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仇敵は続々と消えたのに愛され続けて半世紀「カローラ」が変わらず愛されるのは変わり続けているから??

 世界累計販売台数はなんと5,000万台(2021年7月)、トヨタが誇るメガブランド「カローラ」。世界150カ国以上で販売されており、セダンやワゴン、ハッチバック、SUV、国によっては車幅を拡げたモデルなど、多種多様なスタイリングでラインアップされている。つい先日(4月1日)にも、新たなスポーツモデル「GRカローラ」が発表されている。

 カローラの初代モデルは、1966年に誕生。以来50年以上にわたって愛され続けており、サニーや、ファミリアなど、かつて年間チャンピオンを争ったライバル達は、すでに販売終了(ブランド名変更で出直す)となる中で、カローラだけがトップクラスにいまだに居続けている。

 時代が変わっても、なぜカローラは支持され続けるのか。カローラの強さの秘訣を考察しよう。

文:吉川賢一
写真:TOYOTA

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6車種合計ではあるが、これほど売れ続けているのはやはり凄い

 カローラの直近3年の年間販売台数は、2019年が第4位(104,406台)、2020年は第3位(118,274台)、2021年は第2位(110,865台)。ご承知のようにカローラの販売台数は、カローラ(セダン)、カローラスポーツ(ハッチバック)、カローラツーリング(ワゴン)、カローラクロス(SUV)の4車種に加え、継続販売されているカローラアクシオ(セダン)、カローラフィールダー(ワゴン)という6車種の合算値。

 ランキング上位にいるのはある意味ズルいともいえるが、たとえ合計台数にしても、これほどの台数が売れ続けているのは凄い。

写真はカローラクロス。月間販売計画(デビュー時)は、カローラが1700台、カローラツーリングが5400台、カローラスポーツが2300台、カローラクロスは4,400台だった

死守してきたものをあっさり捨てたカローラ

 カローラクロスのチーフエンジニア上田泰史氏は、カローラがここまで続いてきた理由について、「それぞれの時代の要望に応えるよう、プラスアルファの思想で、常に変化させ続けたから」としている。振り返ってみると歴代のカローラは、様々なスタイルで登場してきた。守ることも大切だが、需要に応じ、臨機応変に変化させることも、重要なこと。

 現行カローラで3ナンバー化されたのも、そのひとつだ。国内向けカローラは、日本国内での使い勝手の良さ、運転のしやすさを優先するため、先代までは5ナンバーサイズ(※特に車幅基準値1700mm以下)を死守してきた。エクステリアデザインや社内の居住性、衝突安全性、タイヤサイズからくる回転半径など、1700mm以上に拡幅したほうがいいことがたくさんあるのだが、それでもトヨタは、カローラは5ナンバーであるべきと考え、守り続けてきた。

 だが一転、2019年9月にフルモデルチェンジをうけた現行カローラは、3ナンバー枠となる全幅1745mmとなった。カローラの開発担当者は、「高まる安全性能への対応とデザイン性を考慮し、全幅の拡幅を決めました。多くのお客様に購入いただいた先代の30系プリウスが1745mmであったため、その幅まではいいだろう、と考えました。」と話した。

「カローラとは」ではなく「その時代のカローラ」を追い求めているからこそ

 現行型のプリウスは全幅1760mmとさらに拡大しているが、先代30系プリウスの大ヒットをうけ、決断したようだ。ちなみに、2018年に中国で発表されたグローバル市場向けカローラは、車幅1780mm(ホイールベースは国内カローラよりも60mm長く2700mm)と、さらに大きなボディで登場している。

 「5ナンバー枠でつくってこそ技術力があるといえるのではないか」という意見もあるが、運転操作にほぼ影響のない、最小限の拡幅で済ませられるのであれば、全てのバランスがよくなる3ナンバー化は賛成だ。前述したように、多少の拡幅はクルマとしての性能において、メリットが大きい。

 先代まで5ナンバーを死守し、「カローラは5ナンバーであるべき」と考えていたはずのものを、一転して3ナンバー化する。「カローラとは」と考えるのではなく、「その時代のカローラ」を追い求めているからこその発想であり、これこそが、カローラが半世紀以上にわたって、世界中で愛され続ける理由であろう。

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 現行カローラシリーズの先陣を切って2018年に登場したカローラスポーツは、TNGAプラットフォームによる走りの質感の高さと、「キーンルックフェイス」という新たなデザインにチャレンジし、その1年3か月後に登場したカローラ、カローラツーリングもまた、TNGAの恩恵を受け、低重心でスポーティなスタイリングと、高い走りの質感を手に入れた。

 2021年9月に登場した「カローラクロス」はカローラシリーズ初のSUVとしてブランドの幅を広げ、先日登場した「GRカローラ」は、カローラブランドの懐の深さを示してみせた。

 変わらないために、変わり続けるカローラ。つぎはどんな「カローラ」をみせてくれるのか、カローラシリーズからは今後も目が離せない。

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