| この問題はすぐに片づきそうにないが、時間とともにポルシェの市場価値が上昇するものと思われ、結果的には「OK」なのかもしれない |
結局のところ、どの程度の比率の株式をリリースするのかもわからない
さて、ここしばらくの間協議が重ねられているポルシェの新規株式公開(IPO)問題。
ちょっと前までは「上場する可能性が高く、上場に向けて動いている」的なコメントを発していたものの、今回ポルシェ・オートモービル・ホールディングSEが「まだIPOについては確認していない」と公式にコメントしたもよう。
なお、ポルシェのIPOについては、ポルシェの親会社であるフォルクスワーゲンと、ポルシェの持株会社であるポルシェ・オートモービル・ホールディングSEとの間で話し合いが進められていますが、ポルシェ・オートモービル・ホールディングSEにおける議決権の53%の株式をポルシェ創業者一族が保有しており、ポルシェ一族がYESと言わねば上場を実施することができない状態です。
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ポルシェ一族、フォルクスワーゲンではそれぞれ思惑が異なる
ポルシェ上場については、2018年頃からその話が具体化しているものの、今に至るまで話がまとまらないのはポルシェ一族の中に「反対派」がいるためだと思われ、そして反対派はIPOによって(新規株式が大量に発行されるので)自分たちが所有する株式が希薄化し、影響力を失ってしまうと考えているもよう。
単純に考えるならば、IPOによって株価が上昇する可能性が高く、それによって自分たちの資産が増えることを喜ぶんじゃないかと考えるのですが、ポルシェ一族はすでに十分な資産を有しており、資産よりも「発言権」のほうが重要なのかもしれません。
一方のフォルクスワーゲンだと、現在電動化をすすめるにあたり「お金がいくらあっても足りない」状態で、ポルシェのIPOによって自身が保有する株式を市場に放出すれば大量の資金が入ってくることに。
もちろん、ポルシェに対して影響を行使できなくなるほどの株式をリリースするわけではないと思われますが、FCAが資金のためにフェラーリの株式を売却し、その傘下から分離したのと同様、フォルクスワーゲンも「窮すれば」ポルシェを分離してしまう可能性が無いとも言えません。
ちなみにポルシェの市場価値は最大で1007億ドル(約13兆円)にのぼるとも見られており、フォルクスワーゲンがポルシェの株式すべてを保有しているわけではないものの、持てる株式を売却すれば「数兆円」を手にすることができるものと思われ、目の前にこういった金額がぶら下がってしまうと、フォルクスワーゲンとしても「ちょっと心が動きそう」でもありますね。
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フォルクスワーゲン内でも大きく動きが変わる
なお、2021年にフォルクスワーゲングループCEO、ヘルベルト・ディースCEOがこの問題について語った際、「ポルシェのような金の卵を手放したくない」とも述べており、この発言を見るに、ポルシェのIPOに際してフォルクスワーゲンは(その影響力を失うほどの)大量のポルシェ株を市場に売りに出すつもりだったのかも。
参考までに、同氏は現在IPOへと心が傾いており、「2022年の第4四半期に株式公開を行うのが理想的」とも語っていて、そこから現在に至るまでになんらかの心境もしくは状況の変化があったもよう。
なお、2018年にポルシェのIPOの話が出た頃に遡ると、当時ポルシェにて最高財務責任者を務めていたルッツ・メシュケ氏は、ポルシェのIPOが「フェラーリのIPO成功によく似た方法で」ポルシェの価値を解放するのに役立ち、独立したポルシェの市場価値は、VWグループ全体の市場価値に匹敵する可能性がある」ともコメントしていたので、やはりフォルクスワーゲンはIPOによってポルシェを分離することを当時考えていたのだと思われます(現在はどうなのかわからないが、もしVWがポルシェを独立させることを考えているのであれば、ポルシェ創業者一族は、自分たちの権力の希薄化に加え、フォルクスワーゲンの実効支配が薄れることについても懸念しているのかもしれない)。
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参照:Reuters
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