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まとめ

  • 「ニキビを治せる」化粧水や乳液、美容液はありません。
  • 選ぶポイントは「ノンコメドジェニックテスト済」かどうか。
  • ノンコメドジェニックテスト済の乳液はニキビ肌の助けになるかも!

ニキビは、多くの方が抱える肌トラブルです。巷では「ニキビに効く」「ニキビが治る・できにくくなる」かのように宣伝されている化粧品を多く目にします。ニキビにお悩みの方は、一度はそういった製品を試されたこともあるのではないでしょうか。今回は、皮膚科専門医の観点から、ニキビを防ぎたい・減らしたいと思っている方に推奨できる化粧水/乳液/美容液はあるのか、検証していきます。

この記事を書いた医師

やさひふ

Yasahifu

医師 / 皮膚科専門医 / 医学博士

Lumedia 編集長。怪しい医療情報に惑わされる患者さんを多く見た経験から Lumedia の立ち上げを決意。
皆さんのすこやかなお肌を守るため、Twitter で科学的根拠に基づいたスキンケア情報発信中。

ニキビは、スキンケアだけでは予防も治療もできない

ニキビ治療に効果があるのは、認められた「医薬品」のみ

まず、大事な大前提を確認します。それは「スキンケア製品だけではニキビは治らない」という点です。一般にニキビと呼ばれている症状には、医学的に「尋常性ざ瘡」という病名がついています。つまり、これも立派な「肌の病気」なのです。病気であるニキビに対して本当に効果がある製品であれば、「化粧品」ではなく「医薬品」として扱われます (参考文献1-3) 。

言い換えると、どんな「化粧品」を選んでも、それ自体がニキビに効くわけではないのです。化粧水や乳液、美容液でも同じですね。残念ながらスキンケア製品のみでは、ニキビは解消できません。

化粧水ならどれも同じ、は間違い

では、世の中の化粧品・化粧水・乳液 のどれを選んでも同じかというと、そういう訳でもないです。というのも、一部のスキンケア製品はニキビを悪化させてしまうかもしれないからです。

化粧品がニキビの原因となりうることは医師の間では常識。「化粧品誘発ニキビ (acne cosmetica) 」という皮膚科用語が国際的に存在するほどです。なぜ化粧品のせいでニキビができるかというと、化粧水や乳液、美容液などが毛穴を詰まらせることがあるからです (参考文献 4) 。
※「毛穴のつまり」とニキビの関係については、ニキビのでき方に関する記事をご覧ください。

化粧品が原因のニキビを防ぐにはどうすればいい?

「きっとお肌に良いだろう」と思って使う化粧水や乳液、美容液が、かえってニキビの原因になってしまっては残念。そんなトラブルを防ぐため、日本やアメリカの皮膚科医が集う皮膚科学会が、それぞれ化粧品の選び方のコツを伝授してくれています (参考文献5,6) 。

合言葉は「ノンコメドジェニックテスト済」

日米の皮膚科学会が共通しておすすめしているのは、「ノンコメドジェニックテスト済」と書かれている製品です。聴きなれない (すこし覚えにくい!) 名前ですが、この記載があれば「ニキビを悪化させにくい」ということがちゃんと確認されている商品といえます。

特に乳液については、ニキビ治療を助けるエビデンスあり

特にノンコメドジェニックテスト済の「乳液」については、良い報告があります。「ノンコメドジェニックテスト済の乳液を併用しても、アダパレン (ディフェリン®) という薬によるニキビ治療を妨げない」というデータが出ているのです (参考文献7,8) 。ニキビを悪化させない、ニキビ治療にマイナスにならない、と臨床試験で確認済みなのは安心ですね。
※アダパレンを用いたニキビの治療については、こちらの記事もご覧ください。

さらに嬉しいことに、ノンコメドジェニックテスト済の乳液にはプラスの要素まであります。それは、ニキビ治療中のトラブルとして起きやすい肌の乾燥や刺激感などを、乳液の保湿力が抑えてくれることです。ニキビ治療をスムーズに成功させる手助けとなってくれるかもしれません。特に混合肌(ニキビ肌&乾燥肌の合併)タイプの方は、ノンコメドジェニックテスト済みの乳液を上手に活用したいところですね。

皮膚科医おすすめのノンコメドジェニックテスト済製品は?

Google などで「ノンコメドジェニックテスト済み おすすめ」などと検索すると、いくつか製品が紹介されているサイトがヒットします。その中で具体的にどれが良いのか?オススメなのか?と思われる方も多いかと思います。

実際、患者さんから同様の質問を受ける機会も多いです。「根拠を持って断言できるほどの明確な差はないですよ」、というのが正直なところです。基本的にノンコメドジェニックテスト済み製品であることさえ確認すれば、あとは使用感や価格などを踏まえて皆様の好みで選んでいただくことになるでしょう。

ただ、あえて一例を挙げるとすれば、 NOV や iniks (マルホの化粧品ブランド) が販売しているノンコメドジェニックテスト済製品は皮膚科医の間では有名です。これはあくまで私見ですが、特にこだわりの無い方なら、とりあえず NOV や iniks の乳液から試してみても良いかもしれません。

乳液以外の化粧品については、ニキビ治療を助けるほどの効果はなさそう

補足として、化粧水や美容液については、乳液と異なり、ニキビ治療に関連した信頼できる研究データがありません。ニキビ肌の方へ「併用したほうが良いですよ」と推奨するだけの理由はないと思われます。ノンコメドジェニックテスト済の製品ならばニキビを悪化させるわけでは無いですが、プラスに働くと言えるわけでもありません。使っても使わなくてもどちらでも良いでしょうね。
まとめとしては、ニキビ肌の方にまずおすすめしやすい化粧品は、「ノンコメドジェニックテスト済の乳液」です。ぜひお気に入りの製品を見つけてみてください!

COI

本記事について、開示すべき COI はありません。

The post ニキビにオススメの化粧水/乳液/美容液ってあるの?皮膚科専門医が選び方を解説 first appeared on LUMEDIA (ルメディア).