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ミツビシの新型軽EV「eKクロスEV」、6月末より販売!!

 2022年5月20日、三菱自動車は、新型の軽バッテリーEV「eK クロス EV」を、今夏発売すると発表した。満充電時の航続可能距離は180km(WLTCモード)、補助金込みの実質購入金額は178万円からと、一般的な軽ガソリン車と変わらぬ価格で手に入ることになる。

 軽のバッテリーEV(以下BEV)といえば、三菱が「i-MiEV」で先行しているジャンル。「i-MiEV」は、2009年に発売開始となり、2021年に販売終了となるまで12年間法人を中心に販売され、プジョーやシトロエンにOEM供給もされていた。

 そんな軽BEVを今回三菱は、SUVテイストの軽自動車である「eKクロス」に新たに設定。「軽」というクラスを越えた滑らかで力強い走りと、先進支援技術の搭載により、日常使いに適したクルマに仕上がった。三菱「eKクロスEV」の全貌をご紹介しよう。

文/吉川賢一、写真/池之平昌信

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■BEVを特別視せずに選んでほしい

eKシリーズの一員として、新たに追加されたeKクロスEV(右側)、新色のミストブルーパールに電気銅線をイメージしたカッパーメタリックを組み合わせた2トーンがテーマカラーとなっている

 ご存じの通り、三菱のeKシリーズは、軽ハイトワゴンのeKワゴンとeKクロス、軽スーパーハイトワゴンのeKスペースとeKクロススペースで構成される、三菱の軽ラインアップの主力シリーズだ。同日発表となった兄弟車、日産「サクラ」とは違い、あくまでeKシリーズの追加車種として三菱は発表した。

 その理由について、三菱の担当者に訊ねたところ、「軽ガソリン車と軽BEVを、特別な区別をせずに選んでいただきたいという思いから」だという。

 ブランドの統一感をだすうえでも、新たなデザインでつくるよりも、ダイナミックフォースなデザインがキマっているeKクロスを活用する方がいい、という考えもあったのだろう。

■フロントグリルとメーター周りにはeKクロスEV専用デザインも

 基本的なエクステリアのデザインは、eKクロスそのものだ。アレンジされていたのは、ダーククロムメッキのフロントグリルやLEDのフロントフォグランプなど。テーマカラーとなっているボディ色は、ミストブルーパールに電気銅線をイメージしたカッパーメタリックを組み合わせた2トーン。

 クリーンで高級感を感じさせるカラーと厳つ目なフロントフェイスの組み合わせが、何とも新鮮だ。このカラーリング含め、2トーン5色、モノトーン5色の、全10色展開となる。

 インテリアのデザインも、基本的にはeKクロスと同じだが、電子制御セレクターレバーや、7インチカラー液晶メーターなど、eKクロスEVだけの装備も投入されている。

 またインストルメントパネル周りにも、カッパー色のステッチをアクセントとして入れており(「P」グレードにオプションのプレミアムインテリアパッケージ装着時)、わずかながらも高級感を引き出すことに成功している。

 特に、7インチカラー液晶メーターは、BEVに必要なバッテリーステータスや電費情報、ナビ情報など、各種情報が分かりやすく表示されていた。9インチの大型ナビゲーションでは、充電スポットや目的地までの推定電池残量を表示する。

 もちろんスマホ連携が可能なので、Apple Car PlayやAndroid Autoなどで事前に調べた行き先をプラグインするだけでセットすることも可能だ。

■軽のネガティブ要素がすべて解消されている

駆動用モーターの最高出力は45kW(64ps)だが、最大トルクは195Nm。これは通常の軽ガソリンターボ車の約2倍に相当する

 さて、肝心のパワートレインだが、新開発のe-パワートレインは、20kWhの駆動用リチウムバッテリーを搭載し、一充電走行距離180km(WLTCモード基準)を確保。

 コンパクトカーユーザーの8割が、一日あたり50km以下(三菱調べ)というデータを元に、大半のユーザーが2日以上充電せずに走行できる容量を確保したという。

 旅行や出張など遠くへ出かけるときにはミニバンやSUVを、買い物などで近場を頻繁に行き来するときには軽BEVを、といった使い分けも想定しているようだ。

 普通充電(AC200V/14.5A)と急速充電の2つのポートを備えており、普通充電は約8時間で満充電、急速充電では約40分で80%の充電が完了するという。

 また、蓄えた電力は、V2L(電気を取り出す仕組み)でキャンプなどでの電源として、V2H(住宅へ給電する仕組み)で停電時の補助電源としてなどにも対応するという。

 エアコン冷媒を用いた冷却システムによって、電池の温度上昇を制御することで、高速走行と急速充電を繰り返しても、高い充電量維持することができることは、非常にありがたいことだ。

 駆動用モーターの最高出力は45kW(64ps)だが、最大トルクは195Nmにもなり、これは通常の軽ガソリンターボ車の約2倍に相当する。モーターの制振性能も高いため、BEVならではの滑らかで力強い走りを実現している。

 実際に、短時間ながらハンドルを握らせていただいたが、軽い車体とパワフルなモーターの相性は、この上なくマッチしており、軽のネガティブ要素がすべて解消されている。登坂でも加速が良いので、これまでの軽が苦手だった登坂走行や信号停止からの発進は、本当に楽になるだろう。

 これまで、軽自動車は、ターボ化やマイルドハイブリッド化などでお茶を濁してきたが、このeKクロスEVこそ(日産のサクラも)が「軽の答え」だと筆者は感じた。

 走行モードは、「ECO」「STANDARD」「SPORT」とあり、イノベーティブペダルオペレーションモード(いわゆる日産eペダル)もオンオフ機能があるので、自分にあった走行モードを見つけることが可能。アクセル操作に反応して、パワーゲージのレベルが鮮やかに光るのは、演出として面白いと感じた。

■大きな歴史の一歩が踏み出された

 eKクロスEVには他にも、マイパイロットパーキングの三菱車初採用に加えて、マイパイロット(日産のプロパイロット)に緊急停止支援システム(SOSコール機能付)を新たに採用。

 マイパイロット作動時に、ハンドル操作が一定時間検知されず、警告にも反応がなかった場合、徐々に減速して停止、緊急通報センターを通して緊急車両を手配する(※ミツビシコネクトへの加入が必要)。

 軽のBEVに関しては今後、スズキやダイハツ、そしてホンダといった他の軽メーカーも追従してくることが予想される。しかし、新世代の軽BEVの第一人者として、このeKクロスEV/サクラが大活躍してくれることは間違いない。今後が非常に楽しみだ。

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