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| どう考えてもeフューエルのほうがEVよりも環境に優しいような気がするが |

そこまでの「EV以外はダメ」と頑なな姿勢を貫くところを見ると、なにかウラがあるんじゃないかと勘ぐってしまう

さて、現在世界各国・各地にて「ガソリンエンジン販売禁止」の動きが加速しており、早ければ2030年からガソリン/ディーゼルエンジンを積んだ新車の販売ができなくなる地域が出てくることに。

そして今回、EUの環境委員会にて「2035年までに排出ガスを100%削減し、ガソリン車とディーゼル車の新規販売を事実上禁止する」という法案の支持が得られ、近々可決される可能性が高いとも報じられています。

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e-フューエルは事実上の「排除」

今回の議論において衝撃的なのは「e-フューエルを認めない」という決定。

このe-フューエルとはいわゆる合成燃料であり、石油を原料とせず、しかしガソリンと同じように(既存の)エンジンに注入して走行ができるという画期的な燃料で、このe-フューエルを使用すればCO2排出が事実上ゼロになるとも言われています。

つまり、自動車を買い換える必要もなく、そのまま今乗っているクルマを利用できるので極めて環境に優しい対策だと言えるのですが、EU(および現在の理事会議長国であるフランス)の考えはどうやら「CO2排出ゼロにするよりも、EVへの切り替えを行う」ことであると見え、同じCO2排出量ゼロであってもe-フューエルは認めず、EVはOKだと結論づけたわけですね。

つまりEUは「クルマを全部EVにする」ことを唯一の地球温暖化に対する解決策だと捉えていることになり、しかしこれは多くの人が異論を唱えるように様々な疑問が生じます。

まずEVを作るには様々な希少希土類が必要であり、それらを採掘するには環境負荷がかかること。

そしてそれらを輸送したり、EVを製造する段階でもCO2が排出されますし、EVに買い替えたのち、ガソリン車を廃棄するのにもCO2を排出します。

加えてEVだらけになると充電インフラが追いつかなかったり、充電のための電力の発電にまたCO2を発生させたりすることになり、どう考えてもe-フューエルよりもEV化のほうが環境に悪そうに思えるのですが、そういった意見が議論の場で出なかったのかはちょっと不思議でもありますね。

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ちなみにイタリアは「e-フューエルを認めない」という案に反発し、フランスはプラグインハイブリッド車を「禁止」の対象外に加えるようにという意見を出したと報じられるものの、どうやら両方ともこれらは却下されたもよう。

参考までに、イタリアは「(フェラーリやランボルギーニのような)少量生産メーカーは規制対象外に」という道を模索しており、しかしこちらも希望が潰えたとちょっと前に報じられていて、とにかくEUの意向としては「ピュアEV以外は(CO2排出ゼロであっても)認めない(EVのみが正義)」ということになりそう。

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さらに言うと、この流れだと「水素」もアウトということになり、今回の決定については自動車業界からの猛反発があるかもしれません。

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ポルシェはすでにe-フューエルに多大な投資済み

なお、現在合成燃料の開発に注力しているのはポルシェがその筆頭であり、すでに生産工場をメキシコにも建設中。

数年内にも実用化を目指しているものの、欧州においてはe-フューエルが認められないため、ポルシェはe-フューエルの市場として欧州を失うことになり、これはけっこう大きな痛手だと思われます。

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そのほか、ランボルギーニなど主にフォルクスワーゲングループの一部ブランドもe-フューエルの実用化、それによるガソリンエンジンの存続に一縷の望みをかけていたものの、欧州市場ではもはや(2035年以降は)EV以外の新車販売ができず、中には方針転換を迫られる会社も出てくる可能性がありそうですね。

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参照:Reuters

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