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<p>Appleのドロドロの社内政治を暴露した「複合現実ヘッドセット」の開発関係者のインタビューが公開される</p><p>Appleのドロドロの社内政治を暴露した「複合現実ヘッドセット」の開発関係者のインタビューが公開される</p><p>2015年に開発が始まって以来さまざまな課題に見舞われ、幾度となく発売の予定が延期されてきたというAppleの「複合現実(MR)ヘッドセット」の内情について、Appleの内部関係者から聞き取った結果をまとめたレポートを、海外メディアのThe Informationが公開しました。</p><p>それでも、Appleの取締役会は先行するMeta(当時Facebook)への焦りなどからヘッドセットのプロジェクトにゴーサインを出しましたが、プロジェクトはすぐに難航しました。その原因の1つは、ティム・クックCEOの消極的な姿勢です。 スティーブ・ジョブズがiPhone開発に積極的に関与したのとは対照的に、クックCEOはヘッドセットを口では支持しつつも関与には乗り気ではないため、Appleのメインキャンパスから離れた場所にある開発グループのオフィスにもほとんど足を運ばないとのこと。そのため、ヘッドセットの開発チームはiPhoneやMacとは違って豊富な人員や技術リソースにアクセスすることが難しいと、関係者は語っています。 その象徴となるのが、2018年初頭の出来事です。当時、ヘッドセット開発チームは「T100」と呼ばれるAppleのトップ社員100人への重要なデモでPRするために、ヘッドセットの試作品のカメラ機能を高速化させたいと考えていました。そこで、開発チームはAppleでカメラ関連を担当するエンジニアリンググループに、カメラの映像処理速度を向上させるファームウェア機能を追加してほしいと依頼しましたが、「ヘッドセットは優先順位が低いので、年末にiPhone XSが出荷されるまで待って」と言われてしまったそうです。 もう1つの問題は、元最高デザイン責任者の 氏の存在です。VRヘッドセット開発への協力を取り付けるために、Apple社内を奔走していたチームリーダーのマイク・ロックウェル氏を、アイブ氏は「VRは外界から遮断されるのでユーザーに疎外感を与えるし、不格好で実用的な用途に欠ける。消費者がそんなヘッドセットを長時間装着したがるとは思えない」と突き放したとのこと。 これを受けて、ロックウェル氏らはVRからMRへとかじを切りましたが、そのコンセプトは迷走を重ねました。例えば、開発チームは解決案として、ヘッドセットの前面にカメラを取り付けてユーザーが周囲を確認できるようにしましたが、最終的にデザイナー陣が納得したのは、「ヘッドセットの外側に画面をつけて装着者の目や表情が周囲の人に見えるようにする」というものだったとのこと。また、ベースステーションデバイスを使うとのアイデアにもアイブ氏は渋い顔をしたので、開発チームは単体で動作するものの性能は落ちるヘッドセットに軸足を移さざるを得ませんでした。 試行錯誤を繰り返しながらも、Appleは2023年にMRヘッドセットを2000ドル(約25万円)から3000ドル(約38万円)の価格で発表する可能性があると報じられています。</p>