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 グリーンイノベーションによる製品開発では、従来の物質材料科学と計算科学的なアプローチに加え、さまざまな社会課題まで含めた研究開発が重要。これらを結びつけた枠組みの構築には、情報科学やAIを駆使することがカギとなる。計測技術の高度化で詳細なデータが連続的に得られるようになるなか、その膨大なデータを有効に活用するツールが求められている。

 トヨタ自動車が事業化を進める材料分析・データ解析クラウドサービス「WAVEBASE」は、データの解析・整理蓄積およびデータ活用の自動化により、新素材のアイデアが生まれる環境の実現を目指している。特徴的な機能は材料データから有意な情報を取り出す解析部分。ニーズに応じて解析アルゴリズムを作成し、時間や場所を問わず解析できる環境を提供するもので、従来の解析法にとらわれないデータサイエンスを使った解析が行える。

 大量のデータにクラウド上で高度な情報処理を行うことで、先端実験施設だけでなく会社の実験室で得たデータまで活用した高度解析が可能となる。実験計画の段階で結果の予測や推定ができ、より良い計画を事前に立てられる。また先端実験の現場でも解析ができ、やり直しの必要や足りないデータを瞬時に判断することで、追加実験をすることなく有効なデータの取得が可能。さらにデータを迅速かつ余すことなく処理することで、今まで取り出せなかった情報や新たな着眼点、新発見に結びつける。

 トヨタでは、材料および実験に精通したデータサイエンティストかつマテリアルサイエンティストにより、ニーズに応じた解析手法のカスタマイズを提供。単なる解析結果だけでなく、データの持つ意味まで踏み込んだ解析をすることで、ノイズだと思っていた、わずかな変化に意味を見出せるようになる。

 今回、ゴム材料の大幅な解析時間の短縮を実現した住友ゴム工業では、最先端施設で得たデータを解析するのに約4年かかるところを約2週間に短縮できた。同社では、質の高いデータを得るために、より時間を費やせるほか、知見が乏しいバイオマス材料などでも機械学習を用いて材料開発が可能になるとみる。

 昨年度は10社前後にサービスを提供しており4月以降、順次拡大していく計画。樹脂や金属、無機材料、さらに複合材料にも対応している。開発のサイクルを速く回すことで、労働者や研究者人口が減少するなかでも世界競争力の高い研究開発が可能となる。こうした外部のリソースを、いかに活用していくかが重要性を増している。

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The post 研究開発に外部リソースを積極活用 first appeared on 化学工業日報.