カーボンニュートラルまっしぐらとなっている現在のクルマ界だが、クルマ好きなら気になってくるのが「最後の純ガソリン車選び」だ。いずれ乗れなくなってしまうのが確実となっているだけに、これは由々しき問題であろう。
ハイブリッドをはじめPHEV、そしてEVへと今後は電動車に乗るしかないという構図のなか、どんなガソリン車を選ぶべきなのか。自身も新型フェアレディZ購入に向けて大きく心が揺れ動いているという自動車評論家、国沢光宏氏が指南する!
文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部、日産、ホンダ、ルノー
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■騒音規制のフェーズ3実施で真剣に考えたい「最後のガソリン車」
以下、電気自動車大好きという人は無視してください。クルマ好きにとって100年に一度の大決断が必要になってきた。いや、最近よく「100年に一度の変革期」と書く人がいるけれど、ピストンエンジンの絶版は自動車の歴史始まって以来の変化だと思う。
新車で純エンジン車を買えるのは、おそらく2026年秋までです。なぜ2026年秋なのか。ガソリンは2050年まで売ってる。日本でも2030年代中頃までエンジン車を買えると思う。実際、エンジンを搭載するハイブリッドやPHVは2030年代中盤まで生き延びることだろう。
じゃ、なぜ純エンジン車が厳しくなるのか? 2026年秋から既販車にも適用となる「フェーズ3」(登録ずみ車には適用されないため、中古車売買できます)と呼ばれる厳しい厳しい騒音規制だ。タイヤの走行音まで抑えなければならないほど。
純エンジン車の場合、当然ながらフル加速する際はエンジンパワーだけ使う。結果、大きな負荷がかかり、燃焼時の音圧が上がってしまう。ハイブリッドやPHVならエンジンをフル負荷で使わないですむため、エンジン音を大幅に引き下げられます。
純エンジン車で、しかもマニュアルミッションの高性能タイヤ付きとなったら、まずフェーズ3の騒音規制をクリアできないと考えていいだろう。
■今後4年間というスパンでガソリン車を選択しようじゃないか!
ということで残された時間は4年少々です。この間に納車されればガソリンが入手できるかぎり30年近く乗れる。いや、安価なカーボンニュートラルの燃料など開発に成功したらそれ以降も乗れるだろう。
今のうちに買っておくと、この原稿を読んでいる年齢の人なら、免許返納するまで楽しめるんじゃなかろうか。希少価値という側面もあるため、定期預金感覚でもいいと思う。
さて4年という年月なのだけれど、意外に短いと考えます。なかでも最後の2年間くらいは売り切れている可能性大! なんせ純エンジン車の3ペダルマニュアル車といえば、おそらく今販売しているモデル以外、出てこないハズ。
いや、現在販売していても遠からず絶版になりそうなスイフトスポーツのような存在もある。ということで2026年まで残りそうなモデルは以下の5車種。
並べると、GR86/BRZにGRヤリス、新型フェアレディZ、マニュアルを出すというGRスープラ6気筒と新型シビックタイプRくらい。ロードスターとスイフトスポーツは早いタイミングで絶版になると予想します。
■国沢氏はルノークリオラリー5をまずは選択
ということで私も大いに迷った。最後は大パワーの後輪駆動車かと。いや、もう少し詳しく書くと、すでに2台ほど純エンジン車のマニュアルを堪能する予定。
1台はルノークリオのラリー5。安全燃料タンク付きのシーケンシャル5速ドグミッションの車両で、ラリーに出場する時だけ公道を走る許可が出る純粋な競技車です。これを老後の定期預金を崩して買った(泣)。
1300ccターボで180psの本物ボーイズレーサーだ。もう1台は全日本ラリーで乗るGRヤリス。マニュアルミッションのFFと4WDの純エンジンを楽しめそう。
■高性能FRガソリンスポーツが欲しいなら新型フェアレディZ!
ということで残すは高性能FR車だ。こらもう候補は新型フェアレディZしかないでしょう。GRスープラって中身はBMWのため、10年くらいしたらメンテナンスで困りそう。その点、フェアレディZなら決定的な安心感がある。
しかも400ps超! 最後の純エンジン車として考えたらまったく文句なし! 価格だって500万円スタートだから、クリオの分と合わせて定期預金すべて引き出せば何とかなりそう。
近々試乗できる機会があるだろうから、もし楽しいクルマに仕上がっていたなら迷うことなくオーダーしたいと思う。今から頼めば2023年中には納車されることだろう。
早めにオーダーしてお金を払っちゃえば、値上げになったって大丈夫。かなりの確率で2023年の年次改良で20万~30万円くらい高くなると考える。それくらい材料の高騰は厳しい状況です。
もっと言えば来年に入ると2026年秋までの生産可能台数に届いちゃうかも。するとオーダーストップです、たぶん。色やグレードを選べるのは今後1年くらいになると私は予想している。グレードは524万円のベースグレードか、606万円のバージョンS。
装備差を見ると、前後の控えめなスポイラーとレイズのホイール+19インチタイヤ、LSD、対向4ポッドのアルミキャリパーということになる。両グレードの価格差は82万円。内容を考えたら妥当かと。試乗して決めたいと思う。
そうそう。もしハンドル握って気持ちが乗らなければ、最後の純エンジンマニュアル車はポルシェ718ボクスターか718ケイマンの6気筒にしたい。これまた2026年以降は新車で登録できなくなる。オーダーは早めにしなければ売り切れ必至だ。フェアレディZの試乗、いつになるか不明ながら、買ったら報告します。
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投稿 新型フェアレディZ購入に判子押します!? クルマ好きが選ぶに値する「終の1台」はやはりガソリンスポーツか? は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。