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覇権の継続か王座の奪還か 2023年登場 新型アルファードVS新生エルグランド いまわかっているすべて

 アルファードの独り勝ちが続いている大型高級ミニバン市場にエルグランドが挑む。

 もともと日本に大型高級ミニバンの市場を切り開いたのはエルグランドだ。現行型3代目の登場は2010年8月だから、夏になればそれから丸12年の歳月が流れることになる。

 その間の日産の「日本離れ」はあまりに痛く悲しい負の歴史だが、捲土重来、王座奪回の炎は燃え上がりつつある!

※本稿は2022年3月のものです
文・予想CG/ベストカー編集部、写真/TOYOTA、NISSAN
初出:『ベストカー』2022年4月10日号

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■「保守のアルファード」か「革新のエルグランド」か

 日本に大型高級ミニバンのマーケットを作ったのは、1997年に登場した日産初代エルグランドだ。その2年前の1995年にトヨタが大型サイズのグランビアを発売していたが、鳴かず飛ばず。

 その反省を生かしたのか、エルグランドは高級感を前面に押し出して大ヒット車となった。

 デビュー翌年の1998年には、695万円の4人乗り「ロイヤルライン」を追加し、そちらもヒットするなど先見の明もあった。

 今や大型高級ミニバンの代名詞となっているアルファードは、実は初代エルグランドに刺激を受けて誕生したクルマだ。初代のデビューは2002年で2代目エルグランドの登場と同じ年。

 他社が作った市場を遅れて出てきたトヨタが奪っていくのはよくあることだが、エルグランドを徹底的に研究して登場した初代アルファードはあっという間に王座を奪取。

 その後、現在の3代目まで20年間王者の座を守り続けている。

トヨタ 現行型アルファード。2015年1月にヴェルファイアとともにフルモデルチェンジ。2017年まではヴェルファイアのほうが売れていたが、同12月のマイナーチェンジ(販売開始は翌1月から)が契機となり販売台数が逆転した。2022年2月の販売台数は4553台(ベストカー調べ)
日産 現行型エルグランド。2020年1月の特別仕様車「ハイウェイスター ジェットブラックアーバンクロム」の復活発売、同10月のマイナーチェンジ以降、目立った動きはない。ちなみにこの前となると、実に2018年12月の一部仕様変更にまで遡ることになる。2022年2月の販売台数は289台(ベストカー調べ)

■e-POWERとTHSIIのハイブリッド対決

 日産はもうアルファードに対抗するのを諦めたのではないか。

 現行型(3代目)エルグランドが、実に12年間もモデルチェンジすることなく販売され続けているのを見ると、正直そんな風にも思えてしまう。

 しかし、捲土重来を期した新型の開発は今、着実に進んでいるのだ。

 次期エルグランドに関して現在入っている情報は以下のとおりだ。

 日産ルノー三菱アライアンスで使われるCMF(コモンモジュールファミリー)-C/Dプラットフォームを採用する。

 このプラットフォームは日産主導で開発されており、最新版は新型アウトランダーPHEVにも使われて高い評価を得ているほか、次期エクストレイルもこのプラットフォームとなる。

 パワーユニットはシリーズハイブリッドのe-POWERが主力となる。発電用エンジンは新開発の可変圧縮(VC)ターボの3気筒、1.5L仕様が使われるという情報で、従来型のe-POWERよりもハイパワーにできるのが特徴。

 エンジンスペックは204ps/30.6kgm、モーター出力は180~190ps程度になるだろう。前後にモーターを配置する4WDも用意される。

 一方、次期アルファードはカムリ、RAV4、ハリアーなどに採用されているTNGAのFF車用GA-Kプラットフォームが使われ、パワーユニットは、こちらもTNGAの思想で開発された直4、2.5Lのハイブリッドと2.4Lガソリンターボとなる。

 TNGAプラットフォームは低床、低重心で操縦安定性に優れているのが特徴なだけに、次期アルファードもその特徴を生かし、現行型よりも全高が10~15mm低くなるという情報だ。

 とはいえ、もちろん室内の広さがスポイルされることはなく、室内高は現行型と同等が維持される。

 ハイブリッドは新型ノア/ヴォクシーからスタートした新世代のTHSIIが使われ、動力性能と燃費性能がともに向上。

 2.5Lのエンジン自体も新しいダイナミックフォースエンジンとなることから、その走り味は現行型から大幅にレベルアップすることになりそうだ。

 また、V6を廃止する代わりのエンジンとなる直4、2.4Lガソリンターボは280ps/43.8kgmのハイパワーで、こちらもアルファードの新たな走りの世界を提供してくれる。

捲土重来を期して登場するエルグランド(上)と、絶対王者のプライドをかけて迎え撃つアルファード(下)。2000年代のライバル関係が新たな展開で甦る。大型高級ミニバンというジャンルは同じだが、意外と個性と特徴は異なる(画像はベストカー編集部による予想CG)

■デザインテイストは明確に異なる

 エクステリアデザインも両車の対決の重要なポイントとなる。

 アルファードは先述のとおり少し背を低くして、低重心を感じさせながらも威風堂々としたフォルムは健在。

 特徴のひとつである大きく、派手なフロントグリルはさらに強化されて、他車を圧倒する世界を作り出す。

 現行型のデビュー時には「ミニバンの皇帝」とも呼ばれた世界観はそのまま引き継がれるから、アルファードファンの期待もさらに膨らむというものだろう。

 トヨタのすべての販売店で全車種を扱うようになったことで、兄弟車のヴェルファイアは消滅すると言われているが、そうであってもアルファードに標準ボディとエアロボディの2種類が設定される可能性は高く、多様なユーザーに対応していくことになる。

 エルグランドは角張ったボクシーなデザインになるとの目撃情報があり、そこが特徴となりそうだ。

 とにかく派手なフロントグリルで個性を発揮するアルファードに対し、エルグランドは別路線。同じテイストで戦っても「皇帝」相手では不利が否めず、独自のテイストを追求していくことになりそうだ。

 運転支援システムに関しても熱い戦いが繰り広げられる。「トヨタチームメイト」と日産の「プロパイロット2.0」は、ともに渋滞時のハンズオフ走行を可能とするほか、自動駐車システムなども最新バージョンが用意される。もちろん、安全装備も進化する。

 また、今のところ明確な情報はないが、アルファード、エルグランドともにPHEVが設定される可能性も高い。

 自社開発のユニットを使えるトヨタはもちろんだが、日産もアライアンスを組んでいる三菱アウトランダーPHEVのシステムが使える。

 アウトランダーとはプラットフォームが共通となるから、そのまま移植するのは難しい話ではなく、その場合、エンジンも含めたユニットとなり、e-POWERR用のVCターボではなく、三菱の2.4Lエンジンがそのまま使われることになる。

 新たに認証を取る必要もなく効率的に展開できるメリットもある。

 登場時期はともに2023年で、アルファードが夏頃、エルグランドが年末というのが最新情報。無敵のアルファードに、元祖のエルグランドが挑む激しい戦いが始まる。

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