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やり霞(がすみ)が漂う、夕刻近くの玉鬘(たまかずら)邸の邸内である。源氏の長男夕霧の子である蔵人(くろうど)少将が訪ねて来たが、左近中将や藤侍従らは留守だ。一方、2人の娘は残って、坪庭のサクラの樹の向かい側で碁を打っている。夕方の霞が邪魔してはっきりは見ないが、蔵人少将は碁盤の左…