アルファードの兄弟車であるヴェルファイアは、かつて本家本元のアルファードよりも販売台数で勝っていた時期もあった。ところが、現在は逆転し、10分の1以下程度まで台数を落としてしまっている状況だ。
それだけに、新型アルファードが登場した際にはヴェルファイアが廃止されるのでは? と噂されるほどなのだ。
だが、今や当たり前のミニバン=イカついデザインという図式を体現したパイオニア的存在であるなど、残した功績はかなりのモノである。そこで今回はヴェルファイアの歴史を振り返ってみた。
文/永田恵一、写真/トヨタ、日産、ベストカーWEB編集部
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■販売急落のヴェルファイアだが、かつてアルファードよりも売れていた時期も
トヨタヴェルファイアは高級ミニバンのアルファードが2008年に2代目モデルに移行した際に加わった兄弟車である。ヴェルファイアは初代モデル、現行型ともにアルファードに対しアグレッシブなデザインが特徴。
以前はディーラー数の多い旧ビスタ店を含むネッツ店で販売されていたことを理由に、販売台数ではアルファードを上回っていた時期もあった。
それが現行アルファード&ヴェルファイアが2017年12月にビッグマイナーチェンジされて以来、2台の販売台数は逆転。さらに2020年5月からトヨタは原則全ディーラー全車種扱いとなってからその差は一気に広がり、2021年の販売台数はアルファード9万5049台、ヴェルファイア6509台と風前の灯火である。
とはいえ、ヴェルファイアが残した功績は決して小さくないのだ。今回はヴェルファイアが歩んだ軌跡を振り返り、これまでの功績を考えてみた。
■初代アルファードは2種類あった!? グリルで差別化を敢行
ヴェルファイアが登場したのは前述したようにアルファードが2代目モデル登場と同時期であった。
2002年登場の初代アルファードはトヨペット店と後にネッツ店に統合されるビスタ店扱いだった。そのためアルファードにはグリルの違いのみとなるトヨペット店向けのアルファードGと、ビスタ店向けのアルファードVをラインアップ。
なお、初代アルファードと同時期のトヨタ車にはそれぞれ2000年登場の2代目エスティマ(トヨタ店向けエスティマT、カローラ店向けエスティマL)、2代目RAV4(ネッツ店向けRAV4 J、カローラ店向けRAV4 L)という、初代アルファードと同様の例があった。
初代ヴェルファイアとアルファードとの違いはデザインのみだ。具体的には「上品、洗練」をテーマに押し出しの強いグリルを持つなど比較的オーソドックスなアルファードに対し、ヴェルファイアは「力強さ、先進性」をテーマにアグレッシブな上下二段のヘッドライトやクリアのテールランプを備えていた。
2015年1月登場の現行型3代目アルファードと2代目ヴェルファイアも、デザインを含め先代モデルのキープコンセプトでフルモデルチェンジされた。両車のデザインテーマはアルファードが「豪華、勇壮」、ヴェルファイアが「大胆、不敵」だった。
そして、2017年12月のビッグマイナーチェンジではアルファードはフロントマスクがよりアルファードらしい重厚な押し出しあるものになったのに対し、ヴェルファイアは変化が少なかったためなのか、ビッグマイナーチェンジ以降販売台数は逆転。
ヴェルファイアは2021年に中国向けがクラウンのエンブレムが付くクラウンヴェルファイアになるという話題はあった。
しかし、2021年4月の一部改良の際にヴェルファイアは販売台数減少により特別仕様車のゴールデンアイズのみになったこともあり、冒頭に書いたように現在販売台数ではアルファードと大差が付いている。ちなみにカタログもアルファードに統合されているのだ。
■トヨタミニバンの勢力拡大に大きく貢献!! ヴェルファイアは超偉大だった
現在ドン底にいるヴェルファイアだが、ヴェルファイアが残した功績は小さいものではないのだ。まずは、アルファードとのデザインによる雰囲気の違いにより、ユーザーの選択肢が増加。
初代ヴェルファイアが登場した際ライバルであった2代目エルグランドの前期型も二段式ヘッドライトを採用。これは少なからず2代目エルグランドに対する牽制になった可能性があるのだ。
そして、ヴェルファイアは価格が最低でも300万円を超える高額車である。そしてアルファードより売れていたのは扱いディーラーのネッツ店の収益に大きく貢献したのだ。
■新型ノア/ヴォクシーに続く!? 新型ヴェルファイアが投入される可能性は大いにアリ
新型ノア&ヴォクシーが2021年12月にデビューしたが、こちらはかねてよりノアに統合されるとウワサされていた。兄弟車の一つであったエスクァイアは廃止されてしまったが、この2台は引き続き販売されることとなった。
同様にアルファードがフルモデルチェンジをした際にヴェルファイアは廃止されていると叫ばれているが、ノア/ヴォクシーのように2台体制で再挑戦する可能性は大いにあるのだ。これだけの功績を残しているのだから、可能性はゼロではないのだ。
それだけに、新型ヴェルファイアが登場するならば、心機一転頑張って欲しいところだ。
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