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アクアvsフィット カローラクロスvsヴェゼル… ライバル車種をプロが直接比較で白黒つける!! あなたならどっちを選ぶ?

 欲しいクルマの条件は揃ったけど、車種をどっちにするか決まらない…… そんな悩みを解決するためテーマ別やカテゴリー別で2台をガチンコ勝負!

  今回の対決ラインナップは「アクア VS フィット」「カローラクロス VS ヴェゼル」「ロッキー VS キックス」そして「ロードスター990S VS スイフトスポーツ」だ。

 ベストカーでお馴染みの自動車評論家たちが、値段やカタログスペックだけではわからない性能差を5項目に分けて評価する!

※本稿は2022年2月のものです
文/岡本幸一郎、松田秀士、片岡英明、写真/ベストカー編集部、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2022年3月26日号

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■コンパクトハイブリッド対決(トヨタ アクア VS ホンダ フィット)

フィットは室内空間、走りの質ともにアクアよりも優れている。加速の立ち上がりはアクアの方がいい(写真はアクア)

 新型アクアは共通性の高い同門のヤリスとの差別化を図るべく、後席の居住性や乗り心地の快適性、内外装の質感に配慮したクルマになった。

 その点では定評のあるフィットと比べると、絶対的な広さでは全然かなわない。車内空間の広々感と視界のよさには感心せずにいられないし、センタータンクレイアウトによる低くフラットなフロアの優位性も依然として大きい。

 走りの質も“心地よさ”にこだわったフィットには遠く及ばず。アクアの標準系の足まわりはヤワで、逆にスウィングバルブダンパーの付く「Z」は路面感度が高く乗り味が粗い。

 一方で、印象的なのが瞬発力だ。大きな電流を瞬時に出せるバイポーラ型ニッケル水素バッテリーが効いて、加速の立ち上がりがかなり素早い。THSもまだまだ可能性があることに感心した。かたやフィットは、システムの先進性では上回るも、もっとやれるはずなのに、燃費を意識してか加速感がずいぶん控えめなのが惜しい。

■テスト結果(アクア/フィット)
・ハンドリング:5/9
・動力性能:8/7
・ドライバビリティ:6/9
・ハイブリッドシステムの完成度:8/8
・リアシートの居住性:7/9
・総合:7/8

■判定…パワー感以外の項目でフィットが貫録の優勝

●トヨタ アクア 主要諸元
・全長×全幅×全高:4050×1695×1485mm
・重量:1080kg
・エンジン/モーター:1.5L、直3(91ps/12.2kgm)+モーター(80ps/14.4kgm)
・WLTCモード燃費:35.6km/L
・価格帯:198万円~259万8000円

●ホンダフィット車両諸元
・全長×全幅×全高:3995×1695×1540mm
・重量:1190kg
・エンジン/モーター:1.5L、直4(98ps/13.0kgm)+モーター(109ps/25.8kgm)
・WLTCモード燃費:28.6km/L
・価格帯:199万7000円~286万6000円

(TEXT/岡本幸一郎)

■コンパクトSUV対決(トヨタ カローラクロス VS ホンダ ヴェゼル)

両車とも日本で使いやすいコンパクトSUV。室内空間は両車とも十分だが、走りの洗練度ではホンダ ヴェゼル(写真)が上回る

 両車とも日本で使いやすいジャストサイズの快適クロスオーバーSUVだ。ボディサイズはカローラクロスのほうが大きいが、取り回し性のよさは負けていない。

 キャビンは独創的なセンタータンクレイアウトを採用するヴェゼルのほうが広く、多人数乗車でも寛げる。特に後席の広さは圧巻だ。大柄な人でも足を組んでゆったりと座れる。

 カローラクロスは視界がよく、シートもたっぷりサイズだ。後席の膝もと空間はヴェゼルほど広くはないが、頭上には余裕がある。4名乗車時の荷室の奥行きも充分だ。だが、荷物を積みやすいのは荷室がフラットなヴェゼル。

 パワーユニットは、両車ともガソリンエンジンとハイブリッド車を設定した。カローラクロスは1.8L、ヴェゼルは1.5Lだ。主役となるハイブリッド車の評価は、e:HEV搭載のヴェゼルが一歩リード。パワー感とトルク感は300ccの違いを感じさせないし、ドライバビリティも一歩上を行っている。

 ガソリン車は、どちらもスポーティな味わいだ。これで充分と言える実力を秘め、ハンドリングも軽やか。だが、カローラクロスはFF車しか設定がないのが残念。ヴェゼルも廉価グレードだけで装備などに不満を感じてしまう。

 ハンドリングの洗練度はヴェゼルに一日の長がある。2WDを含め、カドが取れた穏やかな乗り味が心地よい。それでいてスポーティな走りも余裕でこなす実力派だ。

■テスト結果(カローラクロス/ヴェゼル)
・ハンドリング:8/9
・動力性能:8/9
・ドライバビリティ:8/9
・SUVらしさ:9/8
・リアシートの居住性:7/10
・総合:8/9

■判定…ほぼすべての項目でヴェゼルが上回った

●トヨタカローラクロス車両諸元
・全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm
・重量:1380kg
・エンジン/モーター:1.8L、直4(98ps/14.5kgm)+モーター(53ps/16.6kgm)
・WLTCモード燃費:26.2km/L
・価格帯:199万9000円~319万9000円

●ホンダヴェゼル車両諸元
・全長×全幅×全高:4430×1790×1590mm
・重量:1380kg
・エンジン/モーター:1.5L、直4(106ps/13.0kgm)+モーター(131ps/25.8kgm)
・WLTCモード燃費:24.8km/L
・価格帯:227万9200円~329万8000円

(TEXT/片岡英明)

■シリーズハイブリッドSUV対決(ダイハツ ロッキー VS 日産 キックス)

日産 キックス(左・オレンジ)とダイハツロッキー(右・白)。ロッキーは改良によりハンドリングが格段に進化しているが、まだまだキックスには及ばない

●ハンドリング…モーターやバッテリーの性能がだいぶ異なり、システム的に高性能なのはキックス。足回りもキックスは日本導入時点で課題を洗い出し、ボディ剛性を高め、電動パワステをチューニングし直したというだけあって、ハンドリングの洗練度はかなりのもの。かたやロッキーは改良による変更は特に伝えられていないものの、実はけっこう乗り味がよくなっている。もし改良前の荒削りなままだったら3点のところ、改善されたことは評価したい。

●動力性能(加速性能)…動力性能もスペックのとおり、キックスのほうが瞬発力はある。ただし、モータードライブならではのレスポンスやなめらかな走りはロッキーだって充分に味わえる。ロッキーで気になるのはエンジンが頻繁にかかること。また、強く加速したい時にアクセルを踏み込んだ直後に加速し始めるまでにほんの一瞬タイムラグがある。

●ドライバビリティとシリーズHEVとしての楽しさ…e-POWERはエンジンで発電した電気を必ずバッテリーにためてからモーターを駆動するのに対し、e-SMARTは直接モーターを駆動することもできるのが大きな違い。効率がよいからだ。ただしバッテリー容量が小さく、エンジンを効率のよいところで回して発電するよう制御しているので、エンジンのかかる頻度や、加速の立ち上がり方で、どうしてもe-POWERのようにはいかない部分があるのは否めない。

●インテリアの質感…一方、インテリアも車格の違いがモロに現われている。キックスは価格が高いなと第一印象として思ったものだが、インテリアを見て納得。質感もデザインもなかなかだ。ロッキーの空間の広さもこのサイズのわりにがんばっているが、キックスはさらに広い。

●総合評価…クルマとしての実力はキックスのほうがずっと高いが、昨年キックスが月販平均3000台足らずだったのに対し、ロッキーはライズと合計でその3倍近くも売れた。コスパの高さや、日本人好みのデザインが効いているはず。e-SMARTも加わったことで、今後はもっと差が開きそう。完成度はキックスが圧倒的だが、商品としての魅力はロッキーが上と言えるだろう。

■テスト結果(ロッキー/キックス)
・30~60km/h:2.8秒/2.2秒
・60~80km/h:3.6秒/3.2秒
・80~100km/h:3.9秒/3.6秒
・アイドリング騒音:49.6dB/44.8dB
・60km/h騒音:61.0dB/58.7dB
・100km/h騒音:62.6dB/62.4dB
・前席との距離:こぶし1.1個/こぶし1.2個
・ラゲッジ幅:995mm/1005mm
・ラゲッジ奥行き:810mm/1010mm
・ラゲッジ高さ:775mm/840mm
・ハンドリング:5/9
・動力性能:6/8
・ドライバビリティ:7/9
・シリーズハイブリッドとしての楽しさ:7/9
・インテリアの質感:5/8
・総合:6/9

■判定…性能面はキックス圧勝も商品力はロッキーに軍配!

●ダイハツ ロッキー 主要諸元
・全長×全幅×全高:3995×1695×1620mm
・重量:1070kg、
・エンジン/モーター:1.2L、直3(82ps/10.7kgm)+モーター(106ps/17.3kgm)
・28.0km/L
・価格帯:211万6000~234万7000円

●日産 キックス 主要諸元
・全長×全幅×全高:4290×1760×1610mm
・重量:1350kg
・エンジン/モーター:1.2L、直3(82ps/10.5kgm)+モーター(129ps/26.5kgm)
・WLTCモード燃費:21.6km/L
・価格帯:275万9900~286万9900円

(TEXT/岡本幸一郎)

■ライトウェイトスポーツ対決(マツダロードスター990S VS スズキスイフトスポーツ)

スイフトスポーツは1.4Lターボのパワー感、フィーリングとも最高で、コーナーの立ち上がりが鋭い

●ハンドリング…ハンドリングは駆動輪と操舵輪がセパレートしているFRが有利。さらにロードスター990Sは前:ダブルウィッシュボーン/後:マルチリンクで、ステアリングも前引きとなっている。990Sはスペックへのこだわりがほかと違う。でもFFのスイスポも頑張っている。サスペンションのストロークは突っ張り感がなく、しなやかでしっかり路面を掴んでいる。スイスポには荒れた路面に強い一面もある。

●動力性能(加速性能)…これはスイスポ。15.5kgmを4500rpmで発生する990Sに対しターボのスイスポは23.4kgmを2500〜3500rpmとより低い回転域で発生する。ターボゆえの過給によりトルクが立ち上がった時の加速が力強い。コーナーの立ち上がりでの瞬発力でスイスポが有利だ。

●ドライバビリティ…ハンドリングと同義だとは思うが、運転のしやすさという意味ではスイスポに一歩アドバンテージがある。それはトルクのあるエンジンと970kgという990Sを凌ぐ軽量車体のおかげ。オープンに対してメタルルーフを持つスイスポはボディ剛性面でも有利。屋根があっても1tを大きく切る軽量化技術は素晴らしい。

●エンジンの気持ちよさ…甲乙つけがたい部分だ。自然吸気のストレートな吹き上がりの990Sは、アクセルコントロールがしやすい。後輪への積極的なトルクコントロールでコーナリングそのものを変化させることも可能。一方スイスポは過給器ゆえにどうしても勝手アクセル(ハンチング)になるアンコントローラブルな部分がある。FFゆえコーナリング中の急激なトルク変動は難しい部分。ただエンジンそのもののキャラクターは、分厚いトルクが低中速から沸き上がるので胸躍らせてくれる。

●乗り心地…圧倒的にスイスポが優勢。サス設計とモンロー製ショックによる路面追従性がとても優れている。990Sもシート座面にネット式を採用するなど、目に見えない対策を施して乗り心地対策をしているが、ボディ剛性でアドバンテージのあるスイスポのほうが路面からの外乱をよりよく吸収している。

●総合評価…奥深さではFRの990Sだが、今回の比較項目ではコスパにも優れるスイスポの勝ちだ。

■テスト結果(ロードスター/スイフトスポーツ)
・ハンドリング:9/8
・動力性能:6/8
・ドライバビリティ:7/8
・エンジンの気持ちよさ:8/8
・乗り心地:7/8
・総合:7/8

■判定…今回の採点項目では僅差でスイフトスポーツ優勢!

●スズキ スイフトスポーツ 主要諸元
・全長×全幅×全高:3890×1735×1500mm
・重量:970kg
・エンジン:1.4L、直4ターボ(140ps/23.4kgm)
・WLTCモード燃費:17.6km/L
・価格帯:201万7400~208万8900円

●マツダ ロードスター990S 主要諸元
・全長×全幅×全高:3915×1735×1235mm
・重量:990kg
・エンジン:1.5L、直4(132ps/15.5kgm)
・WLTCモード燃費:16.8km/L
・価格:289万3000円

(TEXT/松田秀士)

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