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FFベースに生まれ変わるクラウン、中古でねらい目のFRクラウンはどれだ?

 ベストカーWebでは、すでに何度も新型クラウンはこれまでのFRセダンではなく、駆動方式がFFモデルとなることや、スタイリッシュなSUVに代わると報じてきた。

 現行モデルは2018年6月に登場し、間もなく4年を迎える。しかし、これまで外観デザインが変わるようなマイナーチェンジは行われていない。さらにホームページでの工場出荷時期の目処を見ると今年5月13日時点でのクラウンは、詳しくは販売店にお問い合わせくださいと書いてある。

 もしかすると大幅改良を行うタイミングと半導体不足などによる新車遅延が重なり、オーダーストップとなっているのかもしれないが、もしかすると生産終了か…。という詮索もしたくなる。もしかすると、次期型がFFベースに生まれ変わってしまうかもしれないクラウン。そこで、伝統のFRセダンのクラウンを中古車で狙うとすると、どの世代が狙い目なのだろうか、探ってみた。

文/萩原文博、
写真/トヨタ、ベストカーWeb編集部

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■中古で狙えるFRクラウンは1999年登場の11代目まで

 1955年に初代が登場したトヨタクラウン。15代目となる現行モデルは2018年6月に登場した。中古車検索サイトで流通台数を調べてみると約980台流通している。

 旧型クラウンロイヤル/アスリートは2012年12月に登場。中古車の流通台数はロイヤルが約500台、そしてアスリートが約1055台。

 そのひとつ前の13代目クラウンロイヤル/アスリートは2008年2月に登場。中古車の流通台数はロイヤルが約380台、そしてアスリートは約570台となっている。

 さらにゼロクラウン、12代目クラウンロイヤル/アスリートは2003年12月に登場。中古車の流通台数はロイヤルが約270台、アスリートは約315台。

 最後の直6エンジン搭載モデルだった11代目クラウンロイヤル/アスリートは、1999年9月に登場。中古車の流通台数はロイヤルが約65台、そしてアスリートは約33台となっている。

 流通台数から見て、クラウンの中古車で狙えるのは1999年に登場した11代目までと言える。それでは、各世代がどのようなモデルだったのかと中古車相場を紹介する。

11代目より前のクラウンは流通台数が少なく、探す難易度が高そうだ

■11代目は最後の直6クラウン

 1999年9月に登場した11代目クラウンは「新世紀クラウン」と呼ばれ、キャッチコピーは「21世紀へ。このクラウンで行く。」だった。このモデルから走りに磨きをかけたアスリートを設定した。

 パッケージを一新し、エンジンを車両の中心に寄せ、燃料タンクを後席床下に収納することによりヨー慣性モーメントを減少させ、優れた操縦性・走行安定性を実現するとともに、ラゲージスペースを拡大させたのが特徴。

 同時に、着座位置を上げて全高を高くとり、キャビンを広げることにより、前席、後席とも、足元、肩回り、頭上にゆったりとした空間を確保している。また、ドア構造を高剛性サッシュタイプとすることで、ビッグキャビンの大型ドアに対応するとともに、重厚なドア開閉フィーリングと静粛性をレベルアップしている。

 搭載するエンジンはデビュー時、4L V型8気筒DOHCを筆頭に、3L直列6気筒DOHC。そして2.5L直列6気筒ターボ&DOHCの4種類で、直列エンジンを搭載した最後のクラウンとなった。

 現在の中古車相場はロイヤルの平均価格約46万4000円で、価格帯は約19万~約88万円。一方、アスリートは平均価格が約97万4000円、価格帯は約24万8000~約498万円。アスリートのみに搭載されていた2.5L直6ターボの影響でいまだに100万円以上のクルマが豊富だ。

 最高価格車はヤマハがサスペンションなどをチューンした300台限定のアスリートVX。このクルマに出会えることがレアな体験だ。

■12代目は若返りを図った「ゼロクラウン」

 12代目のクラウンは2003年12月に登場。プラットフォームをはじめエンジン、サスペンションなど主要コンポーネントを一新。躍動感あるスタイル、卓越した車両運動性能、世界トップレベルの安全・環境性能、最先端の様々な技術・快適装備により、トヨタの高級セダンの新しい潮流を提示した。そこで、広告でのキャッチコピーから「ゼロクラウン」と呼ばれた。

 新開発のプラットフォームには「書の勢い」をモチーフとしたサイドビューに代表される気品と躍動感の演出とともに、キャビンを動きのあるシルエットのボディを採用している。

 視点の上下移動を抑えたフラットな乗り心地を念頭に、力強い動力性能、優れた操縦性・走行安定性の実現し、意のままの走りを可能とする卓越した車両運動性能を追求している。

 アスリートは、メッシュタイプのフロントグリル、丸型のリアコンビネーションランプとともに、専用の18インチアルミホイール、前後バンパースポイラー、サイドロッカーモール、リアスポイラーの採用により、精悍さとスポーティ感を強調した。

 搭載されるエンジンは3L V型6気筒DOHCと2.5L V型6気筒DOHCの2種類。組み合わされるトランスミッションは3Lが6速AT、2.5Lは5速ATだった。そして、一部グレードにブレーキペダルが急速度で踏み込まれると同時に、モーターにより前席のシートベルトを巻き取り、乗員の初期拘束性能を高める緊急ブレーキ連動式のプリクラッシュセーフティシステムを搭載している。

 中古車の状況を見てみるとロイヤルは約270台流通していて、平均価格は約36万円、価格帯は約15万~約88万円。一方、アスリートは約315台流通していて、平均価格は約46万4000、価格帯は約16万5000~約205万円となっている。

■フルハイブリッド仕様が追加された13代目

 2008年に登場した13代目クラウンは、ロイヤル、アスリートに加えてハイブリッドが追加された。

 クラウン伝統の資質を受け継ぎながら、先進の技術を積極的に取り入れ、世界基準の性能を確保しつつ、日本人の感性と調和する魅力を備えた高級セダンを目指して開発されている。

 先代のゼロクラウンを踏襲しつつ、トヨタ車のデザインフィロソフィーである「VIBRANT CLARITY(活き活き・明快)」に基づき、クリーンな表情と存在感のあるフォルムを両立したスタイルが特徴。

 ハイブリッドには、視認性に優れたTFT液晶を使った当時世界初のファイングラフィックメーターを標準装備するなど先進性も光る。また安全装備でもドライバーの眼の開閉状態を検知する機能を追加した、世界初の進化した「ドライバーモニター付きプリクラッシュセーフティシステム(ミリ波レーダー方式)」を設定している。

 搭載するエンジンはロイヤルが2.5L、3LのV型6気筒。アスリートは2.5L、そして3.5LV型6気筒エンジン。組み合わされるトランスミッションは6速ATとなっている。

 現在の中古車事情を見てみるとロイヤルは約380台流通していて、平均価格は約78万4000円。価格帯は約35万~約187万円。一方、約590台流通しているアスリートの平均価格は約96万5000円、価格帯は約30万~約218万円。ちなみにクラウンハイブリッドの中古車は約160台流通していて、平均価格は約93万円。価格帯は約49万~約228万円だ。

■ロイヤルとアスリートのデザイン差別化が進んだ14代目

 14代目となる旧型クラウンは2012年12月に登場した。キャッチコピーは「CROWN Re BORN」で、原点に立ち返り、クラウンの本質である優れた乗り心地や高い静粛性を磨き上げたうえに、現代においてクラウンに求められる要件を積み上げていくことを念頭に置き、開発された。

 これまでのモデル以上にロイヤルとアスリートの差別化が図られた。外観では、ロイヤルは縦に厚みを持たせたアッパーグリルとワイド感を強調するロアグリルを融合し、威厳ある新たなクラウンの顔を象徴的に演出。アスリートは、王冠を連想させ、スポーツモデルとしての機能性も感じさせるグリル形状を採用している。

 先進の安全装備として、実際に発生している追突事故の90%以上の相対速度域に対応するよう減速性能を向上させた「プリクラッシュセーフティシステム(ミリ波レーダー方式)」、駐車場でのペダルの踏み間違いなどの場合に衝突被害軽減に寄与する「インテリジェントクリアランスソナー」を搭載している。

 搭載しているパワートレーンは、ロイヤルは2.5L V6エンジン+6速AT。アスリートは2.5L V6エンジン+6速ATに加えて、3.5L V6エンジン+8速AT。さらに両モデル共通で2.5Lエンジンのハイブリッドシステムを用意している。

 旧型クラウンのロイヤルの中古車は約500台流通していて、平均価格は約189万円。価格帯は約97万~約370万円。アスリートは約1050台流通していて、平均価格は約244万円、価格帯は約129万~約600万円となっている。

■15代目はコネクテッドカーとして

 そして、15代目となる現行型クラウンは初代コネクティッドカーとして2018年6月に登場。TNGAに基づくプラットフォームを新採用。パワートレーンをより低い位置に配置し低重心化を実現。外観デザインも6ライトウィンドウの採用によるルーフからラゲッジにかけての伸びやかで流麗なサイドシルエットが特徴だ。

「6ライトウィンドウ」デザインを採用した15代目。最近流行りのようだが、言葉自体は結構前からある。思い起こせば1989年デビューのホンダアスコット(アコードの姉妹車種)もそうだったか

 コネクティッドサービスをユーザーが利用できるように、車載通信機DCMを全車に標準搭載。ドライバー、街、社会がつながるサービスを充実させている。

 これまでのアスリートやロイヤルというモデル体系が廃止されているのが特徴で、標準系のB、S、G。スポーティなRS系、ラグジュアリーなエグゼクティブという3タイプを選べる。

 搭載されているパワートレーンは2L直列4気筒ターボ+8速AT、2.5L直4エンジンのハイブリッド。そして、3.5L V6エンジンのハイブリッドの3種類。

 運転支援システムは、第2世代型の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備。さらに、パーキングサポートブレーキ(静止物、後方接近車両、後方歩行者)を採用している。

 現行型クラウンの中古車は約980台流通していて、平均価格は約402万4000円。価格帯は約255万~約830万円とまだ高水準だ。

 こうして見ると、FRクラウンの中古車でバリューが最も高いのは2012年に登場した旧型モデル。流通台数は少ないが、ロイヤルのほうが割安感は大きくなっている。「いつかはクラウン」と言われ、日本の高級車の代名詞であるクラウンは中古車でもいいから一度は味わっておきたい。


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