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 芸能人の愛車というと、今ドキはベンツのGクラスなどが多そうなイメージだ。確かにその存在感は半端ない。そんななか、お笑いコンビの平成ノブココブシ、吉村さんがとある新車を購入したことが話題となった。

 そのクルマはマクラーレン720Sスパイダー。F1の名門マクラーレンが1990年代に興したスーパーカー部門の最新モデルである。一般人にはなじみのないクルマかもしれないが、そのまさにスーパーなクルマに今回はスポットを当ててみたいと思う。

文/西川 淳、写真/マクラーレン

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■平成ノブシコブシの吉村さんが購入し話題となったマクラーレン720Sスパイダー

ノブコブのおふたりでどちらかというと堅実? なイメージのあった吉村さんが、まさに破天荒なことをやってのけた! なんとマクラーレン720Sスパイダーを購入したのだ

 まずは吉村さん、マクラーレン720Sの購入、おめでとうございます。フルローンでこれから数年はマクラーレンのために働く、のだとか。これぞまさにスーパーカー乗りの鏡。好きなクルマには死んでも乗ってやるという感じ? そうこなくっちゃ。

 それにしても、以前のBMW i8とは真逆のキャラを持つモデルへいきなりぶっ飛ばしましたね。i8はどちらかというとファッションアイテムのプロムナードスーパーカー。対する720Sは、スパイダーモデルであってもゴリゴリの武闘派。乗ってみて、その違いにさぞかし驚かれたのでは?

 さて、吉村さんが買った720Sスパイダーとはいったいどんなクルマなのか。マクラーレンの市販モデルラインナップから紐解いてみよう。

■マクラーレンはミドシップスポーツカーのみをラインナップする希少なメーカー

 マクラーレンは今、アルティメイト・スーパー・スポーツ・GTという4つのシリーズを展開している。いずれもミドシップスポーツカーばかり。フェラーリやロータスが今年中にSUVを出すから、もはや貴重な「スポーツカー専門メーカー」だ。

 その中核を担うモデルがスーパーシリーズの720Sクーペ&スパイダー。フェラーリF8シリーズやランボルギーニウラカンをライバルとして挙げれば、その位置付けがわかりやすい。2011年に登場し、ブランドの新起源となったMP4-12Cに連なるシリーズの第二世代である。派生グレードとしては高性能バージョンの765LT(ロングテール)も存在する。

 ちなみにそのほかのシリーズに関していうと、アルティメイトはセナやエルバといった限定ハイパーモデル(数億円)、スポーツはPHEVのアルトゥーラ、そしてGT=グラントゥーリズモのGTシリーズとなっている。

■吉村さんの購入した720Sスパイダーはマクラーレンの基幹モデルだ

インパネ周りは思いのほかシンプル。ドライバーが運転に集中できるレイアウトとなっている

 マクラーレンの場合、車名の3桁数字はそのまま馬力を表す。つまり、スーパーシリーズに積まれるエンジンの最高出力は720hpもしくは765hpで、いずれも4LV8ツインターボだ。それに7速のデュアルクラッチトランスミッションを組み合わせてドライバーの背後に置き、後輪のみを駆動する。

 高出力を効果的に運動性能へと変換するための最も重要なパートが、フォーミュラ1で培ったカーボンファイバー強化樹脂(CFRP)製モノコックボディだ。第二世代のスーパーシリーズでは、アルティメイトシリーズのP1で初採用されたモノゲージIIと呼ばれるCFRPバスタブ構造を進化させて搭載する。

 ルーフ骨格やエンジンルーム上部までをCFRPとする技術だったが、スパイダー化に伴ってモノゲージII-Sへと進化、ルーフを取り払ってもなおロードカーとしては充分な強度を確保するに至った。

 ちなみにリトラクタブルハードルーフのパネル素材もまたカーボンファイバー。軽量かつモーター駆動ゆえ、クラス最速の11秒で開閉し、走行中でも時速50km以下であれば操作可能だ。また、スパイダー化にあたっての重量増はわずか50km/hに抑えられている。その意味するところは明白。つまり、そのパフォーマンスはクーペとほぼ同等というわけ。

■スパイダーといえどもクーペモデルと性能は同等。かつリアのエンジン音を直に楽しめる

写真はルーフを開けた状態だが、ルーフを閉じた状態でリアウィンドウスクリーンのみを開けることも可能。V8、4Lの野太いサウンドを直に楽しむ贅沢さを味わえるのもスパイダーの愉しみだ

 そのことは性能スペックにも現れている。0→100km/h加速は2.9秒でクーペと同じ、0→200km/h加速こそわずかに遅れて7.9秒、といっても+0.1秒だ。そして最高速はというとルーフを閉じた状態ならまったく同じ341km/hである(オープン時は325km/h)。

 こうなると、本体価格の差が300万円以上あってもスパイダーを選んだほうがよさそう。つまり吉村さん、大正解。

 乗ってみればそう断言するわけにも納得できるはず。ルーフクローズドで走れば、クーペかスパイダーかなどよほど繊細なプロドライバーでなければわからない。それでいてリアウィンドウだけ開閉することも可能で、クーペ状態のまま短いエグゾーストパイプの奏でるたくましいV8サウンドをダイレクトに楽しむことだってできる。

 ターボエンジンによる圧倒的な加速性能ときめ細やかに制御されたアクティブシャシーによるハンドリングは、今もってクラス最高レベル。サーキットへと繰り出し、シャシーとパワートレーンのモードをトラックに合わせたならば、たちまちハンドリングの正確さは凄まじいレベルへ。轟音を伴った加速と沈み込む制動フィールもまた愉悦の至りで……。

 そんなスーパーパフォーマンスを秘めたうえで、快適なオープンエアモータリングを楽しめるという点がスパイダーの嬉しいところ。スタンダードモードではまるでミッドサイズの高級スポーツセダンのような乗り心地を実現した。

 マクラーレン720Sスパイダーは、街中からカンツリーロード、高速道路、そしてサーキットまで、技量に応じて広範囲に楽しむことができるオールマイティなスーパーカー、というわけでした。

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