「今の時代、おっさんはどんなクルマに乗るべきか?」
いやもちろん、どんなクルマに乗ったっていいのだが、アナタ(おっさん)が仮にクルマ好きなら、周囲のクルマ好きからどう見られるかを意識するはずだ。そして少なくとも、「シブイなぁ!」とか、「わかってるね~」と思われたい、と願うのではないだろうか? そういう選択を、ワタクシ清水草一が独断で展開いたします!
文/清水草一
写真/トヨタ
■歳を重ねると大型セダンに惹かれるようになる
私がこれまで所有した中で一番大きいセダンは、シトロエンC5(最終型)だった。シトロエンC5なんていうマイナーなクルマを、世間がどれくらい認知していたか不明だが、とりあえずそこそこの大型セダン(全長4795×全幅1860×全高1470mm)で、なんとなく高級そうには見えたはずだ。
そんなC5に乗っていると、「扱いが違う!」と感じるシーンがしばしばあった。決してそんなに頻繁にではないが、なにかこう、ちょっと特別扱いしてくれるような気配を感じるのだ。それはとても気持ちのいいものだった。おっさんは、特別扱いされたい年頃なのである。
もちろん大型セダンは、走りも気持ちいい。ロングホイールベースで足はフンワリなので(モデルによりますが)、高速巡行は最高だ。若いころはスポーツカー一筋でも、おっさんになると、大型セダンに惹かれるようになってくる。
ならばいっそのこと、国産高級セダンの最高峰、レクサスLSに乗ってみたらどうだろう? おそらく周囲の扱いは段違いだろうし、高速巡行は高級温泉旅館のように快適だ!
なにごとも、頂点はスバラシイ。私はフェラーリやランボルギーニでそれを体感した。クルマの種類は違えども、レクサスLSにも「頂点!」という感覚は濃厚だ。おっさんは、一生に一度は頂点を極めろ!
■究極の進化を果たした現行型LS
では、どのレクサスLSを選ぶべきか。日本で販売されたレクサスLSには、2006年から2017年までの初代(海外では4代目)と、2017年からの現行モデルである2代目(海外では5代目)がある。
現行モデルは、すでに何度も小改良を受け、細かいところが改善されている。登場当初は、ハンドリングのスポーティ志向とランフラットタイヤの初採用が重なって、LSとは思えないほど乗り心地がドシンバタンと悪かった。正直、「これがニッポンの最高峰かよ!」だったが、2019年10月の小改良で、夢のようにフワッフワに変身。本来あるべき姿に戻った。
が、トヨタ様も「これはさすがにフワフワすぎる」と思ったのか、2020年にはそこも修正し、世界に誇れる最高級の「しなやかスポーティ」な乗り心地を獲得した。その後ランフラットタイヤを廃止して新開発のノーマルタイヤに変更するなど、遥かなる高みを目指してカイゼンを続けている。
つまり、現行LSの新車を買えば、間違いなく日本の頂点。こと快適性に関しては、世界の頂点と言ってもいい。パワーユニットはV6ターボでもV6ハイブリッドでも、どちらも素晴らしい。
しかし、LSの新車価格は、最廉価グレードの「LS500 Iパッケージ」でも1071万円する。中心価格帯は1300万円から1500万円。一番お高い「LS500h EXECUTIVE Advanced Drive」だと1792万円! メルセデス・ベンツ Sクラスよりはだいぶお安いですが、「おっさんはLSに乗れ!」と言われても、おいそれと乗れるもんじゃない。やっぱりここは中古車だろう。
現行型のLSでは、前述のように2019年10月以降生産のタマが断然イイのだが、新しすぎて、まだ中古車があまり出回ってしないし、価格もお高い。新車よりは300万円くらい安いけれど、この価格帯で300万円安くても、それほどのお買い得感はない。
■先代型の中古車ならすでに100万円を切っている!?
となると、狙いは先代LSだ。先代型LSのモデルライフは12年間に及んでおり、その間、大きな変更を何度も受けている。フロントフェイスも大きく分けて3種類ある。初期型は落ち着いたノーブルなグリルだったが、2009年10月にグリルの桟が太くなってやや大味に。さらに2012年10月には、ムリヤリのようにスピンドルグリルが付けられて、デザイン的な純度はどんどん低下した。
もちろんですね、「レクサスならスピンドルグリルがないとダメだろ!」と仰る方もいらっしゃると思います。そこは好みの問題ですが、自動車デザインにうるさいワタクシといたしましては、初期型が最もデザイン的な完成度が高く、上品だったと断言したい。
先代LSには、ガソリン車(LS460/V8 4.6L)とハイブリッド車(LS600h/V8 5Lハイブリッド)がラインナップされていたが、ズバリ、狙いはガソリン車だ。なぜなら先代LSのハイブリッドは、ハイブリッド用バッテリーにスペースを食われてトランクが驚くほど狭く、しかも重量増加にサスが耐えられず、乗り心地がビックリするほどダメだったからだ。まるでバンプラバーにガツンガツンと底付きしながら走っているようなフィーリングだった。
ガソリン車ならトランクは広大だし、乗り心地も最高。燃費はハイブリッドのほうがいいけれど、それでも実質9km/Lくらい。ガソリン車が6km/Lくらいだから、それほど大きな差じゃない。先代LSに関しては、断然ガソリン車がオススメだ。
つまり狙いは、先代LS460(ガソリン車)の初期型(2006~2009年)ということになる! このあたりの年式になると、VIP仕様などに改造された個体が多いのがネックだが、狙うべきは当然どノーマルである。どノーマルの先代LS前期型のたたずまいは、どこから見てもセレブ。古さを感じさせないし、古いと見破られたとしても、「ずっと大事に乗ってるお金持ちなんだな」と思われるに違いない。
しかも価格は、100万円を切っている! 総額100万円以下で、日本の、そして世界の頂点が味わえるのだ! 最高じゃないか!
ボディサイズは、全長5030×全幅1875×全高1465mm。なにしろ最大級なので、取り回しはそれなりに大変だ。しかしまぁ、全幅の1875mmというのは、今となっては割合フツー。RAV4とも大差ない。しかもFRでハンドルの切れ角が深いので、最小回転半径はわずか5.4m! 小回り性抜群なのだ! 最初は「さすがにデカいな」と感じても、慣れれば問題なくなるはずだ。
乗り心地は極上、高速巡行は豪華客船。周囲からは畏敬の眼差しが注がれる。それが100万円で買えるんだから、買わないのはソンソン! おっさんは先代LS460の初期型に乗れ!
【画像ギャラリー】いまおっさんが乗るべきレクサスLSを写真で知る!(13枚)画像ギャラリー投稿 一生に1回くらい頂点に乗ってみないか? レクサスLSの進化と現在地【おっさんはこれに乗れ!】 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。