全モデル電動化宣言のとおり、着々と電動化を押し進めるボルボ。日本導入する初のBEVとなるC40リチャージに自動車評論家 松田秀士氏が試乗し厳しくチェック!!
※本稿は2022年3月のものです
文/松田秀士、写真/ベストカー編集部、撮影/茂呂幸正
初出:『ベストカー』2022年4月26日号
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■実用域をしっかり煮詰めたうえで高速域ではやっぱ速い!
「ボルボは全モデルを電動化させる最初のプレミアムブランドになる」との宣言どおり、日本導入する初のBEVとなるC40リチャージの試乗だ。
今回用意されたのは前後に204ps/33.7kgmのモーターを配し、4WDのシステム出力408ps/67.3kgmのリチャージツイン(2021年モデル)。車重2160kgを4.7秒で0-100km/hまで加速させる。
EVにしてはそれほどでもないねと思うかもだが、意外にスルスルとスムーズに加速する。
ポルシェ・タイカンのように頭がガクンとヘッドレストに押し付けられるような爆発感はない。かといって遅いわけでもなく、70km/hくらいまではちょっとだけ速いね! という感じ。
しかし高速道路で70km/hを過ぎたあたりから加速力がワープし、身体ごとシートに押し付けられ胸のすくような加速を見せてくれる。やっぱり速いんだ! って印象です。
実はドライブモードにスポーツもなければエコもない。変更できるのはアクセルを戻した時に回生によって強く減速するワンペダルのオンオフのみ。
単にエキセントリックなモーター加速を求めているのではなく、実用域をしっかり煮詰めて高速域では他車に負けない性能を与えるというボルボらしい地に足を付けた設計思想なんです。
ベースとなっているのはXC40と同じCMAプラットフォーム。電動化によって重く大きなリチウムイオン電池を床下に敷き詰め、これを守るための骨格を強化したため側突により強くなった。
エンジンをフロントモーターに置き換えたことでフロント部は完全再設計。衝突性能が上がり、なおかつ31Lのフロントトランクもある。
前後モーターと床下バッテリーにより前後荷重配分は50:50。言わずもがなコーナリング性能は非常に高く、より強固なボディによって遅れのないシャープなステアリング応答。
そして20インチタイヤを履いているとは思えないしなやかな乗り心地と室内静粛性(特にロードノイズ)はアウディやBMWなどのプレミアムBEVと遜色ない。しかもC40は車幅1875mmと日本の道路にマッチする。
興味深いのは日本語に対応したグーグルアシスタント。
「OKグーグル」と話すと自動で立ち上がり、目的地設定や天気情報、お店の紹介などスマホで普段やっていることが検索できる。しかもその音声認識レベルが非常に高く、普通に話すだけでしっかり対応するのには驚いた。
ADASなどの運転支援はXC40に準じ、さらに前車発信警告機能、リア衝突回避・被害軽減ブレーキが新採用され安全性も進化している。
充電は150kWに対応した急速充電と、普通充電(200V)では充電時のアンペアをディスプレイから設定でき、同時に家電を使用してブレーカー作動を予防できる。
価格はツインモーターが699万円、秋に登場するシングルモーターは599万円。ボルボやアウトランダーのバッテリー容量20kWクラスのPHEVと比較した時、C40は買いなのか? というとボクは買い!
理由はそのプレミアム感。パノラマルーフや高級オーディオなど、今回実感した走りだけでなく楽しみの要素がコンパクトボディにぎっしり詰まっているからね。
【番外コラム】C40はツインモーターとシングルモーターの2グレード
C40は3月18日に仕様変更され、シングルモーターの「C40 Recharge Plus Single Motor(599万円)」とツインモーターの「C40 Recharge Ultimate Twin Motor(699万円)」の2グレードとなった。
シングルモーター版は231ps/33.7kgmのモーターをフロントに搭載するFFで、バッテリー容量は69kWh(航続距離434km)。
ツインモーターは前後にモーターを搭載し、合計408ps/67.3kgmを発揮。バッテリー容量は78kWh(航続距離485km)。
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