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<p>2000枚のパンツを科学者たちが土の中に埋めている理由とは?</p><p>2000枚のパンツを科学者たちが土の中に埋めている理由とは?(2021)</p><p>スイスでは科学者や農家、庭師などが揃って土の中に2000枚ものパンツを埋めています。この理由をイギリスの科学誌であるBBC Science Focus Magazineが解説しています。</p><p>研究チームは綿製のパンツを土の中に埋めたのち、2カ月後にこれを掘り起こし、写真を撮ります。土の中に埋めたパンツがどれだけ分解されているかを見て、土壌生物の活性度を調査します。パンツが分解されていればされているほど、土壌の健康状態が優れているということになる模様。 研究チームは「我々の調査で使用しているパンツは、ウエスト部分と縫い目部分を除き、100%生分解性のオーガニックコットンを用いています。100%生分解性のオーガニックコットンは土壌中のさまざまな生き物の食料となるため、地中の生き物がより活発であるほど、パンツはより速く、より多く分解されてしまいます」と説明しています。 プロジェクトに参加する人々は2つのパンツを受け取り、調査したい土壌にそれぞれのパンツを埋めます。土の中に埋められたパンツの1つは1か月後に、もう1つは2か月後に掘り起こされます。なお、パンツと一緒に土壌調査を行い、生息している微生物の種類についても調査が行われるとのこと。 土の中には何十億種類もの微生物、菌類、昆虫などの生き物が生息しています。その生態系と、それが作物の収穫量や自然災害の予防にどのように影響するかはほとんど知られていません。Proof by underpantsでは土の中に埋めたパンツの分解度合いから、土壌の健康状態や土壌生物が作物の収穫量に与える影響を推し量るわけです。 Proof by underpantsは地球規模で進む土壌侵食に対する意識を高めることを目的としています。農作物の栽培に肥料を使ったり、建築物が増加したりすることは、肥沃な土壌の喪失を加速させる主な原因であると考えられています。土壌侵食は作物への影響だけでなく、自然災害に対する防御機能の低下や、川に浸透する化学物質レベルの上昇にもつながると指摘されています。 なお、土の中にパンツを埋めることで土壌の生物活性度を調査するという手法は、スイス以外でも行われています。</p>