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外国為替市場での円安に歯止めが効かなくなっている。20日朝には1ドル129円台に突入、2002年5月以来となる歴史的な低水準を記録した。日銀はこの日、国債を無制限に買い進める「指し値オペ(公開市場操作)」を3月下旬に続いて2度目の発動。金利を抑える姿勢を示した。

こうしたマクロの動きの裏で、足元の個人レベルでも円安の加速で大きな影響が出始めている。その一つが海外留学へのハードルが上がってしまったことだ。

rose015/PhotoAC

世界的にも学費が高いアメリカに留学する場合、これまでは1年間に少なくとも数百万円はかかるとされてきた。ただ、それも近年の円相場が110円未満の頃での話だ。

ツイッターでは、10年前に1ドル80円だった頃に子どもを留学に送り出したという人の匿名アカウントが「もしあの時1ドル130円だったらどうなっていただろう?英語圏は学費そのものが上昇しているところにこの円安で、留学費用の負担感は10年前の2倍。留学は手の届かない高嶺の花になりつつある」と指摘している。

社会人向けの留学も例外ではない。外資系企業に勤務する弁護士という匿名アカウントはLLM(ロースクール)への留学費について「円安効果だけで昨年から100万円以上あがってることになるのか…」と絶句していた。他にも「これだけ急激に円安になると子どもを海外留学させてる家庭とかの家計は崩壊しないのかな?」と懸念する声も見られた。

投資家の内藤忍氏は19日に更新したブログで、「円安で日本人は益々「ひきこもり」になる」と指摘。「国内にいると気が付きませんが、コロナ禍が一段落してこれから海外に出かけると、海外の物価の高さに驚く日本人が増えるはず」と展望した上で、折からの原油高を背景にした航空運賃の値上げや、ロシアの航路規制などを列挙。「わざわざ物価の高い海外に高いコストをかけて行くより、国内の格安な観光地に行こうという日本人が増えるはずです」と、留学も海外旅行も行かない日本人の内向き志向が進むとの見方を示した。

一方で、留学を志望する親の中には「日本はシルバー世代を大事にしすぎて未来を感じない。せめて子どもたちだけは早めに海外に行ってほしい」(ベンチャー企業経営者)と述べる人がいるように、日本の衰退を見越して、語学力や世界で渡り合える基礎を子供のうちに身につけてほしいという“本音”が留学熱の裏にあるのも確かだ。

しかし、この円安で「もはや富裕層か、桁外れの天才で奨学金を得られた人以外は海外留学はできない」などのため息が漏れ始める。“脱出路”は着実に狭まっていることを受け、子どもの中学受験後に留学を視野に入れている親はツイッターで「中受にかまけてるうちに円安進んでるけど、留学プログラムとかある学校とか必要経費が爆上がりするよな。一番下が高校入る10年後どうなってるんやろな…」と不安を隠さなかった。