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まとめ

  • 日焼け止めは重ね塗りが効果的!
  • 顔&首には小さじ1杯分の日焼け止めを。
  • お子さんではたくさん出しやすいボトル式の日焼け止めがオススメ。

美肌を保ちたいなら、「紫外線対策」はとても重要です。その紫外線対策における心強い味方になってくれるのが「日焼け止め」ですね。

しかし、日焼け止めを使用する際には、大きな落とし穴があります。それは、どんなに優秀な日焼け止めを使ったとしても「適量を塗らないと十分な効果を得られないということです。今回の記事では日焼け止めの適切な使い方について皮膚科専門医が解説します!

この記事を書いた医師の名前

やさひふ

Yasahifu

医師 / 皮膚科専門医 / 医学博士

Lumedia 編集長。怪しい医療情報に惑わされる患者さんを多く見た経験から Lumedia の立ち上げを決意。
皆さんのすこやかなお肌を守るため、Twitter で科学的根拠に基づいたスキンケア情報発信中。

日焼け止めの「適量」とは何か?

そもそも日焼け止めの「適量」とは、どのように決まっているのでしょうか?それを理解するためには、「SPF」(紫外線防御指数)という数字の測定方法を知る必要があります。

以前に「日焼け止めの選び方」の記事で「SPF表示をチェックしましょう」と説明しました。

詳細はそちらの記事で解説していますが、たとえばSPFが30の日焼け止めを適量塗れば、紫外線を97%カットできます。ここで注意すべきなのは、SPFの数値は「日焼け止めを2mg/cm2あるいは2μl/cm2の厚さで塗った状態」で測定されていることです (参考文献1) 。これよりも日焼け止めの使用量が少なければ、「SPF 30」という本来の効果は得られません。つまり、日焼け止めの適量とは、「2 mg/cm2の厚みで塗れる量」のことなのです。

ただ、「2 mg/cm2」と言われても、具体的なイメージがさっぱりわきませんよね。適量を把握しないまま、「なんとなく」の量で日焼け止めを塗っている方がほとんどかと思います。実際、過去の研究では「一般の方は適量の4分の1程度の量しか日焼け止めを塗れていない」と報告されています (参考文献2) 。これでは、せっかくの日焼け止めの効果が十分に発揮されず、紫外線から肌を守ることが出来ません。

どうすれば正しい量を使用できるのか?

では、どのような塗り方であれば、日焼け止めを正しい量で使用できるのでしょうか?目安となる塗り方を2つ解説します。

1.  環境省の推奨方法

<顔に使用する場合>

まず、クリームタイプなら「黒目の大きさ」、液体タイプなら「1円玉1個分」の日焼け止めを手のひらに取ります。

※パール粒は直径1cm程度で、身近なもので長さを例えると「黒目の大きさ」程度です。

手に取った日焼け止めを、額、鼻の上、両頬、アゴの5か所に分けて順に置いていきます。各部位で、まんべんなく丁寧に塗り伸ばしてください。

 さらに、ここまでのステップと同じことを「もう1回」繰り返します。つまり、「重ね塗り」ですね。こうすることで、ムラなく十分な量を塗ることができます。環境省の紫外線環境保健マニュアルでも推奨されている塗り方です (参考文献3) 。

<腕や脚などに使用する場合>

まずは、容器から直接、直線を描くように日焼け止めを出していきます。次に、手のひらでらせんを描くようにして、均一にムラ無く日焼け止めを伸ばします。これらのステップを腕や脚の表裏で1回ずつ行ってください。

なお、顔の塗り方で解説した「重ね塗り」は、過去に日本人の男女23名を対象とした臨床研究でも効果的だと報告されています (参考文献4) 。1回塗るだけだと塗り残しができやすいですが、重ね塗りならミスが起きにくいです。シンプルですが確実な塗り方だと言えるでしょう。

2. 「ティースプーンルール」

「ティースプーンルール」は国際的によく指導される日焼け止めの塗り方ですね。紅茶やコーヒーに砂糖を入れる際に用いる「ティースプーン」(小型のスプーン)を単位として適量を意識する手法です。顔や腕など、からだの部位別に使用量が決められています。具体的には、次のように規定されています(参考文献5)。

顔/首⇒合計でティースプーン1杯

胴体部分⇒お腹側と背中側で合わせてティースプーン2杯

両腕⇒ティースプーン1杯ずつ

両脚⇒ティースプーン2杯ずつ

「ティースプーン」という身近なものを単位とすることで適量を具体的にイメージしやすいのではないでしょうか?

日焼け止めを塗る際には、「環境省の推奨方法」でも「ティースプーンルール」でも、あるいはそれ以外の方法でも構わないので、「適量」を意識することが大事です。ご自分に合った手法で、日焼け止めの正しい量を塗るように気をつけましょう。

子どもにオススメ!実は容器も大事な要素の一つ

最後に、小さい子供が自分で日焼け止めを使う場合のためのワンポイントアドバイスを説明していきます。お子さんは、自分で適量を意識することは難しいですよね。代わりに、親御さんなどが「お子さんでも使いやすいタイプの日焼け止め」を選んであげると良いでしょう。

例えば、オーストラリアで87人の小学生を対象とした研究ではスティック型よりもポンプ式やボトル式の製品を使うほうが、子供が自分で日焼け止めを多めに塗れる」と報告されています (参考文献6) 。スティック式の日焼け止めを子供がしっかり塗るのは難しいですが、ポンプ型やボトル型ならお子さんの力でも簡単にたくさん出てくるので十分量を使いやすいのですね。子どもでも使いやすいデザインの製品を選んであげるのが効果的なようです。

以上、日焼け止めを十分塗るためのコツについて説明させていただきました。適切な量の日焼け止めを塗って、紫外線からしっかりとお肌を守ってくださいね。

COI

本記事において開示すべきCOIはありません。

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