライバルが出てきた。

 原宿のショールームに行くとネットで予約すれば誰でもアイオニック5の試乗ができるけれど、ハンドル握ったらしいトヨタ関係者曰く「これはマズイと心底思いました」というくらいよくできている。そもそも止まっている状態で圧倒的に上質だ。

 インテリアはソルテラが液晶1枚に対しアイオニック5が2枚。センターコンソールが残っていてエンジン車みたいなソルテラと違い、完全なる電気自動車プラットフォームのためウォークスルーで広々。リアシートの居住性や質感についちゃ圧倒的にアイオニック5。

 電気自動車は購入よりリース&サブスクがメインになるだろう。欧州に住んでいる欧州人であれば、同じ支払金額なら迷わずアイオニック5を選ぶ。

 リースの時代になると、今まで日本車が得意としてきた燃費のよさや耐久性、長い所有期間に渡る信頼性など関係なくなる。しかも電気自動車のコストはバッテリーの調達価格で大きく違ってくる。バッテリーの生産、液晶や半導体と似ているそうな。

 だとしたら価格競争力を失った日本の企業に勝てるとはとうてい思えない。バッテリーの調達価格が高いと車体でコストダウンするしかなく、実際、そのとおりになってると感じました。

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