世界ではインフレが進むことに対して新規投資の減少や購買力の低下など景気後退への懸念が高まっていますが、NVIDIAがこの世界の経済情勢を受けて新たな採用活動に関して抑制している事がリークで明らかになりました。
決算も好調なNVIDIA
NVIDIA Confirms it has slowed the pace of hireing | Toms Hardware
NVIDIAでは2022年第4四半期決算など直近の決算発表において高い売上高と営業利益を記録しています。原因としては、GeForceなどゲーミング部門では前年同期比37%増、RTX Aシリーズのプロフェッショナル部門は109%増、A100などデータセンター部門は71%増とすべてのセグメントにおいて高い売上高となっています。
この背景としては、ゲーミング部門ではコロナ禍で旅行や外出制限が行われる中でゲームがプレイできるPCを買うユーザーが増えたことや、プロフェッショナル部門やデータセンター部門ではコロナ禍から回復していることから積極的な投資が行われたと見られています。
しかし、NVIDIAはこのような好調な決算を記録しているにも関わらず、採用活動について一時的に抑制する措置を取っている事がNVIDIA内部からのリークで判明し、ダウ・ジョーンズが発行するバロンズに掲載されています。
NVIDIAはインフレで景気後退すると予測
バロンズがNVIDIAに問い合わせを行った所、NVIDIA側は採用抑制について認めているとのことです。この採用抑制の理由としては、世界的に進んでいるインフレでこれが原因で今後、売上高や利益が減るとNVIDIA側は予測しての措置と見られています。
この採用抑制の原因はNVIDIAのみならずAMDやApple、Intelなど同業他社にも関係ある話ですが、今の所採用抑制を実施しているという情報はないとのことです。
NVIDIAで使われているSlackのメッセージによると、この決定は上層部で既に決定されており、現在進行中の採用についてはより高いスタンダードの人材要件にするとともに、面接に進んだ人の内10%以内しか採用をしないことなどガイドラインが設定されているようです。
利上げで新規投資が減る?
アメリカではインフレが急激に進んでいることからFRBは大幅な利上げを実施、これによって大幅に進むインフレを抑え込もうとしています。利上げを行うと一般的には株価など資産価格が下がり、アメリカのように金融資産を多く持つ国では個人消費も落ち込む傾向にあります。そのため、近年非常に高価になりつつあるGeForceなどゲーミング部門においては利上げによって売上が2021年の時ほど期待できないとNVIDIA側は読んでいるのかもしれません。また、データセンター部門においても利上げが行われれば企業は銀行からお金を借りにくくなるため、データセンター向けに新たな新規投資を行う企業が減る可能性も高いと見られています。
NVIDIA側としては売上高は減っても、利益は確保できていると投資家にアピールするために採用活動抑制など一時的な景気後退に備えて先に手を打ち始めていると見られます。
NVIDIAでは新たにCPUなどの研究開発を行うイスラエルの研究拠点では100人以上の空き枠があると2022年1月頃に言われていましたが、ここに来て急に採用抑制に走るの景気後退懸念だけが原因なのか?と疑問に思えてきます。半導体関係の人材は高い需要があり、AMDやIntelでは優秀な人材を確保するために積極的に採用を続けており、Intelに関してはGPU部門を拡大させるために企業買収にまで踏み切っています。また、アメリカのアリゾナに半導体工場を建設するTSMCでは必要な人材が確保できないなど人材難なはずなのですが、NVIDIAだけ他の企業と全く違う動きを取っている状態となっています。
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