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琥珀(こはく)院 三 隆兼(たかかね)が合図し隆助が初太刀を浴びせる算段だった。だが、隆兼は、合図を出せぬ。隆兼の心臓は早鐘を打ち、われんばかりになっていた。……やはりわしに、この御仁は斬れぬ。全てを江良(えら)殿に打ち明け……。隆兼が思った時、鋭い声が閑寂たる禅林にひびく。「江良殿、毛…