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おお…カッコいいぞ…! 最強スポーツSUV発表!! レクサス初のEV専用車「レクサスRZ」登場!!

 2022年4月20日、LEXUSはバッテリーEV(以下、BEV)専用モデルとなる新型SUV「RZ」の詳細を発表した。覚えている方も多いとは思うが、今回の新型RZは、2021年12月にトヨタが開発中のバッテリーEV 16車種を一挙公開した際にも登場していたモデルだ。

 レクサスには、既に「UX300e」というBEVがあるが、ハイブリッドモデルとボディを共用していたため、BEV専用車としては今回の新型RZが初。つまりいよいよ、レクサスBEVの大本命が登場したというわけだ。

 はたして、レクサス渾身のBEVの実力はいかほどか。新型「RZ」の詳細をご紹介するとともに、ライバルBEVに対する立ち位置を考えていこう。

文:吉川賢一
写真:LEXUS

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「レクサス」として恥じないスペック

 レクサスは、2035年までにグローバル販売でBEV100%を目指すと宣言しており、その達成のため、2030年までにBEVのフルラインアップを実現するという。あと13年ほどで現状のラインアップがALL BEVへと刷新されるなんて不可能だと思っていたが、2021年末に開発中のバッテリーEV 16車種を一挙公開した際の豊田章男社長のプレゼンは、我々の甘い想像を超えた「覚悟」を見せつけられた。

 ボディサイズは、全長4804×全幅1895×全高1635mm、ホイールベースは2850mm。全長は欧州Cセグメント並みだが、ホイールベースはDセグメントほどもあり、日産「アリア」よりも75mmも長い。トヨタ「bZ4X」も採用するBEV専用プラットフォーム「e-TNGA」は、ホイールベースの間に大容量の駆動用バッテリーを仕込むことができ、その恩恵として、広大な後席スペースを得ることができているようだ。

 今回の新型RZのホットポイントのひとつは、bZ4XではFFと4WDモデルが存在するが、RZは全車4WDとなる点。「DIRECT4」と呼ぶ4輪駆動力システムは、ステアバイワイヤと高度なステアリング制御で、人とクルマがより一体感となった気持ち良いドライブフィールが得られるという。ステアバイワイヤシステムとセットとなる非円形のステアリングホイールはロックトゥロック300度(片側150度)までと極端にクイックだが、高速走行時、低速走行時などで、ギア比が可変したように制御するため、違和感なく操縦できるという。

 そしてもうひとつが、フロントの「スピンドルボディ」だ。エンジン冷却のためのラジエーターが必要だったガソリン・ハイブリッド車用のスピンドルグリルとは異なる意匠を採用し、空気抵抗低減も狙っている。(カッコ良いか悪いかは別として)このフロントフェイスが、今後のBEVシリーズのコモンフェイスとなっていくのだろう。インテリアではSDGsやサステナブルを考えた素材を選び、装飾を工夫しているという。

 「トヨタbZ4Xのレクサス版」として恥じないスペック、デザインとなっているものと考えられる新型RZ。以降でその詳細をご紹介しよう。

レクサスRZのモーター最高出力は230kW(150kW+80kW)。bZ4Xの4WD(160kW)に比べると大きいが、アリアB6 e-4ORCE(250kW)と比べるとやや少ない

低重心なプロポーションと、ゆったりとした室内空間が魅力

 エクステリアデザインの特長は、リアタイヤをワイド化した前後異形タイヤの採用で実現した、低重心なプロポーションだ。これによって、クロスオーバーSUVではあるが、もっと背が低い印象を受けるほど、どっしりと構えている。BEVならではの低いノーズや、フロントフェンダーからボディサイドを流れるキャラクターラインも特徴的。リアタイヤの手前でキックアップするラインも躍動感がある。

 リアはシンプルな水平基調のデザインによって、リアタイヤの存在感が増しており、ワイドなスタンスを表現。一文字リアコンビネーションランプと、NXから続く新しい「LEXUS」ロゴも採用されており、センター部を段落としした赤色レンズ部が、非常にシャープだ。

 インテリアは、低く配置したインパネと異形ステアリング、シンプルなドアトリムなどが特徴的だ。ドアの開閉時には、ドアトリムオーナメントに光の陰影が投影されるオシャレな演出付き(世界初の陰影イルミネーション)。

 また、ウルトラスエードを採用したドアトリムオーナメントやシート、木目調のコンソールアッパーパネルなど、レクサスが得意とするラグジュアリーな雰囲気に仕上がっている。ロングホイールベースのお陰で、カップルディスタンスは1000mmもあり、後席空間はゆったり。パノラマルーフ仕様では前後の抜けがさらに強調され、解放感が増した。

 コックピットは、「Tazuna Concept」というデザインの考え方に基づいた設計がなされている。人が馬を操る手綱にヒントを得て、ステアリングスイッチと、ヘッドアップディスプレイを連携し、目線を前から外さずにコントロールできるそう。大型のタッチディスプレイや、ダイヤル式のシフトノブなど、操作感も磨かれている。

 また、ロードノイズの低減と共に、「車内音」のつくり込みにも取り組んだそうだ。「無音の車内」を目指すのではなく、ドライバーが嫌みに感じない範囲で、加速や減速、周囲の安全状況など、クルマの状況が伝わるよう考えたという。

パワートレインは、スペック的にはアリアと同等

 バッテリー容量は71.4kW、出力はフロント150kW、リアは80kW。WLTCモード航続距離は約450kmだ。bZ4Xの4WDと出力値を比べると、総出量160kW(前80kW+後80kW)だったので、それよりもパワーアップしている。スペック的には、日産アリアB6 e-4ORCEと似たような数値だ。

 だがBEVの場合、駆動用モーターの制御の仕方で、スペックの差の通りのフィーリングとはならないことが多い。アクセルペダルの踏み始めから一気にトルクを出すこともできるし、従来のガソリン車のようなフィーリングにだってできる。この辺りは、実際に試乗して確かめたい。また、BEVで気になる電池容量維持率は、電池制御技術の向上によって10年後に90%を確保したという。

 新開発の4輪駆動力システム「DRACT4」は、新たに開発した「eAxle」により、4輪の駆動力を常に緻密に制御することが可能。車輪側センサー、加速度センサー、舵角センサーなどの情報を元に、前後輪の配分を0:100~100:0まで制御が可能で、発進加速時、操縦性、低電費など、シチュエーションに応じて緻密にコントロールする。

 例えば発進時には、車両のピッチングを抑え、かつダイレクトな加速感を得られるよう、60:40~40:60で可変させている。コーナーでは、ターンイン時は前より配分、脱出時には後ろより配分とするなど、トラクション確保と車両姿勢の安定性を狙っているそうだ。

 ボディ骨格製造には、レーザースクリューウェルディングや構造用接着剤、レーザーピニング溶接などを積極的に採用。SUVボディの弱点であるリアのラゲージ開口部は、二重環状構造に加えて高剛性発泡剤を充填し、ひずみにくい構造としている。他にも引張強度を高めた鋼板を用い、フードには軽量アルミ材、ドアモールディング、ホイールアーチ、バックドアガーニッシュなど、発泡樹脂成型を採用するなど、軽量化を徹底。低く、中央に寄せたバッテリーと、重心から遠い位置にあるパーツには、軽量高剛性な素材を近い、慣性諸元を磨いたのが、このeTNGAプラットフォームの魅力だ。

先進技術も、最新進化版を搭載

 また、予防安全技術「レクサスセーフティシステム+」は、最新進化版を搭載。信号交差点での右左折時の減速支援や、車線内走行時の常時支援、また、ドライバーモニターを用いて、わき見運転や居眠り運転を検知して警告したり、通常よりも速いタイミングで警報や車線逸脱抑制を作動させる。

 また、運転支援技術の「レクサスチームメイト」では、アドバンスドドライブ(渋滞時にハンズオフできる機能)や、アドバンスドパキング(リモート機能付)も採用。スマートキー携帯時に、車外からスマホで駐車/出庫が可能で、専用アプリをインストールしたスマホを、デジタルキーとして使用することも。

 対応するクルマが複数ある場合にも、スマホ一台で操作ができ、スマホ間でのデジタルキーの受け渡しも可能。家族や友人への貸し借りも可能になるという。

欠点は「車両価格」だけか??

 最高速の高さや、加速性能の速さを謡うわけではなく、人にとって快適でドライビングが楽しいBEVを狙っている新型RZには、現時点で欠点らしきものは見いだせない。強いて挙げれば(現時点は未発表だが)相当な額になると思われる車両価格だろう(筆者予想では850万円あたりと予測しており、このモデルの場合の国からの補助金支給額はまだ判明していないが、約85万円程度と予想される)。

 国産車でライバルとなる日産アリアは、これまでの日産車の枠をはるかに超えた高品質なインテリアと、静粛性の高さ、そして走りの良さで勝負に出てきた。全幅1850mm程度に抑えたクルマのサイズ感、乗り味、手触りなど、日本人にはちょうど合うだろう出来の良さだった。

 トヨタ版であるbZ4Xは上級ミドルクラスBEVとして、国内市場でアリアとガチンコ勝負することになるだろう。モーター出力、航続距離など、スペック上だとよい勝負になることが予想される。しかし、レクサス版となる新型RZは、欧州メーカーのBEVや、テスラといった世界のBEVも視野に入れて戦うことになるはず。

 bZ4Xやアリアに対し、乗り味でどれほどの差を付けられているのか、そのうえで、欧州メーカーのような「感性」に訴えかけてくるものがあるのか、そうしたポイントが重要になるはず。bZ4Xとの違いが、デザインとフロントモーター出力だけではちょっと寂しい。乗ってみて「驚き」を感じ取れるかが、関心深いところだ。

 このプラットフォームを用いた別車型、例えばクーペSUVや、4ドアクーペ、スポーツモデルなどの更なるバリエーションを早く見たいところ。「2030年までにBEVフルラインアップ」を目指すレクサスの偉大な挑戦が、いよいよ始まった。

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