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純正カーナビは消えてゆくのか? それとも? ナビアプリと車載カーナビのメリット/デメリット

 スマートフォンの普及によって日々のドライブシーンでカーナビアプリの需要は高くなってきた。では本家であるカーナビは今後どうなるのか? また純正と市販、それぞれのメリット/デメリットはどこにあるのか、改めて考察してみた。

文/高山正寛
アイキャッチ写真/show999 – stock. adobe.com
写真/Adobe Stock、TOYOTA、HONDA

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スマホはもはや重要なライフライン

 現在のスマートフォン(以下スマホと表記)の普及率は数字うんぬんを語る以前に、人によっては複数台を所有するくらい、生活に浸透している。言い方を変えれば「スマホをなくしたら日々の生活に影響が出る」程と言っても差し支えないほどだ。

 実際、スマホの普及率はNTTドコモの調査などによればすでに90%を超えており、今回のテーマであるスマホナビに関しても、普段使いとナビ利用など少し端末をラフに扱う環境などで使い分ける人もいる。

 余談だが筆者は現在スマホ&タブレットを10台ほど所有しているが、実際ナビアプリ向けにはテスト用も兼ねて大画面かつ耐久性のあるものを専用機として使用している。有償/無償があるスマホアプリではあるが、すぐに必要! というときにインストールするだけで使える点も普及を後押ししたと言っていいだろう。

確かにナビアプリは伸びている、が・・・。

 とは、いえスマホアプリもビジネスである以上、何でも無料が良いというわけではない。実際、市場の将来性や実行可能性を調査する意味での先行投資としてアプリを開発している企業(特にベンチャー系)も多いが、ここ1~2年で大手でも高性能のナビアプリのサービスを停止している現状もある。

 代表的なものとしては下記のとおり。

トヨタ:TCスマホナビ(新たにmovilinkをリリース、但し互換性無し)
ホンダ:インターナビLINC他
アイシン:NAVIeliteカーナビ渋滞情報プラス
LINE:LINEカーナビ

 特にLINEカーナビに関しては、現行カローラが発表された際にディスプレイオーディオと連携するナビアプリとしてかなり力が入っていたゆえに残念ではあった。

 現在、リリースされているナビアプリの代表格としては、この4点が人気だ。

Google:Googleマップ
Apple:地図アプリ
ナビタイムジャパン:カーナビタイム他
Yahoo!:Yahoo!カーナビ

 上記2つは元々のOSに合わせた格好の地図アプリをカーナビとして活用するもので、下記2つは専用アプリとして開発されている。

 ちなみにカーナビタイムのみが有料だが、その分だけ高性能であることは間違いないし、いっぽうでYahoo!カーナビも頻繁にアップデート(改良)を行い、利便性を高めている。

カーナビアプリのメリット/デメリットは?

無料アプリも多数あり、スマホと固定用のホルダーさえあれば使える手軽さから、スマートフォンのナビアプリを使うユーザーは増えている(Kaikoro – stock.adobe.com)

 前述したようにカーナビアプリのメリットは2点挙げられる。

(1)スマホがあればすぐに使える
(2)無料アプリが多い

 要はお手軽という部分が大きい。実際急なドライブや帰省などでカーナビが必要の場合、従来であればポータブルカーナビを購入するしか方法がなかった。パッとカー用品店に行って「カーナビ欲しいから取り付けて」と言ってもピットが混んでいたらそれもかなわない。

 いっぽうデメリットについては下記のとおりである。

(1)専用機には敵わない部分が多い
(2)単独使用の場合、スマホの性能や耐久性に頼る部分が大きい。

 大きくこの2点だろう。スマホは自車位置を補足するためにはGPSなどの衛星からの電波を受信する仕組みを基本とする。

 もちろん、昨今ではGPS(米国)だけでなく、他国が打ち上げている衛星(ガリレオ(欧州)、グロナス(ロシア))などからの電波を受信することで精度を高めているものもあるし、またスマホに内蔵された各種センサーを活用するケースもある。

 それでもトンネルなどに入り、衛星からの電波が遮断されたときはやはり自車位置精度という点では心もとない。

 ポータブルカーナビの場合はより高性能なセンサーを搭載していることでこれらの問題を解消できているものもあるが、スマホはそうはいかないのである。

 そしてもうひとつは、スマホの性能や耐久性の問題である。

 頻繁に言っているのだが、スマホはそもそも車載での使用を想定していない。四季を通じての気温の変化や路面からの振動など、劣悪環境といってもいい車内においては、スマホは非常に不利だ。筆者も過去にこの環境下でスマホが壊れたという現実を体験している。

 これらに関しては車載用デバイス(ディスプレイオーディオ等)に接続し、AppleのCarPlayやGoogleのAndroid Autoを使うことでスマホの本体自体を熱の影響を受けづらい場所に置くことで影響は軽減できるのである。

 あとはスマホの単独利用の場合は画面サイズが小さくなるので、視認性の点でも不利だ。前述したディスプレイオーディオは画面が大きく視野角も広い。オススメする理由はここにもあるわけだ。

車載カーナビのメリット/デメリットは?

ダッシュボードに最初から組み込まれているので収まりが良く、画面も大きく見やすいケースが多い純正カーナビ

 車載カーナビにはメーカーの工場で装着する「メーカー(ライン)オプションモデル」とディーラーやカー用品店で装着できる「市販モデル」に大別される。

 昨今はカーナビ機能だけではなく、車載情報やADAS(先進運転支援システム)との連携も含めた複合モデルが主流になりつつある。

 通信等を活用することで外部からドライブに有益な情報を得ることもできる。これらやAV機能なども含めた統合的な「インフォテインメントシステム」として認知度も高まっているのだ。

 純正カーナビの場合、メリットとしては下記のとおり。

(1)専用設計なのでインパネ全体との親和性(マッチング)が高く、さらに大画面化もしやすい。
(2)前述したようにインフォテインメントシステムとして将来も含めたアップデートなどにより、さらに機能が増える可能性がある点や操作性の高さなどが大きなメリットだ。

 逆にデメリットとして、この2点が挙げられる。

(1)メーカーオプションの場合、全体的に価格が高くなる(標準装備の場合も上乗せしているので車両価格は高め)
(2)万が一、各種サービスが終了した場合、交換が難しい。

市販カーナビの場合のメリット/デメリットは?

 市販のメリットは純正のデメリット、またはその逆とも言われる場合がある。

 まずメリットとしては、これまで純正のメリットと言われてきた「大画面化」に関しては専用パーツを使うことやディスプレイを浮かせる構造を採用することで、それらが可能になり、その差は狭まっている。

 また全体的に純正より価格が安く、導入のハードルが低いこと。ドラレコやバックカメラなどニーズに合わせて徐々にアップグレードできる点などもメリットだろう。

 いっぽうで通信を活用した「テレマティクス技術」が使える市販メーカーはカロッツェリア(パイオニア)など限られたメーカーのみである。

 交通情報を取得し渋滞を回避する仕組みは昨今標準装備化されつつある「VICS-WIDE」でも利用可能だが、前述した純正のテレマティクス環境ははるかにそのうえを行っており、カロッツェリアの「スマートループ」以外は正直、普通の性能。純正の同機能には敵わない。

それではカーナビは無くなるのか?

 これに関しては未来予知なので何とも言えないが、カーナビ自体はなくならない。丁寧に言えば「カーナビ単体としての市場は縮小していくが、“カーナビ機能”はなくならない」ということである。

 前述したようにテレマティクスの進化は今後5G通信へ移行した際には将来の自動運転との連携も含め一気に進化する可能性を秘めている。

 ゆえに単体ではなく、統合されたシステムが必要となってくるわけで、現状におけるインフォテインメントシステムはその入口と考えて良いだろう。

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