ロシアメディアによると、オリガルヒと呼ばれるロシアの富豪とその家族が相次いで死んでいるという。
18日、ロシア有数の銀行・ガスプロムバンクの元副社長、ウラジスラフ・アバエフ氏がモスクワ市内の自宅で妻と娘とともに死亡したという。モスクワ市の捜査当局は、一家心中の可能性があると発表している。
19日には天然ガス大手のノバテク社の元副会長、セルゲイ・プロトセーニャ氏がスペインのリゾート地で妻と娘とともに遺体で発見された。スペインの地元警察は、プロトセーニャ氏が家族を殺害した後、自殺した可能性があると話しているという。
上念氏「戦争に反対したから殺された?」
このニュースがテレビ朝日で伝えられると、ツイッターでは次のような意見が多数派だった。
経済難のロシアが富豪の資産を奪う為に暗殺、もしくは戦争に反対してる富豪が多いらしいから粛清としての暗殺か。
自殺に見せかけた暗殺だろ。
戦費がかさんで富豪の資産差し押さえる大義名分か、戦争に反対している富豪を狙った暗殺だろう
経済評論家の上念司氏も、同じような認識のようで次のようにツイートした。
「戦争に反対したから殺された?恐ろしい人権状況の国、ロシア。日本の人権派の皆さん、ロシア批判の弾幕薄いよ。日弁連、声明はまだか?」
戦争に反対したから殺された?
恐ろしい人権状況の国、ロシア。
日本の人権派の皆さん、ロシア批判の弾幕薄いよ。日弁連、声明はまだか?ロシア富豪とその家族の死が相次ぐ|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト https://t.co/Ne7MAePqRY
— 上念 司 (@smith796000) April 21, 2022
ニュースは、あくまで「ロシア富豪とその家族の死が相次ぐ」というもので、ノバテク社の元副会長とガスプロムバンクの元副社長、さらにその家族がいずれも自殺したというものだ。しかし、彼らが本当に自殺したとは日本のツイッターユーザーの多くは信用していないようだ。
それも仕方のないことなのかもしれない。それだけ、ソ連やロシアでは伝統的に暗殺が行われてきた歴史がある。
ショイグ国防相の暗殺未遂報道も
1959年にはウクライナの民族解放運動の指導者だったステパン・バンデラ氏がKGBのスパイによって暗殺されている。1978年には、ブルガリア出身の作家でジャーナリストのゲオルギー・マルコフ氏が、ソ連圏の言論弾圧などを批判したとして殺されている。
もちろん、この“伝統”はプーチン氏が大統領になってからも守られている。それどころか、より活発になっていると言っても良い。
プーチン氏が暗殺、あるいは暗殺未遂に関与したとされる事件は枚挙にいとまがない。アメリカの元情報機関員が会員の「元情報オフィサー協会」(AFIO)が発行する機関誌「インテリジェンサー」が公開したリストでは、プーチン政権下のロシア政府の命令の下、殺害された人数は30人以上とされる。
とりわけ有名なのは、ボリス・ネムツォフ元第一副首相の暗殺事件だ。2015年2月27日、ロシア反政権活動家のボリス・ネムツォフ氏がモスクワ中心部で4発の銃弾を受けて暗殺された。ネムツォフ氏らは、その数日後にロシアのウクライナ軍事介入に抗議する「反戦デモ」を計画していた。
また、先日も英紙エクスプレスが「ロシアのショイグ国防相が暗殺未遂に遭った」と報道したばかりだ。
現在、プーチン大統領は多額の戦費をかけてウクライナ人を殺害する戦争を起こしている。オリガルヒの関係者らの相次ぐ死の真相は不明だが、過去の経緯からすれば、プーチン氏はウクライナ人どころか、自国民を殺害するのも躊躇ないと感じてしまう人が続出するのは無理からぬことのようだ。